1月の読書メーター
読んだ本の数:17
読んだページ数:6510
ナイス数:98
暗く聖なる夜(上) (講談社文庫)の感想
ボッシュが一人称で叙述する際は「わたし」なのだった。三人称で彼が喋ってる時、プライベートでは「おれ」なのだが。本作は一人称で語られるハードボイルドにふさわしいとても叙情的な作品。出来事ではなく、ボッシュの心の中が。特に美しいのが ”人は何度も恋に落ち、愛を交わすことができるが、側面に自分の名前が刻まれた銃弾は一発しかない。もし、運良く、その銃弾に撃たれたら、その傷は決して癒されることはない。”のくだり。その後の文とは実は論理的に噛み合ってないのだが、その破綻故、切なさとやるせなさをさらに強く感じるのである
読了日:01月21日 著者:マイクル・コナリー
暗く聖なる夜(下) (講談社文庫)の感想
最高傑作との評判をきいていたがその通り! 初めは茫漠としてとらえどころのなかった事件が、アメーバのようにその触手をのばしボッシュをも呑み込むかと思われる前半から、ある出来事をきっかけに思いも寄らなかった方向に収束していくのが見事。前作の「チェイシング・リリー」の段階ですでに本作への布石があったことが窺える。マイクル・コナリーは出版順に読むのが鉄則って、誰かにもっと早く教えて欲しかった!それにしても登場人物を無駄遣いしない人である。本作はラストシーンが本当に美しい。ボッシュの一人称はまさにこのためだったのだ
読了日:01月21日 著者:マイクル・コナリー
ザ・ポエット〈上〉 (扶桑社ミステリー)の感想
ポエット(poet)とは詩人のこと。タイトルが定冠詞のついた「ザ・ポエット」であるのはそれが特定の個人を指し示しているからだが、本書にはそれとは別のポエットも出てくる。そしてまずその詩人の登場にミステリファンはガツンと頭を一発殴られたような衝撃を受けるのである。いや、私もその詩人の全作品読んでますので。でも全然思いも寄らなかったし、詩の一節が出てきても思い出すこともできませんでしたよ、しくしく。なんかいろんな意味でミステリファンの実力を試して来る作品だなあと思いました。面白くて手が止まらないよ。
読了日:01月31日 著者:マイクル コナリー
ザ・ポエット〈下〉 (扶桑社ミステリー)の感想
ここまで集中して読んできたおかげでクセがのみこめたのか、ようやく犯人あてに成功。コナリー作品で初めてじゃないかな? でも順番で読んでたなら本作でもきっとだまされたと思う。話の筋とは関係なく「取り決めをした当事者が取り決めを守らないでいるのに、契約書に従って生きていることほど悪いことはない」という一節に今の日本社会を見た。 ところで「ショーン」はゲール語で「ジョン」だという。一卵性双生児の登場人物の名前がジョンとショーンって、どうなのだろう? 顔も名前も同じだからこそ二人は違う道を進みたがったって事なのかな
読了日:01月31日 著者:マイクル コナリー
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