これぞ私が普段見ている映画♪ 開始早々、爆弾による報復テロ、死傷者多数。本筋開始直後には打擲、緊縛、牢破り。殴打、流血、仲間割れ。殺人、虐殺、皆殺し。血飛沫、血の海、酸鼻の極み。 いや、人体にそんなに血、入ってないって
 
人体に入ってる血の量は大雑把にいって女性3リットル男性5リットルなんですが、絶対それ以上に血糊使ってたな。大体派手な出血は生きてる間にしかしないんで、死んじゃったらそんなに出ないはずなんですけど(心臓が止まれば血流もなくなるので)。まあそんな野暮は言っちゃいけないんですね♪ 
 
かくの如く #オオカミ狩り テーマはズバリ流血。『コン・エアー』の貨物船版かと思ったら途中から『エイリアン』になる感じ(なお、宇宙には行きません)ですが高尚な事は何もなく、ただただ血をほとばしらせるための殺戮が繰り広げられるのです。まあ世の中には血を見るのが好きな人もいますからね
 
一応過去の因縁話もあるし、現代にはびこる社会悪を見せつける的なシーンもあるけど、まあ添え物ですな。 この映画の面白い所はキャスティングからは展開が読めないって点でしょうか。普段から頻繁にドラマで見かける俳優さんばかりなんですが、どう転ぶか分からないのが韓国映画でして……。 
 
ドラマの主演では「いい人」ばかりなので飽きるのでしょうか、『非常宣言』のイム・シワンといい本作のソ・イングクといい、「あなたがそんな人とは思わなかったわ!」と女性ファンにそっぽ向かれそうな役柄を口から血糊をだらだら流しながら嬉々として演じてます。本人達は楽しかったんだろうな
 
誰にでもあるでしょう、嫌なことがあったり理不尽な目にあったりしてこの世の全てを呪いたくなる時が。人類全てを粛正してやる! 血じゃ、血じゃ、血祭りじゃあ~!! と怒りの焔が胸に熱く燃え盛る日。 そんな時に見るべき映画がこの #オオカミ狩り あなたの鬱憤を代わって晴らしてくれますよ♪
 
電車で隣に座った男が不愉快だったら?
そんな時こそ『オオカミ狩り』!
出てくる男、ほとんど惨殺されますの
で、お好きな場面でその不届き者の顔をあてはめてお楽しみ下さい♪(マジで血の量ハンパないので脳貧血にご注意)

 

 

そう、実は #AIRエア はドスティな話。マット・デイモンが演じるソニーが社長や同僚とのドスティで成功をなし遂げていくのです。

 

不振をかこっていたバスケットシューズ部門の長、ソニー。主役なので早々のご登場。彼は高校生達のゲームを見ては次のスター選手が誰かを見極め、早めに売り込むためナイキのシューズを提供するなど現地を回っては細やかな仕事をしている。でも帰りにはカジノに寄って大勝負をしてスッテンテンに。 

 

彼の眼力は鋭く各チームの強さも見抜けるから、スポーツクジでは連戦連勝。なんというか、浮き沈みの激しい人です。でも仕事ぶりは丁寧だし、見る目もある。そして人情に篤い。それは社に戻ってからのお喋りや会議のシーンで伝わってきます。この間ほぼ台詞だけなのに退屈しないってすごいと思った。 

 

私が普段見てる映画ならとっくに一騒動あって銃撃とか爆発とかせめて殴り合いとかは起こってるはずなのに、何にもないんですよ #AIR は。そういう意味ではほんっとに地味な映画なのに見る者を飽きさせないって、どこにそんな魅力があるんだろうって不思議にさえ思っちゃう。監督の演出力ですね。
 
監督のベンは自分も俳優だから役者仲間の演技力を信じてるんですね。会話が延々と続くシーンでも、その内容の面白さを彼らが十二分に伝えてくる。台詞のテンポもよいし、一瞬の間で笑いに落とすツボも心得てる。二人のやりとりの中で緊迫感の盛り上がりとその解消によるカタルシスを感じられるんです 
 
あ、登場人物は多いんですが、重要なのは大体「二人の会話」部分に絞られます。マットを聞き役にもう一人が心の内を明かパターン。ジェイソン・ベイトマンが素晴らしくてオスカー級だと思いましたが、続くクリス・ロックも負けてませんでした。こんな話ができるのは信頼の証ということ。 
 
