10月の読書メーター
読んだ本の数:10
読んだページ数:3137
ナイス数:30
シャーロック・ホームズの新冒険〈下〉 (ハヤカワ・ミステリ文庫)の感想
今で言うホームズの二次創作を当代の売れっ子作家が競ったアンソロジー。正統派からSF風味まで多岐にわたるが、私はホームズが貧しい子ども達を気にかける話が良いと思った。特に女児に教育を受ける機会を授けようとするあたり、「シャーロック 忌まわしき花嫁」に通じる物がある。作者が女性だったのに納得。スティーブン・キングの作品は、使われているトリックのコンセプトをバージョンアップしたドラマ(映画だったかも)をつい最近見たばかり。ビクトリア朝でも成立するかどうか怪しいトリックも、現代の技術ならば万人を欺けるかもしれない
読了日:10月18日 著者:
闇のシャイニング リリヤの恐怖図書館 (海外文庫)の感想
「恐怖」とタイトルにあるワリには全然恐くない短編ばかりのアンソロジー。遊園地とか寝室の暗闇とか、子ども時代に根ざす恐怖の物語は読み手(私)が子ども時代から遠く離れてしまっては心に響かないのかもしれない。或いは映画でショッキングなシーンを見慣れてしまいすぎて、文章から喚起される自分の想像力の方がお粗末になったせいかもしれないけれど。それでもやっぱりポーの「告げ口心臓」が秀逸なのは、語り口の上手さにあるのだろう。最初に読んだのはたぶん小学生の頃なのに、今でもその恐ろしさは消えていない。ホラーの先駆者なわけだ。
読了日:10月30日 著者:スティーヴン・キング,ジャック・ケッチャム,クライヴ・バーカー,べヴ・ヴィンセント,エドガー・アラン・ポー,ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィスト
死んだら飛べる (竹書房文庫)の感想
一番面白いのはスティーヴン・キングの序文。その序文に呼応させた彼の短編があって、これで連続3編アンソロジー中の彼の作品を読んだ事になる。前の2作は若い時の作品なのでやはり荒削りで物足りないのに対し、本書の「乱気流エキスパート」からは短いとはいえ飛行機墜落に対する恐怖がしっかりと伝わってきた。実は先日乗っていたゴンドラが強風のために止まるというホラー映画のような経験をしたのだが、ロープ一本でも墜落を防ぐ物と繋がってれば安心感は全然違うのである。虚空にあるだけの飛行機は飛ぶのをやめたら落ちるだけ。まさに恐怖だ
読了日:10月31日 著者:スティーヴン・キング,ベヴ・ヴィンセント
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