8月の読書メーター
読んだ本の数:10
読んだページ数:2004
ナイス数:29
汚名(上) (講談社文庫)の感想
ボッシュが年寄り呼ばわりされてる! 無念。まあ65歳以上には違いないから仕方ないのだが。マディが大学進学で家を出て以来暮らしぶりもすっかり地味で、このまま未解決事件専門の安楽椅子探偵化するのかなと思ってからの急展開! いやいや、やっぱりボッシュはこうでなきゃ♪ 例によって彼の過去に芽吹いた話の続きなので、シリーズ読破しといて良かったとしみじみ。ミッキー・ハラーご一家も出てきてオールスター感もある。今回ボッシュが巻き込まれる事件は卑劣極まりないので、サイドストーリー(こちらもかなりハード)が娯楽なのである。
読了日:08月31日 著者:マイクル・コナリー
汚名(下) (講談社文庫)の感想
本書は人々から失われゆく「高潔さ」へのレクイエムである。それを体現しているのが主人公のボッシュだ。彼は一切の欺瞞を許さない。異母兄弟でさえその狡猾さ故に断罪しようとするくらいだ。その感覚は狭量とも傲慢ともいえるかもしれない。だがそれ故に周囲の人々を遠ざけてしまう結果をボッシュは甘んじて受け入れる。自分自身への厳しさが自分を孤独にすると知りながらそうするしかないのだ。それが彼の選んだ生き方だから。金儲けばかりがもてはやされる世の中で彼はすでに異端だ。しかしその生き方を美しいと思う読者はまだまだいるのである。
読了日:08月31日 著者:マイクル・コナリー
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