会話の端々でさりげなくソニー(マット)の面倒見の良さというのも伝わって来るんですね。コイツは友達甲斐のあるヤツだと周囲のみんなが思ってる。だからクライマックスに向けてみんなが自然と味方についてくれる展開に無理がない。これはビジネスの話じゃない、最終的には人間性が勝利する物語です 
 
彼らの前に立ちはだかるのがヴィオラ・デイヴィス。いや、ウォラーじゃなくてジョーダンの母役ですけど、迫力は同じだけあったわ。これね、面白くってね。日本ではプロ野球選手の新人獲得は父親を落とせって言われてたそうなんですが、アメリカバスケ界では母親がキーパーソンの場合が多いのね。
 
「将を射んとせばまず馬を射よ」は洋の東西を問わないけれど、落とす性別は違うんですな。それはさておきデロリス(母)は最初から大変思慮深い人物として登場します。息子の力量を正しく理解し、それを伸ばすためにできる限りの事をしてきた母。ノーベル賞に「母賞」があったら彼女に授けたい。 
 
ソニーは彼女を手懐けようとはしません。きちんと話す。黒人の女性を相手に白人の男性と同様に。いろいろ資料もありましたが、彼は経験的に知っていたのでしょう、交渉する相手を一瞬でも見下したらそこで決裂だと。これ、1984年の話なので、当時の白人男性にはなかなかできる事ではなかったのでは 
 
だからやっぱりソニーの人間性なんですよね、デロリスの心を掴んだのは。ビジネス上の手管も用いてますが、それ以前にソニーがどれだけ自分の息子の人生を大事に思っているかを彼女が信じたのが大きいと思うんですよ。彼の言葉に嘘がない事をデロリスは見抜いていたんだと思う。 
 
それだからこそ、最後の提案をした。 これは大金がからむ話なんですが、それを話している時のデロリスには全く金銭への執着がないんですよ。お金を儲けたいのではなく、息子の人生を確かなものにしたい。確信を持ってそれをソニーに伝えている。まあヴィオラもオスカー級演技ですね。 
 
それを、もうどうしようもないって顔で社長に伝えるソニー。ここからがベンとマットのドスティ本領発揮で、彼らを知ってる観客が終始にまにましちゃうシーンでした。いや、どうして誰も殴り合いしないのにこんなに緊迫して面白いの #Air 主役マットのオスカー演技は御自分の目でお確かめください♪
 
#AIRエア ナイキがエアジョーダンを世に出すまでの話。劇中、社長が「大体なんでジョギングなんかするんだ?」と問われて返す言葉が『RRR』で牢獄にいるラーマがスコット達に言い放ったのとほぼ同じでした。 「責務とは行為であり結果ではない。私は結果は求めない」という名句。
 
#AIRエア では何の目的もないのにただ走ってどうする、みたいな事をマット・デイモン演ずる主人公に言われたベン・アフレックの社長が言い返すんですよ。 「走ることそのものが目的なんだ。結果は問題じゃないんだ」的な事(台詞の詳細は忘れました。ゴメン) この社長、仏教徒なんだそうです。
 
でも社長室のインテリアを見ると仏教というよりインド思想かぶれと言った方が近そう。「責務は~」のくだりは『バガヴァット・ギーター』由来だそうですが、これヒンドゥー教で仏教ではないので。 ともあれ社長のその「(苦しくとも行う)行為そのものが貴い」という思想はインド的なものなんです
 
誰かと競うわけでもなくただ黙々と走るのがジョギング。理由がなければ走れないアメリカンにシューズを売り込むために「走ることそのものが目的」という異国のエキゾチックな思想を導入する必要があったのかもしれません。その後は健康ブームにのっかって急激に流行が広がり会社も大きくなった。 
 
ジョギングブームは会社にとっての命綱。だから社長は走ってるのにそれをバカにするような事を言える社員って、相当ですよ? 実力があるか、或いは社長とドスティか。 そう、実は #AIRエア はドスティな話。マット・デイモンが演じるソニーが社長や同僚とのドスティで成功をなし遂げていくのです