チッティは村男で特に武芸を習ったこともないだろうけど、とにかく強い。あの優しいクマールが弟と本気で喧嘩などはしなかったろうから、学校で周囲の男子連中と毎日殴り合って意思疎通してたんだろう。手が早いというより瞬発力に秀でてる。耳が悪い分、観察しての状況判断が早い。
特に目をひいたのが両腕を複数人に拘束された際の両脚キックね。あれ、跳び蹴りに近い。両腕が動かないのを逆手にとって、それを支えにほぼ全体重乗せて相手を蹴ってる。そのためには一度ジャンプして自分の身体を宙に浮かさなければならないのだけど、チッティの足腰の強さがそれを可能にしてる。
ラーマの時のアクションはどれ一つとっても「磨き抜かれた技」だったのに、チッティの時は「体得した喧嘩の勘」で戦ってますからねえ、全然違うのよ。でもその分荒々しさがあっていいのよね。チャランはバランスがとてもいいから、どんなポーズでも絵になる。
冒頭、自転車から飛び降りて怪我人に駆け寄るシーンでスローになるけれど、チッティの動きがどれもまるでダンスをしているように見えてただただ美しいの。緊迫しているシーンなのに、そうやってチャランの身体能力と美しさを見せつける監督、あなたひょっとして彼を愛してるわね? そりゃ仕方ないわね