暗殺者の悔恨 上 (ハヤカワ文庫NV)の感想
本書には珍しくシックスの一人称パートがある。それは恐らく彼のこの台詞をより強く印象づけるためだろう。以下抜粋「こういうことを何年もやって、学んだことがある。罪の意識がなかったら、人間は変われない。罪悪感は善行の原動力になる。正しいことをやろうとする。あるいは、自分を縛る力になる。自分を正当化するために善悪の観念を捨ててしまう。(中略)罪悪感のために邪悪な領域に閉じ込められるか、それとも善行に駆り立てられるかを左右するのは、自分の心のなかの力だ。心の中の道義のコンパスだ」著者が伝えたい事がここに凝縮している
読了日:09月05日 著者:マーク・グリーニー
暗殺者の悔恨 下 (ハヤカワ文庫NV)の感想
行きがかりでユーロポールの女性と人身売買組織を追うハメになったシックス。彼の仕事が「拉致して殴って知ってることを吐かせる」と端的に表現されてて笑える。そんな彼が頭脳を使って敵の情報を得る相棒の彼女にすっかり感心するのが微笑ましい。「女のくせに」とか無駄に嫉妬しないのがシックスの良い所。さらにクライマックスではこれまでずっと虐げられるか守られるかの受け身だった女性達が自ら銃を取って戦う宣言をする。細かい点まで作者の神経が行き届いていて嬉しい。物語は映画の「96時間」から「バトルシップ」へと移行する胸熱展開!
読了日:09月05日 著者:マーク・グリーニー