2012年から『good!アフタヌーン』で連載されている、桜井画門原作の大ヒットコミックを映画化した『亜人』は、交通事故により自分が命を繰り返す新人類・亜人であることを知った主人公・永井圭(佐藤健)が、自身の運命に葛藤しながらも、人類に牙をむく亜人最凶のテロリスト・佐藤(綾野剛)や国家権力と戦っていくストーリー。

 

本作で、国内2例目の亜人として国家に捕らわれ、非人道的な実験の被害にあったことから人間に対して大きな敵意を抱いている田中役を演じたのが俳優・城田優。親友・佐藤健との9年ぶりの共演を楽しみにしていたという城田に、本作への思い、プロ意識の高いキャスト陣との共演、そして話題になることも多い城田のSNS事情や交友関係についてたっぷりと話を聞いてきた。

 

 

■食いつきどころは「佐藤健との9年ぶりの共演」

 

ーーまずは、完成した作品をご覧になった感想を教えてください。

 

城田:アクションがメインと言っても過言ではないくらいアクションシーンが多い作品なので、とにかく疾走感があってスピーディ。物語もテンポ良く展開していくので、とても見やすい映画だなという印象でした。あっという間に終わってしまいましたね。

 

 

ーー私も拝見させていただいたのですが、本当にあっという間でした。『亜人』ならではのIBM(インビジブル・ブラック・マター)の動きなど、CGも凄かったですよね。

 

城田:CGには僕も感動しました。正直、正直言うと…もうちょっとしょぼいのかなって思っていたんです(笑)。でも、いざ出来上がったものを観たら「おぉ!スゲー!」って。視聴者目線で「どうやって撮っているんだろう?」と考えてしまいました。

 

(C)2017映画「亜人」製作委員会 (C)桜井画門/講談社

 

ーーIBMが出現しているシーンなどは、実際は何もない状態での撮影だったかと思うのですが、いかがでしたか?

 

城田:それはもう、妄想を膨らませて(笑)。でも、アクションチームの方々がIBMの動きを実際に演じてデモンストレーションのような動画を撮ってくださっていたので、そのおかげでイメージはしやすかったです。

 

 

ーーそもそも、城田さんは原作をご存知だったのでしょうか?

 

城田:このお話をいただいてから読ませていただきました。もともと『亜人』のような「人間だけど、人間じゃない」といった特殊な設定が好みでもあったので、漫画もスッと入ってきて、とても面白かったです。

 

 

ーー原作に触れてみて、改めて『亜人』を実写化するということに関してはどのような思いを抱きましたか?

 

城田:原作が面白いので実写化への期待があったというのももちろんなのですが、僕としては、やっぱり主人公の永井圭役が”佐藤健”というところに興味を持ちました(笑)。そこが一番の食いつきどころでしたね。

 

(C)2017映画「亜人」製作委員会 (C)桜井画門/講談社

 

ーープライベートでもとても仲良しですもんね。

 

城田:それこそプライベートで健に会ったときに、この映画のことを聞いてみたんです。そしたら、「今までに撮ったことのないような、亜人だからこそできるアクション映画にしたい」と話していて「これはやるしかないな」と。

 

 

ーー佐藤さんの目指しているものに共感して、出演を決めたのですか?

 

城田:そうですね。別に「ぜひ、君に出演してほしい!」と説得されたわけでもないですし、なんなら健としては「へぇー、オファーがきたんだ」くらいの感覚だったと思うんですけど(笑)。

 

 

ーー佐藤さんとは『ROOKIES(ルーキーズ)』(2008年)以来の共演ということになります。

 

城田:『ROOKIES(ルーキーズ)』が終わってからも、いつかまた共演してみたいなと思っていたので嬉しかったです。もう10年の付き合いになりますし、多いときは週5で会っていたりするので仕事っていう感覚がほとんどない(笑)。

 

 

ーー現場で佐藤さんと会うと、プライベートのときとは少し違ったりするのでしょうか?

 

城田:仕事で会うとなんか恥ずかしいですよね。テンポが狂っちゃう(笑)。しかも、現場の健はやたらクールなんですよ、あはは(笑)!

