心に響くオバァの話
沖縄の天描画家・大城清太さんは、以前に私が講演会を主催した方でもありますが、素晴らしい点描画もさることながら、かみんちゅの祖母のお話が、これまた感動的なのです。
今回も、鳥山明氏の訃報に際し、こんなメッセージを発信して下さいました。
大城氏のInstagramより転載致します↓
祖母が教えてくれた「龍」の話 part 1
先日、「ドラゴンボール」「Dr.スランプ」の作者である鳥山明さんが永眠した。
小学生の頃、夢中になってドラゴンボールを読んでいたことを思い出し、涙が溢れた。
今思うと「龍」に興味を持ったきっかけは「ドラゴンボール」だったような氣がする。
自分の両親は共働きで、学校が終わるとオバァが営むマチヤグワー(小さな商店)に帰り、オバァが作ったご飯を食べ、漫画を読みながら店番を手伝っていた。
いつものようにジャンプの表紙をめくり、ドラゴンボールのページを開くと、
7つのドラゴンボールが集まり、ピラフというキャラクターが「出よ、ドラゴンそしてわれの願いを叶えたまえ。」と言うと光と共に「神龍・シェンロン」が出てきて「さあ、願いをいえ、どんな願いもひとつだけかなえてやろう。」と言っているページに興奮し、
オバァに駆け寄り、「オバァって龍も見えるの?」「龍って本当にいるの?」「ドラゴンボールって本当にあるの?」と質問攻めにしたことを思い出した。
その時、オバァは笑いながらこう言った。
「オバァは龍も見えるし、龍が持っている玉も見たことあるよ。」
「えっ、オバァすごい。本当に龍見えるの。俺も「龍」見てみたいな。」と言ったら
「清太、あんたは龍を見ることは出来ないよ。」
「はぁ、なんでよ。」
「オバァは神人としての役割を持って生まれてきているからいろんなものが見えるんであって、あんたがもし直接龍を見たら眩し過ぎてあんたの目は潰れるはずよ。それでもあんたは龍を見たいか?」
「うん。目潰れてもいいから本物の龍見たい。」
「ああ、そうね。じゃあさ、今からあんたに龍見せようね。」
「うん。」
「まずは軽く目を閉じて、ゆっくり深く3回深呼吸してごらん。」
「すー。はー。すー。はー。すー。はー。」
「今あんたの顔のところに龍を呼ぶからちゃんと目を閉じておけよ。」と言ってオバァが目を閉じている自分の顔の前で手のひらをうちわのように左右に動かして風を起こした。
「はい、もう目を開けても大丈夫だよ。」
目を開けた自分にオバァがこう言った。
「清太、今あんたが目を閉じている時にあんたの頬をなんか通らんかったか?」
「んっなんか、風みたいのが通りよった。」
「あんた、確かに風を感じたのか?」
「うん。」
「だったら、あんたは龍を見たことになるね。」
「はぁ?なんでよ。意味わからん。」
「清太、龍は目で見るものではなくて、あんたの心が落ち着いた時に体で感じる「流れ」のことを言うんだよ。
龍はすべての流れにいて、水の流れ・海の流れ・風の流れ・空気の流れ・氣の流れ・血の流れ・音の流れ・言葉の流れの中にいて、世の中の流れをつくっているのが「龍=流・りゅう」なわけさ。
清太、いいか。
目で見るものがすべてではないよ。
目には見えなくても自分のことを守ってくれているものがいると信じ、感じる心が龍を見るのと一緒なんだよ。
あんたがいつも心にゆとりを持って周りを喜ばしていれば、いつでも龍はあんたの側に寄り添って良い方向へと導いてくれるんだよ。」
あの時読んだドラゴンボールがきっかけで「龍=流」の意味を知ることができた。
その話が今も頭の中に出てきて、「龍」の天描画を描いている。
龍を描くきっかけをつくってくれた鳥山明さん、自分の些細な疑問も馬鹿にせず受け止め、大切なことを教えてくれたオバァ、沢山の関わりや影響の中で作品を制作できていることに感謝し、自分も神龍のように世の中に良い流れをつくれるようなアーティストになるよう精一杯努力致します。
世界中に夢と希望の流れをつくった偉大な神龍・鳥山明さんのご冥福をお祈りいたします。
祖母が教えてくれた「龍」の話 part 2
「ドラゴンボール」のことで小学生の頃を思い返していると、「龍」に関するオバァの話が幾つか出てきたので、「龍の話part 1.」の続きとして読んで頂けるとありがたいです。
「あのさーオバァ、さっきオバァこんなこと言っていたさ。
