第6話

ー コロナ渦中の家族遊びの提案 ー 

 

1、紙吹ぶき遊び

 お子さんたちはコロナ渦中にあって3密を守る生活をしています。

行動が制限されるという、いつもと違う生活が続いているので、

子も親も欲求不満がたまっています。

そこで、欲求不満を解消する遊びを家族で知恵を絞って

考えてみましょう。

 

 山のようにいっぱい新聞紙をちぎって遊ぶ紙吹ぶき遊びです。

本当は幼稚園や保育園のお砂場や、どろんこコーナーで

お友達とワイワイ、ガヤガヤと遊びたいのですが、

今はそれはちょっとできません。

 

 だけどもそんな遊びやってみたいなぁー。

それに代わる遊びはないかしらと、

小学校2年生の僕と、5歳の妹と、3歳の弟と、お母さんと、お父さんも

加わって家族会議を開いてお部屋でできる遊びを考えました。

お家の8畳のお部屋で紙吹ぶき遊びをすることになりました。

 

 砂場の遊びや、どろんこコーナーの遊びとだいぶ違うように見えま

すが、「浄化作用(カタルシス効果)」は同じです。

「気持ちがいい」のも、「上手下手はないし、気楽」なのも 同じです。

 

 思い出しました。

秋のお山に遠足に行ったとき、先生と一緒に落ち葉をたくさん集めて

積み上げて「寝ころがったり」「もぐったり」「飛び込んだり」しました。

そして空高く力いっぱい落ち葉を舞いあげて「落ち葉吹ぶき」で

楽しんだ思い出です。

 

2、家族で用意するもの

 

 いらなくなった古い新聞紙や広告の紙をたくさん用意しましょう。

量的にはどのくらい必要かと言うと、

新聞紙をいろいろ自由に破く遊びを楽しみながらやるわけですが、

4畳ぐらいの広さに段ボールで高さ50センチ位の壁を作って囲います。

そこに深さは30センチ位になるように破った新聞の紙くずでいっぱい

にします。

 そしてお風呂のようにつかったり、プールのように泳いだり、

枯れ葉の山に見立てて潜れるくらいのたくさんの新聞紙が必要です。

 

 苦労して作った「段ボールのプール」です。

まだもったいないので1週間ぐらいはそのままにして遊びましょう。

満足するほど遊べたら片付けましょう。

 片付けのために大型のビニールのゴミ袋が必要です。

やぶいた紙の量にもよりますが、10袋ほど用意すれば安心ですね。

その他に掃除道具が必要です。ほうきやちりとり、掃除機も用意してください。

 満足するほど遊んだら家族全員で楽しかった気分を大切に

綺麗に後片付けをしましょう。

 

3、遊び方について

 

 遊び方は、

①初めは、新聞紙を丸めて剣を作り、『チャンバラごっこ』をして遊びます。

新聞紙を固く丸めてしまうと、叩かれると痛いので、柔らかい剣を作りましょう。

遊び方は レンジャーものに変身したり、戦いで暴れ回るので剣はボロボロに

なって破れてしまいます。

 この破れた新聞の紙くずは取っておいて、

段ボールのプールに入れて、紙吹ぶき遊びに使います。

剣は破れてしまったら、新しい新聞で次々と作って戦いは続きます。

紙吹ぶき遊びに必要なボロ紙がたくさんできるというわけです。

 

 ②次に、『たくさん取れたのだーれ』と言う簡単な遊び方です。

1枚の新聞紙を大きく広げて、5人家族でそれぞれ新聞紙の端を持ちます。

『始め!』の声で、引っ張り合って破り取るゲームです。

取り合いになってビリビリに破れた新聞紙が一人一人の手に残ります。

 破りとった紙の面積で勝負が決まります。

家族みんなで大騒ぎになってとても楽しいゲームです。

この破れた新聞紙は、段ボールで囲ったプールに入れます。

何度も新聞紙を取り替えてチャレンジしますから、

その度に紙ぶき遊びの材料となる紙くずはたくさんできます。

 

