先週、通級生徒の一人(Hくん)が
教室の蛍光灯を割ってしまいました。
 
 
てんかん気質でADHDもあるので、
考える前に衝動的に身体が
勝手に動いてしまうようです。
 
 
いつもはバランスボールを
ついて遊ぶのですが、
 
 
この日はよりにもよって
ボールを蹴り上げてしまい
蛍光灯に当たってしまったのです。
 
 
ワザとじゃないから
「悪いことをした」
と思ってないのか
感情的に謝れないみたいです。
 
 
でも「それじゃあしょうがない
謝らなくてもいいよ」には
ならないのが一般社会、学校社会です。
 
 
学年主任が教頭先生に謝ろう
(学校の備品は教頭先生の
管理下にあります💦)
 
 
と途中まで一緒に行ったのですが 
階段の踊り場まで行ったら
そこから先に行けなくなって、
 
 
すったもんだしたものの
結局は上履きをはいたまま 
 
 
家に帰ってしまったのでした。
 
 
それから数日間欠席しのちに
学校に来たものの謝ることはできず
 
 
わたしや注意した先生を避けていました。
 
 
通級教室のことが気になるけれど
学年の先生に「謝っていないから
こちらには来ないでください」と
言われてしまったので
 
 
入りたくても入れない状態にいました。
 
 
そんなこんなで週が明け
月曜日は三者懇談で、Hくんの
お母さんと懇談の予定でした…
 
 
Hくんの普段家の様子や言っている
ことについて語りたがらないお母さんが
この日は、Hくんが家でどんなことを
言ってるか教えてくれました。
 
 
 
 
Hくんはてんかん気質でADHDがあるので
身体が衝動的に動いてしまう。
 
 
意図してやったことではなくても
迷惑行為が起こることがあります。
 
 
それで怒られると自分の存在自体が
「否定」されていると感じてしまうようです。
 
 
そのため彼の自己肯定感は非常に低いです。
 
 
「自分の好きなところは?」と聞かれても
即座に「ないっ!」と答えるのです。
 
 
普段感情も堪えているのか、ひょうひょうと
迷惑行為をやってのけ、それをヘラヘラ
笑って誤魔化しているように見受けられる
ので、Hくんの印象は非常に悪いです。
 
 
学校で問題行動が起こると保護者に
連絡します。
 
 
それでお母さんもいつも息子の行動に
ついて親の自分が責められているように
感じてると思われます。
 
 
だからどうしても防衛反応をしてしまいます。
 
 
親がこう言う態度だと教師らは
保護者のこともよく思いません。
 
 
息子が助けを必要としている状況にあるのに
薬もやめてしまい通院も市のサポートも
打ち切ってしまった・・・
 
 
こう言う状況を側から見るとニグレクトな
親だのレッテルが貼られてしまうのです。
 
 
でもお母さんにしてみるとお医者さんが
治療に使っている薬の効能をきちんと
教えてくれない、てんかんの治療を希望している
のに、精神的な薬も投与しているみたいだ
 
 
なのにその目的がよく分からない
 
 
よく知らされていない・・・
 
 
↑こう感じたからとりあえずやめて
自分でちゃんと患者の気持ちに寄り添って
くれる医者を探したい・・・
 
 
の図は学校側にするとニグレクト
に見受けられてしまっていたようです。
 
 
まー・・・医者とか「権威」を持つ人の
言うことを学校の先生はかなりの確率で
全幅の信頼を寄せる傾向がありますからねーーー
 
 
 
 
わたしはもともとお医者さんが好きでないし
そう言う気持ちが反映するせいか
 
 
必要に迫ってかかる医者の経験にろくなのが
ないので、どちらかと言うとお母さんの
気持ちや言い分に100%寄り添っちゃいますね〜
 
 
なので、お母さんの気持ちの方がよく
分っちゃいますが・・・w
 
 
それで、Hくんにしても彼のてんかんによる
行動でドラブルを作っちゃうと、心は動揺する
(顔には出さなくても)、「しまった
いけないことしてしまった」と頭では分かるけど
 
