12月の読書メーター
読んだ本の数:10
読んだページ数:2595
ナイス数:32
日本人の死生観 (講談社学術文庫)の感想
直前に読んだ「死者の救済史」で克明に分析されていた事象がここでは観念的に紹介されている。読みやすく、分かりやすいが内容がちょっと古いな……と思ったら原本は30年程昔だった。本書にある”「教団があって教理があって教祖があるといいう西洋由来の宗教イメージ”は"日本宗教には本来不要”というくだりに膝を打つ。子どもの頃から不思議だった死者について語る言葉「草葉の陰から見ててくれる」「お盆に祖霊が帰ってくる」「天国に行った」等々、それぞれ矛盾したまま平然と使っている日本人の神経がどこから来てるのか何となく分かった。
読了日:12月06日 著者:五来 重
牛頭天王と蘇民将来伝説――消された異神たちの感想
直前に読んだ「日本人の死生観」に一カ所だけ「牛頭天王」に関する記述があったが、その前に読んだ同様の本には全然なかった。本書によると明治の廃仏毀釈・神仏分離のせいで存在を消されたらしい。各地に残る神社にその名残を求めて旅する著者の紀行文が混じっているのがちょっととりとめない感じ。とはいえ神社の名前にそれぞれ由来があることさえ知らなかった私にはいい勉強になった。素戔嗚神社は近くにもあるが、そんないわれがあるとは全く知らなかった。かつての神々の物語が時代と共に変わっていくのも面白い。しかしよく調べたものだと感心
読了日:12月07日 著者:川村 湊
カラー版 地獄絵の日本史 (宝島社新書)の感想
詳しい説明のないまま「二十五三昧講」等の単語が出てくるのでこれまで読んでた本が役に立った。韓ドラに出てくる「地獄の十王」が唐代9~10世紀に道教思想との集合による偽経『十王経』に基づく事、さらにそれを元に日本で平安最末期に『地蔵十王経』という十王それぞれに本地仏を配した偽経が成立。地獄絵はその内容を事細かく描いた物で、僧による絵解き前提。古い絵なので拡大図が有り難い。CG修復して欲しい。巻末に立山、恐山、熊野那智とかつて「あの世」とされた地域のカラー写真があり、そこが異界とされてきた理由がよく分かった。
読了日:12月08日 著者:末木 文美士,小栗栖 健治,ほか
読書メーター