11月の読書メーター
読んだ本の数:7
読んだページ数:2012
ナイス数:25
増補 死者の救済史 (ちくま学芸文庫)の感想
論旨が明快で面白かった。死者は大別すると①安らかに眠る②浮かばれないに分けられ、平安の頃は②の祟りを恐れ調伏したり説教したりして追い返していたのが、やがて①へと変化させる方法が編み出された。それは現世の者の祈りが死者の功徳になるという概念で、そこから供養や回向などのまつりが盛んになってきたそうな。また同じ現象でも権力のある男性に起きれば示現や託宣とされるものが女性の場合は狐憑きだの神がかりだのと蔑まれると喝破。長年にわたる女性差別によって巫女の地位がどんどん下げられていったとも。冷静で客観的な分析が良い。
読了日:11月28日 著者:池上 良正
もののけの日本史-死霊、幽霊、妖怪の1000年 (中公新書)の感想
古代のモノノケは「物気」と書き、正体が定かではない死霊の気配or死霊を指したそうだ。生が死に変わるのは、肉体から何か目には見えない「気」が抜けるためと考えたのだろうか。時代が進むと「気」を形容するために様々な言葉があてはめられ、名として通用するようになる。「名」があるなら主体もある、目に見えないなら悪さをするだろうと怪異の源とまつりあげられ「物の怪」に。物語が付随するようになると絵に描かれ、流布が進むとパロディが生まれる。それが増えると「物の化」と書かれる程多種多様化し、現代では幅広い概念を含む語となった
読了日:11月21日 著者:小山 聡子
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