~亜鉛はなぜ体内蓄積したカドミウムを排出できるのか~
カドミウムとはどんな重金属で、
亜鉛とどのような関係にあるのか、
亜鉛はなぜ体内で悪影響を及ぼすカドミウムを追い出すことが出来るのか、
カドミウムという有害重金属はいったいどこからくるのか?
です。
カドミウム汚染の主な発生源は金属の採掘、精錬の場所であり、
空気中に放出されたカドミウムは水中、土壌に堆積し、
そこで生育した野菜、穀類、家畜、魚介類等、様々な食品を経由して人体内に取り込まれます。
カドミウムはすべての食品中に存在しますが、その濃度には食品の種類によって大きな差(平均値で0.003~0.1ppm)がみられます。
野菜、穀類、獣肉、魚肉中では0.005~0.06ppmと低濃度ですが、獣、魚類の肝臓、腎臓では1ppm程度と高濃度で、さらに貝類、イカの肝臓では100ppm以上の高い値を示すことがあります。
また、日本人が主食とする米中のカドミウムは、非汚染地域で0.005~0.13ppm、カドミウム汚染地域各地では0.2~2.0ppmと、非汚染地域の米に比べて10倍以上のカドミウムが含まれています。
そこで、我が国では主食とする米からのカドミウム摂取量を制限するため、食品衛生法によって、カドミウム濃度が0.4ppm以上1ppm未満の米は食用として販売禁止、1ppm以上の米は栽培することも禁止としています。
ちなみに、
中国産の米が問題になったりすることもあります
ヒトでのカドミウムの体内吸収は、
主に消化管と呼吸器を経由して行なわれ、
消化管からの吸収率は1~6%、
呼吸器からは粒子径、
化合物等によって異なりますが、
2.5~20%程度とされています。
体内に吸収されたカドミウムは全身の臓器に運ばれ、標的臓器である腎臓に運ばれたカドミウムはメタロチオネイン(タンパク質のひとつで後述)を誘導し、それに結合して腎皮質に高濃度に蓄積するため、毒性の発現が抑えられます。
しかし、腎臓中のカドミウム濃度が過剰になり、メタロチオネインに結合できないカドミウムが出現すると、それによって腎臓障害が発症すると考えられています。
健康成人では、
体内カドミウムの50%は腎臓に、
15%は肝臓に、
20%は全身の筋肉に存在しており、
各臓器中カドミウムの生物学的半減期は、
ヒトでは10~30年と非常に長く、
臓器中のカドミウム濃度は年齢の増加とともに高くなることが知られています。
(食品内のカドミウム汚染割合)
また、体内に蓄積されたカドミウムは主に尿中に排泄されることから、健康成人の尿中カドミウム量はその体内蓄積量及び腎臓中濃度を示すよい指標であると考えられています。
そのようなカドミウムの過剰蓄積は特に、
体内の亜鉛が不足すると、
有害重金属としての影響を受けやすくなります。
亜鉛とカドミウム(水銀も)は元素周期表では同族の12族にあり、元素の性質がきわめて似ているために、食品中の亜鉛が少ない場合、その代わりに有害重金属のカドミウムのほうが体内に吸収されやすくなるのです。
(画像の出典:http://namimail.net/archives/1572)
もう少し詳しく話しますと、
毒性重金属であるカドミウムが体内に入ってきた時に、それらの摂取量に応じて自然に合成されて働くタンパク質、メタロチオネインがあります。
メタロチオネインは普通の状態では亜鉛と結合しているのですが、カドミウムのほうが亜鉛より結合力が強いため、亜鉛と置き換わります。
その結果、体内に入った重金属の毒性がメタロチオネインによって軽減されるというわけです。
このメタロチオネインを研究し、医学にも役立てようと研究もされています。
このようなメタロチオネインの作用は、
生物の体に備わった防御システムの一つ。
そのため、メタロチオネインは困った時に助けてくれる非常時タンパク質とも呼ばれています。
メタロチオネインは人間だけでなく、すべての動物に存在しますが、私たちの生命維持に必須のタンパク質ではありません。
ただ、カドミウムの摂取量が多過ぎると(蓄積量も同様)、人体には影響として過剰摂取による症状が前述のように出てきます。
こうした体内蓄積したカドミウムの排泄を促進するのが、栄養素のことからアプローチした山田豊文氏特別監修(当協会特別顧問)、当協会推奨のファスティング用ドリンクであり、私たちの分子栄養ファスティングメソッドになっています。
●参考書籍:
・重金属のはなし 渡邉泉著
・ミネラルの事典 糸川嘉則著
●参考サイト:
・愛知県衛生研究所 衛生化学部 生活科学研究室
http://www.pref.aichi.jp/eiseiken/5f/cd.html
・毒性重金属から体を守るたんぱく質 「メタロチオネイン」の謎に挑む
http://www.kobegakuin.ac.jp/gakuho-net/infocus/2011/2011_11.html
・京都大学 農学研究科 応用生命科学専攻 植物栄養学研究室
http://www.npk.kais.kyoto-u.ac.jp/research/