5月の読書メーター
読んだ本の数:10
読んだページ数:2652
ナイス数:31
世界史を変えた薬 (講談社現代新書)の感想
現代、当たり前に使われている「薬」の大分部分は実は歴史が浅い。「消毒」の概念もそうだが、もしそれらが過去に存在していたら歴史は変わっていたかもしれないとちょっぴり蘊蓄を混ぜて語るのが本書の特徴。半分くらいは「微生物の狩人」と重なり、残りが麻酔に関してとエイズ治療薬。後者には日本人も関わる。華岡青洲は麻酔薬を開発しながら製法を残さなかった。エイズ治療薬の満屋裕明博士は医薬品を大量供給するため特許での金儲けを度外視と。今日バイデン大統領が新型コロナウイルスワクチン特許の一時放棄支持を表明した。その意味が分かる
読了日:05月06日 著者:佐藤 健太郎
毒と薬の世界史―ソクラテス、錬金術、ドーピング (中公新書)の感想
毒にまつわる逸話を古代からひもとく本。薬に関しては著名人のみならず立派な業績をあげながら不幸にして今に伝わらない研究者達もとりあげている。本来日本人に冠されるべき栄誉なのにその「新発見」が他の国では無視されている人物の記載もあり、行間から著者の思いが伝わってくる。個人的には星新一の父君である星一について書かれているのが嬉しかった。本書で肝心なのは「薬は薬であるという錯覚」という記述だろう。これは薬も「もしかしたら毒になるかもしれない」「使い方を誤ると毒」という認識が現代人から抜け落ちている事への警鐘なのだ
読了日:05月27日 著者:船山 信次