 

 

ーーめちゃくちゃ笑っていますね(笑)。

 

城田:だって、本当にクールぶってるんですよ。元からクールなタイプではあるんですけど、普段のほうがまだ少し茶目っ気があるというか。なんかもう「俳優・佐藤健」って感じで、いじっていいのか、悪いのか…。まぁ、いじりますけど(笑)。

 

 

ーー城田さんにとっても待ち望んでいた親友・佐藤さんとの共演だったかと思うのですが、映画の中ではあまり絡みがなかった気がします。

 

城田:そうなんです。もともとの台本では、3シーンくらい絡むところがあったんですけど、いろいろと変更があって無くなってしまって。すごく楽しみにしていたのに…。

 

 

ーーそうだったのですね…。残念です。

 

城田:でも、それはそれで面白いですよね。楽しみにしていた親友との共演が同じ作品に出演してはいるけど、画面上で映ることはなかったという(笑)。次回作に期待します(笑)。

 

 

■田中が抱える"葛藤"を表現するために

 

 

ーー今回、城田さんが演じられた田中という役は、国内2例目の亜人ということで、人間に激しい敵意を抱きながら、佐藤(綾野剛)とともに人類を追い詰めていく役どころです。演じてみていかがでしたか?

 

城田:全てが難しかったです。毎日のように「田中は難しい」って健に相談していました。

 

 

ーー特にどのようなところに難しさを感じましたか?

 

城田:亜人だというだけで捕まって、人体実験に利用されて…人間に対する恨みがあるから佐藤についていくんですけど、同時に佐藤がやっていることに対して不信感も抱いている。田中の揺れ動く心情を表現するのが難しかったです。

 

(C)2017映画「亜人」製作委員会 (C)桜井画門/講談社

 

ーー田中の心情を描くために、こだわった部分はありますか?

 

城田:監督に何度も相談して、セリフをカットしてもらったり、変更してもらいました。例えば、クライマックスに向かっていく大事なシーンでのセリフ。台本では、佐藤に「やりましたね」と言う予定だったんですけど、そんなに簡単なことじゃないだろうと思って「これで全てが変わりますね」というセリフに変更してもらいました。「亜人特別自治区を設定してもらって、やっとこれから亜人が人間らしく生きられるようになるんだ」というのを表現したかったんです。

 

 

ーー確かに、言葉1つをとっても田中の人物像というのが違ってみえてきますね。

 

城田:あとは、テレビ画面を通して戸崎(玉山鉄二)と佐藤が会話しているシーン。もともとは、佐藤が「東京を明け渡せ」と言い放ったことに対して「さすがですね!」と乗っかるような芝居だったんですけど、そのセリフはカットしてもらって、ただただ佐藤を見つめているという芝居に変えてもらいました。佐藤は、人間との攻防をゲーム感覚で楽しんでいる一方で、田中は本気で「亜人としての生活を認めてもらいたい」と思っているだけなので。

 

(C)2017映画「亜人」製作委員会 (C)桜井画門/講談社

 

ーー細かいところから、佐藤との違いを表現したと。

 

城田:違いというか、葛藤ですね。圧倒的に佐藤のことを信頼していますし、自分よりも長い20年もの間、人体実験をされてきた佐藤が、人間に対してそれだけ怒りを抱いているのは当然だと思っている。でもどこかで、何も関係のない人をバンバン殺すことが本当に正しいんだろうか…?という迷いもあって。原作を読み進めていくと、田中が佐藤に反抗するような部分もでてくるんです。原作の田中の良さを出すためにも、少ない表情やセリフ1つまで、とことんこだわりました。

 

 

■「健と剛からは良い刺激をもらいました」

 

ーー冒頭で本作はアクション映画だとお話されていましたが、下村泉を演じる川栄(李奈)さんとの身長差40cmのアクションシーンも見どころの1つですね。

 

城田:僕たちのアクションシーンは、アクションチームが「城田と川栄」ということを逆手にとって、その身長差を活かしたアクションを考えてくれました。僕が大振りに攻撃をしていく中、川栄さんはそれをすり抜けて細かいダメージを与えてくるという構図から出来上がっていきましたね。

 

 

ーー身長差があったからこそ、難しい部分などはありましたか?

