去年担任の先生に噛みついた生徒の

通級が始まっています。

 

 

アセスメントの段階で数学が苦手

であることを教えてくれました。

 

 

担任の先生が作成してくれた

「個人の指導計画」によると

四則計算に支援が必要であると

記載されています。

 

 

問題(問題行動)は落ち着いて

座っていられないところとか

授業中でも他の生徒にちょっかいを

出して学習を妨害するという点です。

 

 

問題行動を矯正しようと叱って

指導すると感情のコントロールが

できずに暴れたり、校舎内外を

歩き回ってしまうとのこと。

 

 

ここではこの生徒をHくんと

呼びたいと思います。

 

 

背丈は年相応か少し小さめかも知れません。

 

 

学年主任の話では精神年齢が

4〜5歳だということです。

 

 

でも、Hくんは頭が悪い訳ではありません。

 

 

先日、オンラインゲーム「荒野行動」

の話をしていた時、東京の都市の名前を

漢字で書くことができていました。

 

 

アセスメントでは漢字が覚えられない

と教えてくれました。

 

 

でも全く書けない訳ではありません。

書けない漢字もあるけれど

書ける漢字もあります。

 

 

そして「荒野行動」ゲームの

ストラテジーや目的は理解しています。

 

 

数学(四則計算)は苦手だけれど

数字のコンセプトは理解しています。

 

 

何人のチームを組めるのか。

 

 

何人の敵を倒せば次に進めるのか。

 

 

本人によると文字式の計算が

よく分からないということです。

 

 

ということは、日常生活の数字は

捉えられるけど、机上の空論的数字

の扱いは訳分からんということです・・・

 

 

な〜んだぁ〜〜~っ・・・

 

 

バーバラと一緒じゃ〜〜〜んw

 

 

昨日は動画を見せました。

 

 

 

 

 

おそらく、物理を専攻したと思われる

アメリカ人のYoutube動画です。

 

 

これはコロナによるロックダウンのせいで

暇を持て余した彼が最初は庭に来る鳥を

観察しようと思って鳥の餌箱をかけたのが

リスの妨害によって計画全体が変わり

 

 

リスが障害を乗り越えて大好きな

餌にありつく過程を観察したものです。

 

 

この動画は20分と結構な長さ

なのですが内容がとても面白いので

飽きずに見ることができます。

 

 

英語の聞き取りができなくても

楽しく最後まで見れますよ。

 

 

Hくんも英語の聞き取りはできない

みたいですが、最後まで座って

見ていました。

 

 

そして、この動画がすごいのは

英語・数学・物理・生物・情報など

マルチなお勉強ができてしまうところ

なのです!!ww

 

 

実際、今日のHくんの通級では

昨日の復習ということで

5つのエリアについて話し

学習することができました。

 

 

まず、英語でリスはなんて言うんだろう

パソコンを使って調べてもらいます。

 

 

リス=squirrel

 

 

スペルで言ってもらいましたが

Hくんアルファベットが読めます(イェイ!)

 

 

そして

 

 

鳥=bird

 

 

鳥の餌箱=bird feeder

 

 

 

 

などの英単語調べました! (^^)v

 

 

そして、リスが障害を乗り越えて

餌にありつく過程で罠にハマって

バネ付き板で投げ飛ばされる場面が

あるのですが、リスがどういう角度

で飛ばされてしまうのかとか(数学・図形)

 

 

落下するときにどのように落下

していくのかとか(放物線を描く=物理)

 

 

観察動画の最後にリス以外の

生物が人の家の庭をどのような

生態系で構成しているのか(生物)

 

 

落ちる速度の計算方法をパソコン

で検索してみたり(PC=情報)

 

 

落下速度の規則性について

調べてみたり(PC=情報)

 

 

教科書を使ってこういうことを

座学で学ぶと砂漠のように無味乾燥で

面白くもなんともないようなことも

 

 

勉強をしているという意識がないまま

探求・検索しながら学べるという

なんともおもしろい勉強ができたのです。

 

 

学校では教科ごとに魚のぶつ切り

のように学習しますよね。

 

 

そうするとたとえぶつ切りでも

繋げたら1匹の魚になるのに

別々に切り離してしまうから

1匹の魚であることを忘れてしまいます。

 

 

というか、あまりにも各教科が

孤立して教えられ関連性を持たせない

ために、そもそも1匹の魚である

ということすら分からなく

なってしまっています。

 

 

でも、こういう教材があると

そもそも勉強はこういう日常に

溢れかえっているものであることを

思い起こさせてくれます。

 

 

勉強するのは進学に必要だからする

のではなかったはずですよね?

 

 

 

 

日常の中で疑問に思ったこと

便利にする方法とか物事の仕組みとか

を細分化して理解しやすいように

分けたものが教科になったにすぎません。

 

 

裏を返せば

 

 

分かりやすくするために

別々に細分化したものを体系化

したものがわたしたちの日常の身の回り

にあるものを作っていると言えるでしょう。

 

 

わたしたちは「勉強」を難しく考え

すぎているかも知れません。

 

 

本来勉強(学び)はこんな風に

個人の特性や興味関心に合わせて

調べ、そこで起きた疑問をさらに

掘り下げて探求していくことでは

ないのでしょうか。

 

 

そう考えると特別支援とか通級とかが

本来の学びのスタイルでこちらを

特別視したり、いわゆる「普通」とは

違うという線引きをわざわざする

必要があるのだろうかと思います。

 

 

健全な学びはこちらのスタイルなんじゃ

ないかなって思うのです・・・

 

 

これからHくんとの通級クラスは

「体験型」で本来の学びの形を

取っていこうと思っています。

 

 

彼だけじゃなく、わたし自身にとって

どんな学びになるのか本当に楽しみです。