10月の読書メーター
読んだ本の数:10
読んだページ数:3137
ナイス数:30
シャーロック・ホームズの新冒険〈上〉 (ハヤカワ・ミステリ文庫)の感想
1987年にホームズ生誕100年を祝って出版されたアンソロジー。どの作家もドイルの作品を読み込み、本家のシリーズの一編としても遜色のないよう気張って書いているので、どのホームズもワトソンもおなじみの姿である。ただ一編、キャラクターも時代も変えてしまった異色作があって、確かにそれは「新冒険」だった。しかし残念ながら「シャーロック」のように彼を現代に生き生きと蘇らせたものではなあった。またガトリング砲や自動車が出てくる作品もあって、案外これが映画の「シャーロック・ホームズ2」の元ネタになってるのではと思った。
読了日:10月09日 著者:
おちびの感想
分厚いが面白いので読み進めるのは容易なのだが、ヒロインの境遇が悲惨すぎ、報われることが少なすぎるので途中で投げ出したくなる。フランス革命の様子が当時のパリに住んでた人間の観点から描かれているのは面白かった。当時の宮廷の様子はマンガや映画でよく見るが、市井の生活の変化ぶりがコンパクトにまとまって分かりやすいのがよかった。マダム・タッソーの館に行くと、そこには彼女が断頭台から落ちた首(かごに入っている)を拾って持ち帰り蝋で複製したのが展示の始まりと説明が掲出されているのだが、それがまさかこんな話になるとはね。
読了日:10月11日 著者:エドワード・ケアリー
アイヌ学入門 (講談社現代新書)の感想
これまでアイヌ民族というと北海道という孤立した島で独自の文化を築いていたとばかり思っていたが、どうやらそうではなかったらしい。本州はもとより、クナシリ、エトロフといった島々からサハリンに至るまで交易していたと知って、驚くと共にこちらの見る目も変わった。またひょっとすると日本古来の縄文人が北海道に渡った末裔がアイヌかもしれないということで、ますますビックリ。古来の儀式が多少言葉と形を変えながらもアイヌの祭祀に残っている可能性もあるなんて。もっと研究をすすめ、そして豊かなアイヌ文化を後世に伝えて欲しい。
読了日:10月18日 著者:瀬川 拓郎
美術展の不都合な真実(新潮新書)の感想
コロナ以前のことだが、民放の美術番組がいつの間にか増えていて不思議に思っていた。以前は日曜美術館ぐらいしかなかったのがどうしてと。本書を読んでその理由がよく分かった。要は宣伝なのだ。何故って現在人気の美術展はテレビ局が収益目的で主催しているものがほとんどだから! かつて多かった新聞社主催も同様、本業で金が稼げなくなった業種が「文化的」でもある美術展で儲けるためのノウハウを蓄積し、実行しているらしい。グッズがやたら増えたのもそのせいか。美術展により缶の形が違ってもクッキーの不味さは共通なのはそのせいね。
読了日:10月18日 著者:古賀太