 

城田:…というよりも、相手が女性ということにスーパー気を遣いました。すぐに骨が折れてしまいそうで(笑)。やるからには本気でやりたいけど、手加減もしないといけないですし、怪我もさせたくないですし…。

 

 

ーー男性VS女性だからこその苦労ですね。アクションシーンのために体作りなどはされていたのでしょうか?

 

城田:アクションのためにというよりは、田中の役作りとして減量しました。2年間も捕らわれていたのに、筋肉ムキムキだったら「なんでやねん!」ってなるじゃないですか(笑)。

 

 

ーーそうですね(笑)。ちなみに、どのくらい減量されたのですか?

 

城田:食事制限とジョギングをして、7~8キロくらい。

 

 

ーーすごい!他のみなさんもそれぞれ体作りを?

 

城田:剛は剛で観せる体を作るためにやっていて、僕は僕で体重を落とすためにやっていて。それぞれ自分のキャラクターに合わせて、体も作っていったという感じです。

 

 

ーーみなさん役への思いが強く、高め合う現場だったんですね。

 

城田:本当にプロ意識の高い現場だったと思います。メインの健と剛が役に対しても、本に対してもちゃんと考えていて、そういう姿からは僕も良い刺激をもらいました。2人を見ていると、一緒に頑張ろうという気持ちになるというか。みんなで上を目指す気持ちを共有できていたと思いますね。

 

 

■幅広い交友関係の秘訣とは…?

 

ーー城田さんは、SNSの投稿が面白いことでもよく話題になっていますね。SNSを使う上で、意識していることがあれば教えてください。

 

城田:もちろんSNSをやるからには、ただ「これ食べました」「ここにいます」だけじゃつまらないので、面白いものを届けたいなという思いがあります。エンターテイメントの1つとしてやっている感覚ですね。でも、ニュースになることが恥ずかしいときもありますよ(笑)。

 

 

ーー恥ずかしいとは?

 

城田:ドラマの告知をする時とかは、ニュースにしてもらいたくて狙うときもあるんですけど、プライベートではそこまで狙っていないので…。この間も、Twitterのアイコンをスギちゃんにしていたことがすごく話題になってしまって、「もう恥ずかしいからやめて!」という気持ちになりました(笑)。お騒がせして申し訳ないです(笑)。

 

 

ーー(笑)。でも、そういった城田さんのSNSはプライベート感満載でファンの方はすごく嬉しいと思いますよ!

 

城田:ありがとうございます(笑)。

 

 

ーー本作で共演されている高橋役の山田裕貴さんもよく登場しますよね。

 

城田:プライベートで会ったときや、仕事が一緒になったときは、本人の許可もとらず写真を載せていますね(笑)。裕貴とは感覚も性格も似ているので、一緒にいて楽なんです。

 

 

ーー事務所の後輩ということで、相談を受けたりも?

 

城田:そうですね。俳優としての相談も、普通の男の子らしい相談もちょこちょこ受けます。わりと頼られるタイプかもしれないです。いや…そうでもないか(笑)。

 

 

ーー(笑)。城田さんのSNSには、他にもたくさんの方が登場されていて、周りに人が集まってくる方なんだなぁというイメージがあります。

 

城田:いやいや、別にみなさんが思っているほどすごくないですよ(笑)。もう15年以上もこの世界にいるので、そりゃぁ交友関係も幅広くなるわけで。周りの友達からも「本当に顔広いよね」って言われますけど、僕はただただ人といることを拒まないだけ。現場で仲良くなって、面白い人だなと思ったらそれが継続していくだけなんです。

 

 

ーーなるほど。人と接する上で心がけていることなどはありますか?

 

城田:人を嫌わないこと、疑うよりも信じること。一度の人生ですから、人を嫌って狭く生きるよりも、いろんな人と話して、いろんな感覚を持って、自分を知ることのほうが楽しいなって思っています。

 

Photography=Mayuko Yamaguchi
Interview=Ameba

 

 

映画『亜人』は、9月30日(土)より全国ロードショー。

 

 

■『亜人』公式サイト