 
感情的には悪いと思えないから謝らない・・・
 
 
こんな風に「身体と頭で意図することと
心で感じることがバラバラだから、本人が
一番辛いと思います」と三者懇談の折には
お母さんにお伝えしました。
 
 
するとお母さんは自分や息子の置かれている
状況や葛藤を分ってもらえているようだと
思われたのでしょうか。
 
 
家庭での様子を教えてくれました。
 
 
Hくんは「頭を取り替えてほしい」とか
 
 
「もうこんな自分嫌だ!死にたい!!」
 
 
と言うようなことまで言うのだそうです。
 
 
切ないですよね・・・
 
 
そんな息子の辛そうな様子を見て放って
おけるお母さんなんていないと思います。
 
 
それで、いっときは離れたドクターに
頭を下げ、「治療を中断して離れていった
人との信頼関係はありませんよ!」と
厳しいことを言われたようですが
 
 
息子をなんとかしてあげたい一心で
かかっていた病院に戻ることにしたそうです。
 
 
でも、「信頼はしてませんよ!」なんて
言い放たれ、もっと自分や息子のことを
分ってくれるドクターを探したい
 
 
なぜ県内にはこのドクターしかいないんだろう?
 
 
もっと自分の気持ちや息子の気持ちを分ってくれる
ドクターにかかりたい!!
 
 
とのお母さんの切実な思いを感じたわたしは
 
 
県内にある指定病院を紹介しました。
 
 
紹介状がなくても、こう言う風に
緊急性を要する患者さんを見てくれる
病院が実は県内にあるんです。
 
 
この病院のことをお母さんはご存知
なかったようなのですが、
 
 
「息子のためならどこにでも行きます!」
 
 
そうおっしゃっていました。
 
 
↑このお母さんのことをニグレクトって
レッテルを貼るんですよ、今の社会はね。
 
 
権威ある医者の言うことを聞かず
子どもを薬漬けにするのを拒み
 
 
子どもが相変わらず問題行動を起こしたり
すると、親が悪いってなっちゃうんですね。
 
 
 
 
そして、なんとなんと・・・
 
 
連休に入る前の今日、蛍光灯を割って
早くも10日くらい経ってしまいましたが
Hくんは教頭先生に蛍光灯を割ってしまった
ことを謝ることができました。
 
 
以前、給食の時に汁物が入った缶を運んでいる
生徒にHくんが思いっきりぶつかってしまって
汁がジャバって溢れてしまったことがありました。
 
 
その時はすかさず「ごめん、ごめん!」
「本当にごめんね!!」ってHくんは謝る
ことができていたんです。
 
 
「それとおんなじだよ?」
 
 
とわたしはHくんに言いました。
 
 
「わざとやったことじゃないことは
分ってるよ。でも壊してしまったことは
ちゃんと謝った方がいいよね。
 
 
食缶にぶつかって汁が溢れちゃった時は
ちゃんと謝ってたんだから
今回もできるんじゃない?」
 
 
「ただ今回は謝る相手が教頭先生ってだけだよ?」
 
 
「『ごめん、ごめん。蛍光灯割っちゃった。
ごめんなさい。』でいいんだよ。」
 
 
最初は嫌だと言っていて、なかなか
職員室まで行って教頭先生に
謝るってことはハードルが高かったようで
 
 
2時間くらいウロウロしてしまいましたが
 
 
「1人で行く」と言ってたものの
結局わたしが付き合って側にいて
少々のお膳立てが入ったんですが
 
 
ちゃんと自分で「蛍光灯を割ってしまって
すみませんでした」と謝ることができました。
 
 
教頭先生も「来てくれるのをずっと待ってたよ。
けが人が出なくて良かった。もしものこともある
から今後は気をつけてな。この学校の一員として
これからも一緒に頑張ろうな!」と言葉を
かけていただきました。
 
 
彼が自分でちゃんと自分の過失を詫びることが
できて(これが初めてのことだったかもと
学年の先生も担任の先生も言ってました)
 
 
彼自身が一歩前進し、成長できたことが
何よりも嬉しくて、泣きそうになってしまいました。
 
 
子どもの成長って嬉しいですね!!
 
 
中学の先生は(義務教育の先生はか・・・)
本当に大変だな〜っていつも思うのですが
 
 
こう言う子どもの成長を一番感じることの
できるのが小・中の現場なのかも知れないと思います。
 
 
だから中学が一番楽しいって去年の
学年主任が言ってたんですね・・・
 
 
わたしは高校しか知らなかったのですが
中学でこのように子どもたちの成長を見させて
いただく機会があって感謝しています。