第14話 どろんこ保育の初心に立ち返って
ージュッペちゃんの粘土遊びと陶板作品ー
2020.11.10
1、どろんこ窯
野中こども園(旧:野中保育園 1953年創立。静岡県富士宮市)には、名物の大きなどろんこ窯(写真①)があります。
『どろんこ保育』は大地保育の象徴で、どろんこの種類は「どろんこ遊び」だけではなく、「花壇つくり」、「花を育てたり」、「園庭一角にある畑の耕作」、「野菜を植えたり」、「粘土造形」、「陶芸制作」等々の【土と関わる保育の総称】です。
ですからどろんこ窯は、「大地保育の理念」に基づく保育施設として大切にされています。
園児の自由な発想から生まれる創作作品はどれも創造的で、園児の数だけ個性的な作品が生まれて心を打つものばかりです。
そして、どろんこ窯は園児だけのものではありません。職員も保護者も『粘土を体験し、どろんこ保育への理解を深め、作品を作り』、園児と共に
陶芸を楽しんでいます。
2、どろんこ保育の初心に立ち返って
どろんこ保育を理解するためには何よりも体験することです。
今年も園児たちが折々に制作した作品がたまったので、恒例の「どろんこ窯」に火を入れる11月となりました。
ジュッペちゃんも久しぶりにどろんこ保育の初心に立ち返って、粘土遊び、そして陶板つくりを体験しました。
ツルツル~ヌルヌル~を思い出しました。粘土遊びの心地よい感触です。
久しぶりに粘土にさわって、五感の一つの「触覚」を使って癒された感動体験でした。
3、ちょっと話はそれますが今年のコロナ禍中の話です。
ジュッペちゃんは看護学校でオンライン授業をしました。
また、Zoomで保育研修会やこども環境学会の会議にも出席しました。
そこで感じたことですが、オンラインもZoomも
テレワークに向いている仕事には有効だと思いますが、五感のうち「視覚」と「聴覚」しか使っていないことに気がつきました。
4、粘土遊びをしていてつくづく「触覚」の大切さを実感しました。
ジュッペちゃんは保育・幼児教育の現場と大学で長い間研究生活をしてきました。
コロナ禍中の今日、教育現場でもテレワーク導入が盛んにおこなわれています。
保育の内容によりますが、五感の感性を使って伝える場合、テレワークでは「視覚」「聴覚」の分野はOKでも、「触覚」「味覚」「臭覚」の分野はNOですね。
本来あるべき保育という五感を使う現場では、
テレワークの依存度が増えれば不完全燃焼も増えて歯がゆいですね。
5、それから、また話がそれますが、コロナウイルス防御対策としての「3密」についても、保育という仕事上、おんぶに、 だっこに、アタッチメント(愛着)に、スキンシップ(皮膚接触)にと、「3蜜」はなくてはならない処遇技術ですから、テレワークというわけにはいきませんね。
しかしながら、エッセンシャルワーカー(*)の今は『できる範囲という我慢の保育』です。
1日も早いコロナの終息を心から願っています。
(*Essential Worker : 生活維持に欠かせない社会・日常生活を支える人々の職業)
話が粘土遊びの「触覚」から、コロナ禍中の保育問題になってしまいましたね。
いつも『保育と五感の大切さ』を考えていましたから脱線してしまいました。
ごめんなさい。
6、ジュッペちゃんの粘土遊びと陶板作品
写真①をご覧ください。
野中保育園時代に造られた立派な大きなどろんこ窯です。
私の娘の4姉妹が保育園に通っていたころ、長女1969年生まれ~、第二次ベビーブームの時代で園児は280名余もいました。
たくさんの園児の作品を一度に焼く為にこんなに大きなどろんこ窯が必要だったのです。ちなみに現在は少子化で園児数は約140名です。
写真②をご覧ください。
今(2020.11.8)、園児の作品の素焼きが終ったところです。
園児数が少なくなった現在では、どろんこ窯が大きいので園児の作品を一定の期間ためておいて、どろんこ窯いっぱいになったところで火入れをします。
自由で伸び伸びと育つ大地保育から、個性的・創造的なすばらしい園児の作品がいっぱい焼き上がりました。
