12月の読書メーター
読んだ本の数:10
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ナイス数:32
マンガのあなた SFのわたし 萩尾望都・対談集 1970年代編の感想
今は亡き巨匠達との対談。70年代ではまだまだ女性は結婚して家に入るという意識が強く、萩尾先生もお年頃だったとみえやたらと水を向けられている。さらにその以前は「女はSFを読まない」と言われていたそうだ。まあその思想は今でもしっかり残っていて映画の宣伝部が勝手に「女性向け」と「男性向け」と作品を分けているそうだが。男は自分がつまらんと思うものを女性向けにカテゴライズして後は鼻も引っかけないという態度がこの本からも透けてくる。萩尾作品で初めて少女マンガを面白いと思ってもてはやすが、それ以前の作品に興味はないのだ
読了日:12月18日 著者:萩尾 望都
コトバのあなた マンガのわたし 萩尾望都・対談集 1980年代編の感想
終始噛み合わないのが吉本隆明との対談。投げかけてくる質問が観念的過ぎて読んでる側にも分からない。型にはめようとしてるが、第一候補のAが違うと思ったら即座にそれを捨てB、Cと繰り出してくる引き出しの多さは凄いと思った。野田秀樹との対談はフィールドは違えど芸術家として同じ感性を持つ者とのラブコールの応酬みたいで楽しい。光瀬龍や川又千秋といったSF作家とSF話で盛り上がりつつもジェンダーギャップがあるのが感じられる。萩尾が『11人いる』を少女雑誌に描いてそれが受けたのは少女達がSF好きだったからに他ならないのに
読了日:12月19日 著者:萩尾 望都
物語るあなた 絵描くわたし 萩尾望都 対談集 1990年代編の感想
男性との対談も噛み合うようになってきたのは萩尾作品が多くの男性ファンを獲得する事が少女マンガが市民権を得る事に繋がったためか。巖谷國士の章は特に読み応えがある。でも女が読んで納得できるのは今は亡き氷室冴子との対談。彼女の「少女小説」は萩尾作品の主役の少年達に対して「男の子はいいよな(中略)。現実の女の子は人生の主役にもなれなくて、物語の主役にもなれない」と思った事がきっかけだったとか。その後「トーマの心臓」を聖書を引き合いに解説を始めさすがと思った。萩尾が知らないまま同じ事を書くから「聖書は凄い」のだと
読了日:12月22日 著者:萩尾 望都
銀の船と青い海の感想
初出が主に1970年代なので「ポーの一族」が世に出た頃の絵柄に程近く、懐かしい。絵物語だけではなく短編小説もあり、一つ一つにしっかりとした世界が描かれている。ちょっとばかりブラッドベリの「10月はたそがれの国」を想起させる。「地球よいとこ一度はおいで」では北海道の夏が書かれているが、今でも野になっている「グスベリ」を取って食べる子ども達はいるのだろうか。酸っぱくて瑞々しい味を思い出す。この話の主人公の「なな」ちゃんはマンガ家のささやななえさんがモデルなんでしょう。萩尾さんが遊びに行ってしばらく滞在したとか
読了日:12月30日 著者:萩尾 望都
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