7月の読書メーター
読んだ本の数:16
読んだページ数:2201
ナイス数:33
騙されてたまるか―調査報道の裏側―(新潮新書)の感想
面白かった。北朝鮮の拉致事件も幾つもの殺人事件も著者がいなければ人知れず葬られていたのかと思うと背筋が寒くなる。殺人事件の時効撤廃にも深く関わってこられたと知り、頭が下がる。残念ながら本書の最終章で著者が心配していた通りにすでに日本はなってしまったが。マスコミがまともに機能しなくなった社会に今私達は住んでいる。SNS真っ盛りの今、「マス・コミュニケーション」自体が曲がり角に来ているのかもしれない。
読了日:07月21日 著者:清水 潔
もう一つの重罪 桶川ストーカー殺人事件「実行犯」告白手記の感想
誤字の多い文章を苦痛に耐えつつ読んだ。実行犯は自分から言い出したために引っ込みがつかなくなり、それで殺人まで犯すハメになったそうだ。呆れる話ではあるが自分の面子が何より重要だと思っている男には珍しい事ではない。一番恐ろしいのは自殺した事になっている小松和人という人間の精神性だろう。人を追い込んだり甘やかしたりして自分の思い通りに動かすのが好きで、意に従わない人間には執拗に嫌がらせをする。本書で冤罪とされている兄の武史も被害者の一人なのかもしれない。同情する気にはなれないが。しかし日本の警察アテにならないわ
読了日:07月21日 著者:久保田祥史
遺言―桶川ストーカー殺人事件の深層の感想
無類の面白さ!政治問題ではないだけで、ウォーターゲート事件の報道に匹敵する内容の深さだと思う。タイトルが「真相」ではなく「深層」なのも意味深だ。真相を明らかにするつもりのない埼玉県警の深層に迫るという事なのだろう。逮捕の時点でストーカー本人ではなく兄が実行犯に指示というのはおかしいと思っていたが、著者もハッキリそう書いている。実行犯の証言だけで兄を犯人とし、弟は放置で逃げるに任せたのが埼玉県警だ。弟が自殺体で発見されて胸をなで下ろしたに違いない。警察だからといって安心して頼ることなどできないのだと痛感した
読了日:07月25日 著者:清水 潔
虚誕の感想
警官達の女性蔑視が被害者女性の訴えを真摯に受け止めなかった原因だろうと書かれていてスッキリした。告訴状を書き換える等の隠蔽行為は自分達の無能と怠慢を隠したいという、つまり面子を守りたいという思いからだろう。殺害実行犯の「刺すと言ったからには刺さねば」という思い込みも自分の面子を保つためだから、根っこは同じだ。彼女は「有害な男らしさ」によって二重に命を奪われたと言っても過言ではない。それにしても『翔んで埼玉』で池袋と埼玉の距離感が知れてて助かった。犯人達は所有のヘルスで警官達を格安で遊ばせてたに違いないわ。
読了日:07月27日 著者:鳥越 俊太郎,小林 ゆうこ