6月の読書メーター
読んだ本の数:9
読んだページ数:1805
ナイス数:40
禍いの科学 正義が愚行に変わるときの感想
最近読んでた毒と薬やヒトラー関連の本と重なる内容が多く目新しさはあまりなかった。私がレーチェル・カーソンの名を知ったのはまさに本書にあるPEANUTSのマンガだった。その頃時代の寵児だった彼女がDDTを禁止した事で蚊の発生を防げずマラリアによる大量の死者を出した責任者として語られるとは。しかし一番ショックだったのは癌検診の話。マンモグラフィーの乳癌検査のように、早期発見し治療しても全体の死亡率に影響しない=延命効果があるとはいえない癌があるそうだ。痛い検査受けずにおいて心底良かった。大事なのは正確なデータ
読了日:06月02日 著者:ポール・A・オフィット
病魔という悪の物語 ──チフスのメアリー (ちくまプリマー新書)の感想
「チフスのメアリー」は欧米の小説を読んでいるとよく出てくる名前だ。大抵は彼女が何をしたかの脚注付きで。私の記憶では、チフスの保菌者なのに本人は無症状のため捕まるたびに保護施設を逃げ出してはよそで料理人として働き周囲の人々に病魔を広める無知な女、という感じだった。しかし本書で語られる事実によるとそれはいささか扇情的な誇張だったようだ。彼女は女性でかつ移民というマイノリティーであり、また頼りにできる男性もいなかったため社会不安の矛先を向けるのに都合が良かったらしい。その二の舞を防ぐにはどうするべきかを考える本
読了日:06月07日 著者:金森修
八幡神と神仏習合 (講談社現代新書)の感想
「神宮寺」は名字としてはマンガ等で目にするけれど、本当にそういう名前の寺があったとは知らなかった。でも確かに日本人は「神様仏様」と一緒に祈念するわ。それが「神仏習合」って事か、成る程。しかしその成立の過程において「前世のせいで今は(日本の)神だがそれが苦しくてならない。仏に頼ってこの現状を変えたい」という話になってるのがラノベもかくやな展開でもうビックリである。なんつーかもーね、日本人って昔からこういう考え方好きだったんだなあと。本書のテーマ的には九州と百済・新羅・高句麗との関わりの深さが大変興味深かった
読了日:06月10日 著者:逵 日出典
ポケット版 韓国時代劇で学ぶ人物大事典 (キネマ旬報ムック)の感想
韓ドラで歴史に興味を持った私にはピッタリ!三国時代から網羅されているので「スベクヒャン」「花朗」「善徳女王」もバッチリ♪高麗の「麗」「王は愛する」「奇皇后」から「六龍が飛ぶ」を経て朝鮮になって「ホジュン」「華政」「推奴」「馬医」「トンイ」「イ・サン」と中興までたどり、「風と雲と雨」で衰亡へ向かうまでを概観できた。歴史上の人物をドラマで演じた俳優の写真と共に掲げ、史実とフィクション双方とも紹介してくれるのがありがたい。ドラマを見ていてちょっと気になった時に手軽に調べられるサイズと情報量なので手元にあると便利
読了日:06月14日 著者:
最新! 韓国時代劇完全ファイル2021 (COSMIC MOOK)の感想
顔は覚えても名前が覚えられない俳優さんばかりの自分に業を煮やして購入。韓ドラサイトには付き物の人物相関図を誌上で目にできるのはありがたい。主な登場人物の顔と役名と俳優名が一緒に記載されているので、これさえあれば百人力である。おかげで同じ人だと思ってた俳優が別人だったり、あのキャラがこの人だったのかと驚く事しきり。これまで一番多く目にしてきた俳優は元祖ホジュンのチョン・グァンリョルかもしれない。巻末には時代劇映画の紹介もあり、最近見たばかりの作品もあって嬉しかった。しかしやはり俳優名前を覚えるのは難しいわ…
読了日:06月15日 著者:
アウトサイダー 下の感想
神様、スティーヴン・キングをこの世につかわして下さった事に深く感謝します。事故によって彼の命を奪わず、文才も創作意欲も枯渇させず、齢70を超えて尚旺盛な筆力を与えて下さった事にも。と深い祈りを捧げたくなる程、面白いっ!下巻からはおなじみのキャラが登場してそれまでとはガラリと様相が変わるが、伏線の回収が上手くて嬉しくなる。本作にも依存症を克服したキャラが出てくるが、脇役なのに滅法魅力的に描かれていて、強面なのに可愛い。蛇がいい仕事をしている。そして大宇宙には果てがない。説明なんてつかなくて、当たり前なのだ。
読了日:06月17日 著者:スティーヴン・キング
アウトサイダー 上の感想
「アリバイ」は日本語では「不在証明」という。「同一人が同時に二カ所に存在することはできない」事を前提に、殺人の起きた時刻に現場とは別の場所にいた事が証明されれば無実とされる。キングが挑んだのは「アリバイ」も「殺人の証拠」も双方完璧に揃った不可能犯罪を描く事である。日本人なら多分「デスノート」を思い出す(キングは知ってるのかな?)。種明かしは早い内から明らかなのだがLがいなけりゃ迷宮入りなのが恐怖。この先どうなるのかと不安になった所で強力な助っ人が登場する。因みに本書には「おしどり探偵」へのオマージュがある
読了日:06月17日 著者:スティーヴン・キング
服のはなし 着たり,縫ったり,考えたりの感想
筆者の手による服を着て歩くと母上が「素敵ですね」とよく声をかけられるという。その写真が何葉も本書にあるが一目で素人作品と分かるものだ。母上への声かけは、例えば園児の折り紙細工を服に飾る「優しいお母さん」へのそれと大差ない。そんなお粗末なものでも自慢げに纏う母親の母性愛に人は感動するのであって、作品自体への賛辞ではない。しかし彼女に真実を教えればその母性愛が縮小する恐れがある。それは避けたい。何故なら彼女達の「見る目の無さ」を哀れむのは心地よいから。だから服を頼むのだろう。彼女を哀れみの目で見続けられるよう
読了日:06月18日 著者:行司 千絵
神々の明治維新―神仏分離と廃仏毀釈 (岩波新書 黄版 103)の感想
国の方針でこうすると決めたら、何が何でもそうするためにあらゆる手段を講じ、その場しのぎの嘘でも破綻した論理でも押し通すというやり方はこの頃からあった。150年程前の出来事だが、官民とも流れている心情はオリンピック目前の今とほとんど同じである。国民性ってちょっとやそっとじゃ変わらないんだと思った。
読了日:06月27日 著者:安丸 良夫
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