園児の作品は各児が持ち帰り、お家の宝物になります。
写真③をご覧ください。
ジュッペちゃんの書斎を飾ってくれているわが家の宝物です。
娘の4姉妹が保育園時代に作りました。
自由がいっぱい保障された、のびのびとした大地保育で造られた、個性的で創造的な作品の数々です。
写真④をご覧ください。
ジュッペちゃんの4女(年長児クラス)の作品で、この子のやさしさの中にも秘められている、
力強い夢がいっぱい語られているデリケートな作品です。
どろんこ窯で焼いてあるのでこわれません。
永久に残ります。
大事な 大事な 成長の記録であり、我が家の家宝です。
4女は今、看護師で41歳。3人の子の母親です。
写真⑤をご覧ください。
次女(年長児クラス)1979年の作品。
絵本『エルマーと16ぴきのりゅう』のお話しを聞いて作った、どっしりとしていて、抱擁感のある、個性豊かな竜(りゅう)です。
1979年作から~今日に至るまで41年間。
宝物となってジュッペちゃんの書斎を飾ってくれています。
現在、次女も看護師で48歳。3人の子の母親です。
ーーー
写真⑥をご覧ください。
ジュッペちゃんの久しぶりの粘土遊びです。
ツルツル~ヌルヌル~の感触を楽しんでいます。
写真⑦をご覧ください。
ジュッペちゃんは始めはお皿を作ろうと思いました。
そしてお皿に『どんな絵を描こうかナ~』と思案に 思案を 重ねながら、両腕に力を入れて粘土の菊練りをしていたとき・・・ヒラメキました。
そうだ! 教育小説「大地保育ものがたり」を書いている最中だ!
この教育小説でジュッペちゃんが伝えたい言霊にしょう!
間もなく創立70周年(設立 は1953年)を迎えようとしています。
他に例を見ない農村文化と自然を取り入れた特色ある『大地保育の理論と実践』を表現する言霊を書こうと決意しました。
だとすると、お皿じゃなくて、陶板の方がいいなと思いました。
そして興奮して ドキドキしながら 言霊を考えているところです。
写真⑧をご覧ください。
ジュッペちゃんが教育小説『大地保育ものがたり』で伝えたい言霊が見つかって、慎重に陶板に字を書いているところです。
写真⑨をご覧ください。
初めに書いた言霊は、大地保育は命の源であるという意味から、
『大地保育命』としました。
写真⑩をご覧ください。
陶板に書く次の言霊を考えました。
ジュッペちゃんの渾身の作品で高く評価された論文で、 フレーベル館の書籍題名となった『名のない遊び』としました。
子どもの遊びのありのままの見守り方について、
重大な啓発提言となった言霊『名のない遊び』です。
子どもを人間として見る人権思想の知見を根底に、遊びと生活の発達過程を受容することでこそ、子どもは自信が育つことを発見しました。
その結果、『名のない遊び』は自己肯定感情や自尊感情を育てる「従来見落としていた遊びを見る新しい視点の処遇理論」として、日本保育学会、および、こども環境学会において高く評価されました。
写真11をご覧ください。
ジュッペちゃんは 50年間の保育現場と大学教員生活を通して、世界の幼稚園の『土とかかわる教育』を見て回りました。
また、世界の家庭の『土とかかわる遊びと生活』も見て回りました。
子どもたちはどこの国でも『どろんこ』が大好きです。
そして、世界中に児童文化として描かれた『どろんこ絵本』があることを発見し、たくさんの『どろんこ絵本』を集め、著書を通して日本中に広く紹介しました。
同時に、どろんこの素晴らしさを日本各地に講演して歩きました。
そのような体験と願いから、ジュッペちゃんの言霊として『どろんこ保育』を陶板にしました。
永久に残り、永久に人々に見てもらうことができるからです。
子どもたちの大好きな『どろんこ保育』を、これからもジュッペちゃんは語り続けていきます。
『大地保育命』
『名のない遊び』
『どろんこ保育』の言霊が、
子どもが子どもとして生き続けられる世界を守ってくれるように祈願して、ジュッペちゃんは陶板を製作しました。