よくある質問④
『大地保育環境論って何ですか?(その1)』
今回は、塩川寿平の著書
『大地保育環境論(フレーベル館)2007.7.15』
の書評を紹介させていただきます。
書評を書いて下さったのは静岡大学名誉教授・白梅学園大学教授の金田利子先生です。
ーーーーーーーーーー
『大地保育環境論』の書評
(日本保育学会会報 第144号 2009.5.1)
この本は40年余にわたる著者の研究と実践の集大成といえる。
著者の実践の場である野中保育園(現野中こども園:静岡県富士宮市)を訪れると様々なにおいがする。
秋にはコスモスや他の草花や木の実と山羊や犬や小鳥や虫たちの、そしてその中にいる子どもや大人達の分類不可能な不思議なにおいだ。
そこに人が他の生物とともに生きているという、心地よさを感じる。
新型の遊具はないが、むしろその前進であった自然のそれらがある。
すなわち、低いところから大人の背位まで高くなっていく丸太の棒があり、子どもがぶら下がれる枝の豊かな木々がある。
塩川さんは、子どもは管理されてのみでなく、さりとて全く大人から見えなくもない、半管理空間の大切さを早くから主張し、園舎もそういうところが沢山ある設計をし、
『名のない遊び』が発展するように試みてきた。
本書にはそうした取り組みのプロセスと成果が盛り込まれている。
都会の園に自然をどう取り入れるかのヒントも沢山つまっている。
金田利子(静岡大学名誉教授・白梅学園大学教授)
ーーーーーーーーー