アビドスのまとめが大変過ぎて、数日間脱力しておりました。
そのアビドスから、ナイル川を遡ること車で約1時間半の所に「デンデラ神殿複合体」がありました。
デンデラ神殿は、エジプトで最も保存状態の良い神殿複合体の1つで、その中でも1番際立つ建造物が主神殿の「ハトホル神殿」です。
ハトホル女神は、エジプト神話に登場する太陽神「ラー」と天空神「ヌト」の間に生まれた女神です。
ローマ時代の北門⬇︎
ハトホル女神は愛と音楽と母性の神で、イシスの代わりにホルスを育てたりもしました。
こちらのお方がハトホル女神さんです⬇︎
北門の内側⬇︎
北門のすぐ傍には菊花紋のレリーフもありました⬇︎
こちらのお方は⬇︎音楽で邪気をはらっていたという魔除けの神・ベスさん。
ベス神は、妊婦と新生児を悪しき霊から守る分娩室の守護者ともされています。
ローマ時代の誕生殿⬇︎
このハトホル神殿は、地下室から屋上まで、建物自体がほぼ完全な状態で残されており、数あるエジプトの古代神殿の中で最も保存状態が良いとされています。
内部に入るとそこには24本の見事な「ハトホル柱」が並ぶ大列柱室があります。
ハトホル柱に驚いていてはいけません。天井もご覧ください。
星座も美しく描かれています⬇︎
両手を伸ばして、今まさに太陽を飲み込もうとしている女神の姿が見えますか?
古代エジプトでは太陽は夜になると「天の女神ヌト」に飲み込まれて、夜間はヌトの体内を移動、そして翌日ヌトの胎内から再び生み出され、宇宙の創造行為が繰り返されると考えられていました。
実に壮大な天井画です。
だけど、あんまり熱中して天井を眺めていると、かなり首が痛くなるのでありました。。
それから、こちらの白丸の絵には興味深い話があります⬇︎
この天体図は、日食を表しているという説があるのです。
これは、月の神である「トト神(ヒヒ)」が太陽を隠そうとするのを、神が引っ張って止めている所なんだそうです。
それが、紀元前51年3月7日の日食を表すというのです。
そしてさらに、「ホルス神」の完全な眼である「ウジャトの眼」が描かれているのが、紀元前52年9月25日の月食を表すと云われています。
けれども、エジプト人は変わらないものしか観測しないという事から、この説に異論を唱える人も多いのは確かです。
こんなに素晴らしい天井画ですが、この天体図がはっきりと見えるようになったのはごく最近の事なんだそうです。
神殿は、長い間キリスト教徒らによって使用されており、彼らが内部で火を焚いていた為に、壁や天井全体が黒いススで覆われていたそうです。
近年、その裏側にあった古代の塗装を痛めることなく、数百年間の黒いススを取り除く技術が開発されたのです。
そのお陰で、壮大な天井画が大列柱室に出現し、鮮やかで多彩な色彩画が私たちを楽しませてくれるようになりました。
キリスト教徒らは、ご丁寧に神のレリーフもそいでしまいました。
さて、どんどん奥に入ってみましょう。
レリーフの色が鮮やかに残っていて素晴らしいです。
おや?いきなりこの地下室への扉みたいな物を開けてくれましたが、何でしょう⬇︎
内部は階段になってます。降りてみましょう。
すごい狭い所をくぐり抜けると、人がひとり通れるくらいの通路がありました。
映画「インディ・ジョーンズ」に出てくる場面のような雰囲氣を醸し出してます。
こ、ここは、もしかして?。。あの、お、オーパーツのある所?。。
じゃ〜ん!
「デンデラの電球」のレリーフ!!
突き当たりの場所の左右にレリーフはあるのですが、何しろ狭くて全体が写せません。
(パノラマ撮影にすれば良かったと、後で氣づくのでした。。)
かえるさんが包丁持ってる!(ヘケト女神)⬇︎
このハスの花のレリーフが、古代のランプじゃないかと話題になっているのです。
確かに、神殿やピラミッドの内部には、松明のススさえもついていない事が分かっています。
こんな奥深い場所には、鏡での反射光も到達出来ないでしょう。
ならば、どうやって内部を照らしながら細かな作業が出来たのでしょう?
ピラミッドやオベリスクが発電装置だったとの説もあるし、古代人は我々が想像も出来ないような手段でエネルギーを使っていたのかも知れません。
ロマンをかき立てられる「デンデラの電球レリーフ」なのでした。
地下の通路には、電球だけでなくこんなレリーフもあるのでした。
こちらのレリーフは、「太陽神ラー」⬇︎
頭上に、聖なる蛇がついた日輪を乗せているので、ホルスとは違うそうです。
アメン神とラー神が一体化した「アメン・ラー神」⬇︎
これもハヤブサのホルス神とは違うのね。見分け方が難しいです。
ハトホル型のシストルム⬇︎
シストルムとは、「ガラガラ」や「ラトル」のような振って鳴らす楽器です。
ハトホル女神がついていて、オシャレですね。
ハトホル神殿には、他にもまだまだ見どころがあるのでした。
続く。。