11月の読書メーター
読んだ本の数:14
読んだページ数:4465
ナイス数:63
花殺し月の殺人――インディアン連続怪死事件とFBIの誕生の感想
面白かった! 並のホラーやミステリーなど、この圧倒的な事実にはまるで太刀打ちできまい。100年足らず前の事件で当時は大々的に報道されたそうなのに、全然知らないままだった。だがこの地で怒った陰惨な出来事がアメリカ文化の底流に流れ、今を作ったともいえるだろう。何故ならこの時点で作られた組織「FBI」が後にテレビドラマとなり大ヒットしたせいで現代の「CSI」や「クリミナルマインド」へと続くからだ。連続殺人に対する恐怖はその時だけのものでなく、百年の月日をかけて醸成され、新たなフィクションの源となるのである。
読了日:11月03日 著者:デイヴィッド グラン
たまさか人形堂それから (文春文庫)の感想
ヒロインの独白が少し大人っぽく、より深い心情にまで触れられるようになった。全体的にキャラクターが成長し、人間的な奥行きも出てきたようで、彼らの会話のやりとりが前作よりおもしろくなった。その分というかなんというか、事件性(?)は薄れ、日常性に重点がおかれているようなのが物足りないといえば物足りない。 だが、作家本人の心意気ともいうべき文章に触れられたのは嬉しい。それは登場人物の一人のセリフで 「暴力に屈していたら物作りなんてできません。こちらが不屈であることを無言で示すべきです」というもの。最高だと思った。
読了日:11月04日 著者:津原泰水
オクラホマ巨人 (1974年) (ハヤカワ・ノヴェルズ)の感想
「花殺し月の殺人」を読んで米国オクラホマが石油景気に湧いた時代に興味が湧いて読んだ。本書の最後でオセージ族の土地に石油が発見されて時代がつながった。ただし本書は1973年に上梓された映画化作品。意外にドタバタコメディ色が強いがアクションも激しい。時代のせいか女性キャラが強烈。著者は後に「恋に落ちたシェークスピア」でオスカー受賞というから納得。昔の米国映画には石油で一発当てて大富豪という話がよくあって、ジェームズ・ディーンの「ジャイアンツ」もそう。だから邦題に無理矢理「巨人」という単語をもってきたのだろう。