 ③さらに、『長距離競走』という遊び方があります。

家族一人一人が大きい新聞紙を1枚づつもらいます。

その新聞紙を端からビリビリと破いて長い紙テープを作ります。

途中でちぎれてしまわないように用心深く長いテープを作ります。

いちばん長いテープを作った人が長距離競走の勝利者です。

 

 ①と②の遊びは興奮して、家族みんなで大騒ぎになりますから、

子も親も日頃の欲求不満のストレス発散となり、

3密生活の心の治療になります。

 

③は、ストレスも発散し、心も落ち着いてきて、

今度は静かな遊びをしたいなぁと思っている時の遊びです。

長いテープを作るために細く破っていかなければなりませんから

慎重になります。

途中でテープが切れてしまっては大変ですから神経を集中させて

遊びます。

 ①と②の遊びと違って静かな時間が流れ、

楽しみ方もまた別のものです。

途中でテープが切れてしまったら、

また別の新聞紙をもらって再チャレンジです。

そんなわけで、また、また、たくさんの紙くずができます。

 

④は、いよいよ『紙吹ぶき遊び』です。

今までにたくさん遊んで出来上がった紙くずを、

段ボールで作っておいたプールに入れます。

「お風呂に入ろう。あったかいなぁー」

「プールだ。飛び込むゾー」

「落ち葉の山だ。隠れよう。潜っちゃえ」

「紙吹ぶきだ。高く、高く、天までとどけー」と大はしゃぎです。

 いつの間にかお父さんは紙くずプールの中で

ワニさんになって、我が子の3人を乗せて、

お父さんもすっかり仲間になって楽しそうに遊んでいます。

 

 

4、まとめ:コロナ渦中の親の責任

 

①エネルギーを発散する

 家庭でも窮屈な3密に負けない代替え遊びを考えましょう。

新聞紙、包装紙、トイレットペーパー、段ボールなどのいろいろな

紙で好きなうに遊びましょう。

 ちぎる・やぶく・ひっぱる・ まるめる・つきやぶる・ふむ・なげる

・ころがる・もぐる等、何をしても良いと分かると色々なことを試して、

色々な遊び方を創造します。

 コロナで退屈してたまったエネルギーも発散することができます。

親の責任でコロナの渦中でもいろいろ挑戦して

エネルギーを発散しましょう。

 

②空想の世界に遊ぶ

 3密の生活で家にいることが多いのですから、

親の責任で家庭での遊びを考えましょう。

新聞プールで、泳ぎ回ったり、散らかしたり、投げ合い、ひっぱり合い、

ころげまわって遊ぶうちに、お子さんは自由に空想の世界に羽ばたきます。

 お化けになる・海になる・波になる・空になる・雲になる・宇宙になる

・地面の下になる・忍者になる・ドレスになる・スカートになる・姫になる

・ラーメンになるなど、次々となりきって空想遊びに入ります。

お子さんにとっては、紙くずの山ではありません。

空想の山なのです。

 

③固定概念を砕く

 手でちぎったり、 まるめたり、全身でさわっているうちに、

紙の持つ材質の違いを知っていきます。

 すぐに破けてしまうもの。なかなか破けないもの。厚さの違い。硬さの違い。

いろいろな体験から固定概念が崩れ、ものの見方が広がります。

このような体験を通してお子さんは固定概念にとらわれない

自由な精神を獲得していくのです。

 

④破壊から創造へ

 今までの常識には無い大がかりな紙やぶきでの洗礼を受けて、

そのショックで抑圧から解放されると、

破壊を卒業して、自由な発想が芽ばえ創造の喜びに向かいます。

 そのようなお子さんの成長を見逃さずに、

家庭でできる紙工作や、木工、絵画、音楽など、

モノを作り出す芸術や科学する環境をお子さんの発達過程に沿って

用意してあげるのも親の務めです。

 

(第6話 終わり)