5月の読書メーター
読んだ本の数：10
読んだページ数：2652
ナイス数：31
カサンドラ ヴィクトリア朝の理想的女性像への反逆 (ナイチンゲール生誕200年記念出版)の感想
著述家としてのナイチンゲールには初めて触れたのだが、小説の体裁で書かれた「カサンドラ」（今回分かりやすく訳し直された物）のヒロイン、ノファリアリの葛藤と心の叫びには驚かされると同時に激しい共感を覚えた。これは彼女が看護師としてクリミアに赴く前に書かれたそうなので、まだ彼女が己の進むべき道を見いだせず自己実現がはかれずにいた時代の心情吐露である。多分日本でワンオペ育児を経験した女性なら誰でも彼女の気持ちが分かるだろう。然るべき教育を受け仕事をする能力もあるのに、何故自分のために何もすることができないのかと。
読了日：05月07日 著者：フローレンス・ナイチンゲール
コードネーム・ヴェリティ (創元推理文庫)の感想
第一部は面白いのに読む手が頻繁に止まってしまう。明るくユーモアにあふれた元気な語り口と、その文章の伝える内容の残虐性と悲惨さがあまりにもかけ離れているから。第二部になると書き手の感情と文体が一致するので読みやすくなるが、描かれている光景はさらに悲痛に。作者が女性なので語り手の女性達の心情がとてもリアルに伝わってくる。また飛行士でもあるのでヴィヴィッドな表現で必要とされる能力が何かも分かる。視力の良さに加えて方向感覚というか、自分の今居る位置を周囲から判断する認知能力。それが手に取る様に分かるのが素晴らしい
読了日：05月01日 著者：エリザベス・ウェイン
