第69話:じゅっぺちゃんの俳句 “春の若葉と端午” を詠む
     ―保育の質の向上は先生方の芸術力の素養から―


保育の質とは『保育内容が芸術であること』を
目指す事ではないでしょうか。
大地保育とは自然と織りなす子らの遊びと生活の芸術です。
まずは先生方自ら芸術力の素養を高めましょう。

じゅっぺちゃんの俳句
    “春の若葉と端午”の五句を詠む



子らはしゃぐ若葉若葉の宮参り

孫これぬコロナの庭に初蝶々

あの頃の夢なつかしく春の風

お茶ですよ恋した頃の柿若葉

湯に遊ぶ端午の節句老いてなお
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子らはしゃぐ若葉若葉の宮参り 
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【じゅっぺちゃんの句意】
私たち夫婦が地元の富士宮浅間大社にお参りした、
その時見た風景です。
生まれたばかりの赤ちゃんを抱いた若夫婦と、
幸せを絵に描いたようなファミリーの一行。
伴う子らと祖父母は若葉若葉の参道を歩んでいきました。
絵になるなぁ~と思って詠みました。

《俳句の友:岳子さんの句評 》
今の世の中は閉塞感と行き先不透明が漂っている。
これらを打破していくのは何と言っても新しい生命の誕生である。
その象徴が「子ども」「若葉若葉」である。
その生命・将来を守ってくれるお宮参りの儀式。
この3点セットを詠い、
子らのはしゃぐ声が未来を救ってくれる希望に満ちた句である。

《俳句の友:岡子さんの句評》
肩の力が抜けたような平易な読みやすい句です。
これは大事なことです。
この句は二物取り合わせがうまく効いているように思いました。
中七「若葉若葉の」リフレインが効果的です。
若葉のような子どもたちが跳ね回っている様子が想像できます。

《俳句の友:挙木さんの句評》
浅間神社の社は若葉に満ち覆われている。
お祭りの日であろうか。
子どもらは飛び上がり、はしゃぎ回ってお祭りに行く。
そんな情景が浮かんできます。
子どもも若葉のようです。
「若葉」が効いた良い句と思います。

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孫これぬコロナの庭に初蝶々

 

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【じゅっぺちゃん句意】
庭いっぱいに春の花が咲きほこり、
今年も初蝶々が舞っていると言うのに。
しかも春休みだと言うのに孫たちが来ない。
新型コロナウィルス感染症流行のせいだと諦めつつも、
じゅっぺじいじは孫と遊びたい思いがいっぱいです。
写真④⑤=庭に舞う蝶々をご覧ください。

 

 

 

 


写真⑥⑦=小鳥もブルーベリーの花蜜をつつきにきています。


 

 


《俳句の友:岳子さんからの句評》
春の花は今を盛りに咲いているが、
見せたい孫がコロナのためにこられない。
毎年決まったようにくる蝶々は今年もやって来た。
花と蝶々の自然界の約束事は
コロナと関係なく守られている。
人間界と自然界の差を詠い、
自然界をたくましく感じているようです。

《俳句の友:岡子さんの句評》
この句は、説明的で冗長さを感じました。
折角、良い句材であるのでもったいないと思いました。
「誰も居ぬ庭に遊ぶや初蝶々」でも
読む人はコロナでお孫さんも訪れず、
庭で遊ぶ人がいないということは、
容易に想像できると思います。


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あの頃の夢なつかしく春の風 

 

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《じゅっぺちゃんの句意》
縁がわに腰掛け春の風を心地よく受けながら、
八十路を生きてわが人生を振りかえれば、
清らかな青雲の志に満ちた、
あの青春が懐かしいと詠いました。

《俳句の友:挙木さんの句評》
希望に満ちた清らかの青春の日々、人生を詠じた句。
思いも言葉の運びもそのままでた好い句ですね。
挙木は俳句は詩ですから、
難しく考えるより素直に情感を顕している句を好みます。
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お茶ですよ恋した頃の柿若葉 

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《じゅっぺちゃんの句意》
庭先の柿若葉に見とれていると、
『お茶ですよ』と妻の声。
なんとその昔恋した頃に聞いたことのある声のようだ。
ハッ!として一瞬時が止まった時の句です。
写真①②③=
自宅の庭の柿若葉と富士山をご覧ください。

 

 

 

 

 

 



《俳句の友:岡子さんの句評》
二物取り合わせがうまくいった句と思います。
じゅっぺちゃんが庭の柿若葉を愛でているときに、
奥さんから「お茶ですよ」と声がかかり、
はっと現実に戻ったのでしょう。
そのギャップを埋めたのが「恋した頃の」の中七です。
意識的かわかりませんが、
私にはうまい構成と思いました。
しかも平易な表現です。
平易な表現は読む人にいろいろな解釈を可能にします。
じゅっぺちゃんにしては、
おとなしい句ですが良い句です。
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湯に遊ぶ端午の節句老いてなお

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【じゅっぺちゃんの句意】
今日は5月5日。端午の節句です。

写真⑧=
じゅっぺちゃんの庭には菖蒲(ショウブ)が沢山あります。



写真⑨=
奥さんが菖蒲をお風呂に入れてくれました。

 



写真⑩=
菖蒲の香りに酔いながら、菖蒲を頭にかぶったり、
刀のように菖蒲を振り回してみたり、
じゅっぺちゃんはお風呂の中で遊びました。


老いてなお兜を被った少年に戻りました。

写真⑪=
お風呂から上がると奥さんの手作りの、
端午の祝いのお料理がテーブルいっぱいです。

 



写真⑫=
デザートは奥さん苦心の春巻きの皮を使った、
中身にアップルパイの入った「兜の型をした焼き菓子」でした。



写真⑬=
5月5日。こどもの日。
少年に戻った83歳のじゅっぺちゃんは、
お湯割りの焼酎を飲みながら幸せでした。