正直、絵画の方はそんなに好きにもなれませんでしたが、非常に現代的というか、今、イラストレーターでこういう絵柄(ヘタウマ)の人、いるよな……って感じでした。

 

で、おもしろかったのはテキスタイル(布地・織物)の方ね。

デュフィが活躍を始めた時代がアール・デコに重なるので、例えば服のデザインとしてはキューブリックの「シャイニング」に出てくるオーバールックホテルの舞踏会で紳士淑女がお召しになっていたのとほとんど同じような形が出てきます。

 

或いは「華麗なるギャツビー」とか、最近だと「レディ・マエストロ」の時代に女性が身につけていた服や、置かれていた調度品のファブリック、それらをデザインした中でも有名一人がこの方だったのね、という親近感をめっちゃ抱いてしまいました。

 

アールヌーボーの流麗な線とはまた違う、デフォルメされた花や葉の柄。こういう柄は現代にもちゃんと残ってます。どことなく見覚えがあるんですよ。それを最初にデザインしたのがこのデュフィさんだったのか、という新鮮な驚きですよね。

 

でね、多色刷りの素晴らしい布があって、版木が残されてるんです。そっ、これは浮世絵の技法そのままですよね。

 

でも、大量生産するようになると、多色刷りにはどうしてもズレが出てきてしまうんですよ。それをこのデュフィさんはそのままデザインに取り入れるような実験的な取り組みをしている。

 

そのできあがった布の、線からはみ出た色の部分見て思いました

「あ、これ、日本の女性漫画家がスクリーントーンを線からちょっとズラして貼るのに似てる」

って。

 

現代に通じる感覚というべきか、普遍的なおもしろさというべきか、

とにかく100年近く前のフランスと現代の日本で同じような技法が使われていたのを知って、とっても楽しくなりました♪

 

コンパクトですが展示に一工夫あっていろいろ楽しめる展覧会です。映画ファンなら見ておいて損はない! 15日まで開催中♪