こんにちは。じゅっぺちゃんです。

 

岳南朝日新聞  2018年 平成30年 8月8日 水曜日 掲載

の記事を読みやす〜くカエル

 

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幼児教育・保育を考える No.2 

― 先生の人材難時代に 

有資格者の理解、協力を ―

シリーズ寄稿 塩川寿平(元静岡県立大学教授 大中里こども園名誉園長) 

 

①先生不足について

乳幼児教育・保育を考えるにあたって、まず何よりも大切に考えなければならないのは先生です。

 

なぜならば現場を支えているのは先生だからです。

 

理事長さんや園長さんがお子さんを見ているわけではありません。

 

現場に立つ先生がお子さんを見ているのです。

 

その先生が不足しているのです。

 

いちばん大切な先生の人材難時代が始まりました。

 

幼稚園・保育所・こども園等で働く先生は新しく法律で定められた『保育教諭免許状』を取得しなければなりません。

 

実は『保育教諭免許状』は、幼稚園教諭免許状(文科省)プラス保育士資格(厚労省)が合体したもので、2つ共に必要なのです。

 

なぜそのような制度ができたのか「保育教諭誕生」のお話をしましょう。

 

学校としての幼稚園と、児童福祉施設としての保育所の機能を一体化する「幼保一元化」の国の政策であり、先進諸外国の「乳幼児からの教育」の流れと言う、合理性に富んだ制度に準拠したのです。

 

 

一言で言うと、3・4・5 歳児の午前中の4時間は教育(幼稚園)としてすべての子どもが公教育(幼児教育無償化2019.10)を受けることになります。

 

午後は、放課後の扱いになり保育(児童福祉)になります。

 

これを1人の先生が担当するので免許と資格の両方が必要になるのです。

 

 

ではなぜこのことが先生不足につながるのでしょうか。

 

今、現場の先生の声や、政治家の発言や、新聞紙上の論調によるわかりやすい大問題の説明は、『その使命の重さと労働内容から考えて、給料が安すぎる』という決定的な問題です。

 

一般的な労働者の年収が約300万円と言われております。

 

それに比べて保育教諭の年収は約200万円(公立の正職の先生は除く)と言われております。

 

 

 

②保育園・こども園経営者の嘆き

『仁義なき保育士争奪戦の先には』保育園・こども園経営者浅田精利(茨城県)の声(朝日新聞h30.1.28)の趣旨を塩川が一部分紹介させていただきます。

 

『先生募集の合同就職説明会のチラシがあり行く。

 

県境をまたいだ千葉県のある市の保育園・幼稚園団体の共催。

 

驚いたのは「月約4万円の給与を上乗せ」「月約8万2,000円までの家賃補助」だ。

 

市独自の補助制度のことだが、我が県にも市にもとてもそんな財政的余裕は無い。

 

慢性的な先生不足、人材確保に困っているのはどこも同じなのに、隣県にまで手を伸ばすとは、言葉を失った。』

 

このような事態は程度の差こそあれ、国の処遇改善の不十分な今、需要と供給に任された先生争奪競争は千葉県と茨城県の問題に限りません。

 

我が富士宮市と言う人口13万人と言う自治体の中でも、競争は園長さん・理事長さん・経営陣の悩みです。

 

富士宮市でもよく見る新聞広告や、折り込みチラシには、

 

『保育士さん大募集:*7:00~18:30の間4~6時間、*7:00~18:30の間8時間、*朝・夕だけの短時間勤務も可。*時給920円~ *月給17万円~ 』

 

と言う内容を多く見るようになりました。

 

『それでも先生不足は続いています』と、嘆く園長さん・理事長さんの声を多く聞きます。

 

全国からの報告でも、「入園したい園児がいるのに、先生不足で空き教室」がでています。

 

富士宮市でも先生不足で「定員を減らさなければならない」と、考えている園もあります。

 

 

③市民の皆様にお願い

先生不足は、富士宮市のどの園の理事長さん・園長さんの最大の悩みです。

 

市内の皆さんの中で幼稚園免許と保育士資格をお持ちの方に、この状況をご理解いただきハローワークに再就職の掲示をお願いしたいと思います。

 

働き方や、勤務時間帯はそれぞれの施設の園長さんと、ご相談と言うことでお願いしたいと思います。

 

政府もこの困った状況を打開するために、給料を上げると明言し、調査と改善を始めました。

 

厚生労働省の2017年の調査で、保育士の平均賃金は月22万9900円。

 

全産業平均とは10万3900円の開きがあった。

 

公立園は公務員に準じた給料だが、私立園の給料の原資は国が定める「公定価格」です。

 

利用する子どもの数を掛け合わせた額が委託費として園に支払われます。

 

財源は公費と保護者が支払う保育料です。

 

安倍晋三首相は施政方針演説(h30.1)で「保育士の処遇を月額3万円相当改善してきた」と発表しました。少しずつではありますが、根本的な問題の委託費の仕組みの改善も進められております。

 

しかしながら先生不足に歯止めがかかるまでには長い時間がかかるのも覚悟しなければなりません。

 

そのためには国会を通す公定価格の改善が必要になるからです。

 

それまでの間、子どもの成長は待ってくれません。先生が必要です。

 

働ける状況にある富士宮の市民の方のご協力をお願いします。

 

例えはよくないと思いますが、『災害時の緊急事態の時に自衛隊に助けを求める』のと同じ様な思いです。

 

先生不足は緊急事態です。今

 

すぐにということで富士宮の市民の方で、今は働いていないが幼稚園教諭と保育士資格を持っている方に助けを求めます。

 

『最終的には国民の理解を得て、政治の力による処遇改善を成し遂げて、先生が集まる魅力ある職場にすることを求めます』が、

 

今現在としては、市民のみなさん、そして身近な地域の皆さんと共に、

 

心を合わせて幼児教育と保育という現場を支えいきたいと私は思います。

 

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【特記: 保育の公定価格とは、内閣総理大臣が定める基準により算定した費用の額です。子ども一人当たりに必要な費用で、保育士や事務員等の人件費、折り紙や絵本などの事業費、施設補修などを管理する費用を積み上げた額です。公定価格をもとに私立園への委託費が決まります。 】 

 

 

 

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塩川 寿平(1938年生まれ)


   大地教育研究所所長
   大中里こども園名誉園長
   元静岡県立大学教授


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活動:こども環境学会アドバイザー
    愛育心理研究所インストラクター

著書:「名のない遊び」「コーナーのないコーナーの保育」 
    「どろんこ保育」「大地保育環境論」等   
(出版社 フレーベル館=電子書籍化も有ります)

 

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    ジュッペちゃんの保育のこころ
子どもを大切にするということは人としてであって、
私たちの"大地保育"は大人も童心人となって、
子どもと共に独立国(子どもの園)を創造するということ
ではないかと思います。 
いつでも・どこでも・いつまでも子ども心を忘れずに
『名のない遊び』等を大切にしたいと思います。

 

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勤務先:大中里こども園
静岡県富士宮市大中里837
姉妹園野中こども園(旧野中保育園 創立1953年)

 

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社会福祉法人柿ノ木会「大中里保育園」は、
平成30年度から
幼保連携型認定こども園に移行し、
施設名称を「大中里こども園」と改めました。
今後ともよろしくお願いいたします。

 

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