“モフモフ”ネコに詐欺師、美しき貴族まで!名優イアン・マッケランの演技に酔いしれたい<写真20点>
>近年では、「X-MEN」シリーズのマグニートー役や「ロード・オブ・ザ・リング」「ホビット」シリーズの魔法使いガンダルフ役などで人気を博す英国の名優、イアン・マッケラン。長年にわたり映画・舞台・テレビを問わず活躍し、ゴールデングローブ賞やトニー賞などあらゆる演劇賞に輝き、ナイトに叙勲されサーの称号も持っているマッケラン。そんなレジェンド俳優の出演作が、2~3月にかけて公開中の作品も含め3本も劇場で観ることができる。そんな彼の役どころや見どころを中心に作品を紹介したい。
【写真を見る】話題作『キャッツ』でモフモフなネコ姿を披露したイアン・マッケラン
■ まさかのネコ耳!『キャッツ』にも出演
まずは、日本で初登場1位を記録した話題作『キャッツ』(公開中)から。歌い踊るネコたちを俳優やバレエダンサーたちが演じる本作にマッケランも出演し、老いた劇場ネコのガスに扮している。モフモフした耳や尻尾を持った彼のネコ姿は貴重で、一部のファン層からは思わず撫でたくなるかわいさ(?)で評判だ。また、大女優ジュディ・デンチとの共演も見どころで、若いキャストが中心の本作において、ベテランならではの存在感を放っている。
■ オスカー女優との対決は見もの!主演作でベテラン詐欺師に
続いては、マッケランとオスカー女優のヘレン・ミレン、意外にも初共演となる2人が“危険なダマし合い”を繰り広げるサスペンス『グッドライアー 偽りのゲーム』(公開中)。本作でマッケランはベテラン詐欺師のロイを演じ、出会い系サイトで知り合った資産家の未亡人ベティ(ミレン)から全財産を巻き上げようとする。
見た目は小粋な老紳士のロイだが、その実、姑息な手で人々からお金を巻き上げ、必要とあらば殺人も厭わない悪党。ベティに対しても、言葉巧みに弱みにつけ込み、瞬く間に同棲するなど彼女の信頼を得てしまう。しかし、それだけでは終わらないのが本作の肝。ベティもまた、ある目的でロイに近づいており、ロイはかつてない苦境に立たされてしまうのだ。そんな様々な表情を見せるロイを自然に演じてしまうマッケランはさすがの一言。ミレン演じるベティとのかけ合いと共に、演技派としての彼の魅力を存分に堪能できる作品だ。
■ シェイクスピアが憧れた“美青年”貴族役も印象的!
3作目は、3月6日(金)より公開される『シェイクスピアの庭』。本作は偉大な劇作家・詩人、ウィリアム・シェイクスピアの晩年を描いている。1613年、多くの作品を上演してきたグローブ座が大火災によって焼け落ちたのを機に、筆を折ったシェイクスピア。彼は20余年もほとんど顔を合わせなかった家族のいる故郷へ戻り、17年前に死んだ長男を悼むため庭作りを始めるが、一方で秘めた思いを抱える妻や2人の娘たちとも向き合わざるを得なくなる…という物語だ。
マッケランはシェイクスピアの友人であり、彼の代表作「ソネット集」に登場する“美青年”のモデルと言われるサウサンプトン伯を好演している。執筆活動を辞めてしまった友人を優しく励ます役どころだが、友情以上の思いを声にするシェイクスピアに対し、身分の違いなどから厳しく諭すなど、威厳のある人物として登場する。いかにも貴族というマントやジャケットを身に着け、カールした豊かな金髪をなびかせるなど、浮世離れした美しい(?)マッケランを見ることができる。ちなみに、共演シーンはないもののジュディ・デンチも本作に出演しており、マッケランは「サウサンプトン伯を演じた時、アン夫人(デンチ)は家に籠っていて会えなかったから、『キャッツ』でその雪辱を果たすよ」と冗談っぽく語っている。
80歳を超えてますます輝きが増すマッケラン。名優としての圧倒的な存在感はもちろん、彼の新たな魅力も発見することができるこれら3本を、ぜひ劇場で味わってほしい!(Movie Walker・文/トライワークス(平尾嘉浩))