特捜部Q ―檻の中の女― 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕の感想
本シリーズ、TVで3作目と4作目を見て、感動すべきシーンである事は分かるのにそれまでの経緯が分からないため全く感動できず呆然としたのだった。その後1作目から見直して、主人公のカールが何故あんなにいつも不機嫌なのか納得し、感動ポイントまでちゃんとモチベーションをあげていったのも分かった。で、5作目から主役が代わるというので今の内に本も読んでおこうと思ったのだが、何に驚いたってアサドが刑事でもなんでもなくていわゆる雑用係にすぎないって事。あれ? 私、そこ見落としてた? これはそういう問題も扱う作品だったの?
読了日:01月07日 著者:ユッシ・エーズラ・オールスン
特捜部Q ―キジ殺し― 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕の感想
以前に映画を見て内容を知っていたせいもあるが、とにかく読み続けるのが大変だった。カール・マークはとにかく不愉快だし、人種ネタのいろいろも昔はユーモアとして笑えたのだろうが現在ではジョークにしても不謹慎としか思えない。それ以上に上流階級の屑野郎共の人を人とも思わない不遜さに嫌気がさす。それでも彼らはよくいるタイプではあるのだが、キミーとなるともうお手上げ。常識というか常軌を逸し過ぎてて、存在感ある描き方をされていても尚、ムリがあると思った。アサドとローセがいてくれてまだ助かった。続き読むのどうしようか悩み中
読了日:01月19日 著者:ユッシ・エーズラ・オールスン
妖怪と歩く―ドキュメント・水木しげるの感想
なんで読もうと思ったのか忘れたが、本書に描かれる水木しげるののほほんとしているようでそうでもないマンガ家生活は「特捜部Q キジ殺し」を読む合間の気分展開として最適だった。本書を平行して読んでいなかったら「Q」は途中でブン投げていたと思う。本書は丁度NHKで「ゲゲゲの女房」ドラマ化が決まった頃の上梓。ドラマの最後の方に出てきた画業60周年謝恩会の様子がまえがきで語られる。ドラマとはまた違った水木しげるの姿がありありと浮かび上がってくる。筆者は煙に巻かれているようで、実はしっかりと水木を観察していたのが分かる
読了日:01月22日 著者:足立 倫行
特捜部Q ―Pからのメッセージ― (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)の感想
カールの不愉快さと偏見がギャグのレベルまで昇華されてようやく面白くなってきた。アサドの活躍も増えて楽しみ。本作には新興宗教や宗派がいろいろ出てきて統一教会の名前もある。近頃読んだばかりの『豚の死なない日』にはシェーカー教徒の教義を厳格に守る父親が素朴で大変美しくえがかれていたが、『時ありて』では自ら教祖となった登場人物の胡散臭さが描写されていた。本作では牧師など宗教の指導的立場にある者のそれを利用した支配の様子が克明に書かれていて、親の信仰のせいで限定された生活しか送れない子ども達の辛さが浮かび上がる。
読了日:01月26日 著者:ユッシ・エーズラ・オールスン