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第1回 幼児教育・保育無償化に賛成 

第2回 先生の人材難時代に

第3回 定員割れ 園児の奪い合い どうする

キラキラ

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こんにちは。じゅっぺちゃんです。

 

岳南朝日新聞 2018年 平成30年 8月22日 水曜日 掲載されました。

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幼児教育・保育を考える③

シリーズ投稿③ 塩川寿平(元静岡県立大学教授・大中里こども園名誉園長)

 

 

1.親と園と行政をつなぐ

今回は、少子化に伴う地方都市である富士宮市の「定員割れ」の問題について考えてみます。

 

事情の全く違う大都市の待機児童問題はさておいて、地方の園長さん理事長さんの悩みは園児の減少です。

 

園児募集の広告を出したり、通園バスを使うなど、それぞれの園で生き残りのための経営努力を繰りひろげています。

 

その過激化する園児獲得競争は、幼児教育・保育の職業倫理の場としてはふさわしいことではないので、市全体の園のあり方として、親と園と行政をつないで調和のとれた解決の道を模索することを目的としています。

 

また、親の立場に立ってみると、乳幼児に関する園の種類と数(=約45施設)が多いことや、質もまちまちで戸惑います。

 

また、先生の資格も3分の1以上の職員が保育士資格を持っていれば良い施設などもあり、安心して我が子の入園先を相談できる行政とつながる窓口が希望されています。

 

 

2.地方の定員割れの原因

まず、日本の少子化の現況から見てみましょう。

 

総務省も2018年4月1日の発表で、 15歳未満の子どもの数が1,553万人。

 

昨年より17万人減少しました。これは1950年以降で過去最低の子どもの数です。

 

 37年間連続の減少です。

 

今年の「こどもの日(国勢調査の推計)」では、

 

*14~12歳は326万人 

*11歳~9歳は323万人 

*8~6歳は313万人 

*5~3歳は298万人 

*2~0歳は293万人

 

と少子化は進んでいます。

 

国全体の新生児数も200万人から94万人の時代です

 

政府も様々な少子化対策を出していますが、歯止めがかからず大きな社会問題となっています。

 

さて、富士宮市の定員割れを見てみましょう。

 

富士宮市の新生児は約1,000名です。

 

ですから 0~6歳児の乳幼児数は約6,000名になります。

 

このうちの75 %ほどの保護者の方が入園を希望しています。

 

従って、約4,500名分の定員数の園があれば良いのですが、

 

富士宮市の受け皿としては、

 

幼稚園・幼稚園の預かり保育・こども園・保育所・ A型小規模保育所・

 B型小規模保育所・家庭的保育所・地域型事業所内保育所・

企業主導型保育所・居宅訪問型保育・児童発達支援施設・

無認可託児所、

 

等々の幼児教育・保育を業務とする約45施設で、その定員の総数は5,500名余有り。

 

入園希望数の約4,500名を大きく上回り、各施設は定員を確保するために、相互間での生き残りをかけた、やむにやまれぬ園児獲得競争となっているわけです。

 

 

3.行政につなぐ

少子化の時代の流れの中にある富士宮市も例外ではなく、「定員割れ」の問題は避けて通ることはできません。

 

幼児教育・保育と言う職業倫理のあり方から、資本の論理による市場競争のような自由競争(=力の強い園が独占的に勝つ競争)にまかせるのではなく、地域性と乳幼児数と園数の『公平な需要調整』を行わなければならない今となっています。

 

そのためには各園の効果的・効率的な運営や定員設定など、ハード・ソフト両面から富士宮市のあるべき姿を行政は明らかにし、基本的な方向性を親と園に早めに示していただきたいと思います。

 

富士宮市には大小の約45施設があり、少子化傾向の中で幼児教育と、同時に長時間保育の希望増加があり、バランスのとれた整備が望まれています。

 

公立と民間の担うべき役割。

 

運営経費の抑制。

 

適正な園数の再編成。

 

質の向上、等が主要な課題です。

 

具体的には、各園の定員数を削減する。

 

また、公立と民間の比率を決めると言う改革になりますので、この改革のリーダーシプは中立・公正な行政でなければできません。

国・政府はこの問題の解決のためのプロセスと決定権を、自治体の裁量に委ねております。

 

現況を行政につなぐためには、富士宮市の乳幼児1~6歳児「約6,000名」の、1号認定・ 2号認定・3号認定の需要調査をおこない、その伸びと割合を予測し、10年計画を策定することが急務です。

 

と言うわけで、改めて『親と園と行政とがつながる』ことが期待されます。

 

4.保護者のみなさんへ

保護者の方が希望する園を選ぶ前に、制度についてお話をします。

 

まず初めに、入園するには富士宮市こども未来課で、園を利用するための「認定」を受けます。

 

認定には、以下の3つの区分があり、区分ごと利用可能な施設があります。

 

認定の申請後、『支給認定証(施設を利用するための証明書)』が発行されます。

 

*認定区分:1号認定=対象は3歳以上、小学校就学前の子どもで、教育を希望する場合。

*認定区分:2号認定=対象は3歳以上、小学校就学前の子どもで、保護者の就労や疾病等により、家庭での保育が困難な場合。 

*認定区分:3号認定= 満3歳未満の子どもで、保護者の就労や疾病等により、家庭での保育が困難な場合。

 

この「認定」を受けたら、次に『支給認定証』を持って下記の利用可能施設を訪問します。

*1号の利用可能施設は、①(新制度に移行した)幼稚園 ② 認定こども園(幼稚園部)

*2号の利用可能施設は、①保育園 ② 認定こども園(保育園部)

*3号の利用可能施設は、①保育園 ② 認定こども園(保育園部) ③ 小規模保育所

 

 

以上の中から選ぶわけですが、まず希望する複数の園を訪ねて『建学の理念』をよく聞いた上で、実際に園の様子を見学させていただくことです。

 

保護者、そして、お子さんもご一緒に、できれば1~2日の体験入園をされることが理想です。

 

大切な事はその園の創設者がどのような『建学の理念』で園を創設されたのか。

 

例えば『のびのび保育』『個性と創造性の尊重』『自然から学ぶ』『遊びを大切にする』『感謝の心を育む』等をしっかり聞いてくださいね。

そして、その『建学の理念』は今現在どのように現場の先生方に継承されているのか。

 

『我が子の個性に合っている園か?』『親の教育方針に合っている園か?』を自分の目で見て、話して、良く考えて、大切なお子さんの入園を決めてくださいね。

 

 

 

 

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塩川 寿平(1938年生まれ)


   大地教育研究所所長
   大中里こども園名誉園長
   元静岡県立大学教授


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活動:こども環境学会アドバイザー
    愛育心理研究所インストラクター

著書:「名のない遊び」「コーナーのないコーナーの保育」 
    「どろんこ保育」「大地保育環境論」等   
(出版社 フレーベル館=電子書籍化も有ります)

 

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    ジュッペちゃんの保育のこころ
子どもを大切にするということは人としてであって、
私たちの"大地保育"は大人も童心人となって、
子どもと共に独立国(子どもの園)を創造するということ
ではないかと思います。 
いつでも・どこでも・いつまでも子ども心を忘れずに
『名のない遊び』等を大切にしたいと思います。

 

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勤務先:大中里こども園
静岡県富士宮市大中里837
姉妹園野中こども園(旧野中保育園 創立1953年)

 

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社会福祉法人柿ノ木会「大中里保育園」は、
平成30年度から
幼保連携型認定こども園に移行し、
施設名称を「大中里こども園」と改めました。
今後ともよろしくお願いいたします。

 

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