「オバァは龍も見えるし、龍が持ってる玉も見えるよ。」って。
本当にどんな願いも叶えるドラゴンボールってあるの?」
と前のめりな感じで祖母に質問した時、
祖母は床間の上に飾られている龍の絵を指さして
「清太、あの龍が持っている「玉」見えるか?」
「うん。」
「あの玉があんたの言っているドラゴンボールさ。」
「でもさ、オバァ。あの龍が持っている玉の中に星が入ってんから本物のドラゴンボールじゃないかもしれんし、しかもあの龍1つしか玉持ってんからあと6個の玉を集めんと願い事が叶わんわけよ。」
「清太、違うよ。
この龍が持っている玉は1つだけど、この玉は7つの玉が1つになって出来ているんだよ。」
「えーっ。本当に!」
「じゃあ、何でも願い事が叶うやっし。
めちゃくちゃすごい。
オバァ教えてくれてありがとう。」と言って龍の絵の前にひざまづき(正座)して、「出よ。ドラゴン!」と言おうとした時オバァが
「清太、そんな簡単に願いが叶うわけないだろ。
あんたが願いを叶えたければ、他の人よりも何倍も何十倍も汗をかかんとあんたの願いは形になってあらわれないよ。
もし、あんたが願いを叶えたければ、まずはあの龍が手に持っている「如意玉・にょいだま」のことを知らんといけないよ。」
「はぁ、なんねその玉?」
「じゃあ、あんたの願いが叶うように
如意玉のことを教えようね。」
「うん。」
「龍が持っている玉は如意玉(にょいだま)と言われていて、〈自分の想いや願いを意の如く操れる玉〉って意味があるわけさ。
なんか、あんたが言うドラゴンボールと似てるだろ。」
「うん。」
如意玉の中には「数玉・言玉・形玉・音玉・色玉・心玉・真珠」という7つの玉が入っていて、7つの玉が1つになったものを如意玉とか宝珠とかって呼ぶわけさ。」
「へーっ。」
「数玉・言玉・形玉・音玉・色玉」は「五玉(いつだま)」とか「芸玉」と言って、この玉を使うと人の頭の中にある二つの脳「右脳」と「左脳」が働き出して、数を数えたり、言葉を喋ったり、物をつくったり、歌を唄ったり、色々なことを表現したり、できるわけさ。
人はその玉を使うことで勉強をしたり、芸事ができたり、お話したり、皆んなと協力して大きな物事を成し遂げることができるわけさ。
「心玉(みたま)」は3つの玉がひとつになった玉で、天からもらった「光玉(こうぎょく)」と、地からもらった「燈玉(ひだま)」と、海からもらった「泥玉(でいだま)」が合わさってひとつになると「心」という玉になるわけさ。
「真珠(まだま)」は嘘・偽りなどの汚れが一切ない真珠みたいな玉で、親・家族・兄弟・伴侶・親戚・仲間・から頂いた「愛情」を素直に受けとる力があって、それぞれから頂いた「真心」を感謝して「受ける」ことから「心」を「受ける」=「心受(しんじゅ)」=「真珠(まだま)」となるわけさ。
物をつくる時・やり方を考える時は「五玉」を使って頭に浮かんだ物事を形にして、形になった物事を動かす時には「心玉」と「真珠」を使って心で動かすわけさ。
如意玉の中にある7つの玉を正しく使うことであんたが願う願い事が叶うことになるわけさ。
ドラゴンボールを集める時もいっぱい汗をかいて、みんなと協力するから集められるんだはずよ。
物事を成し遂げるためにはひとりの力では成し遂げられない。
たくさんの方々とのご縁と協力のもとで願いを叶えることができるんだよ。
周りに感謝してたくさんの喜びをつくることができれば、あんたにドラゴンボールは必要ないはずよ。」
祖母の言葉から「如意玉」は外にあるのではなく、自分の内側にある「玉」だということを教えてもらったような氣がする。
願いを叶えてもらおうとするのではなく、願いを叶えるために人一倍 汗をかいて人一倍 涙を流し、人一倍 悔しさを乗り越えたその先に得られるのが「如意玉」なのかもしれない。
オバァ、鳥山明さん、多くの学びをありがとうございます。
意の如く自分の思いを形にしていけるようにこれからも精進致します。
<転載終わり>
何回聴いても大城さんのお話は感動します。
かみんちゅのオバアとの心に響く会話を多くの方に広めていって欲しいと思います。
大城さんにまたお会いしたいなぁ。。
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