前回、リー・クアンユー氏との出会いがきっかけで最初の仕事を決めたと書きましたが、

私が最初に選んだのは、通信系企業の研究職でした。

もともと、大学に入った頃から研究職に憧れがあり、

特に若いうちは、最先端の技術開発に携われたらいいな、と思っていたのですが、


その当時は、国際会議や交換留学なども活発な研究職に就くことが、

世界中の人と出会うのに、理系の私にとって最適だと思えたのです。


入社してからは自分の力不足にしょっちゅう泣きながらも(笑)、

希望通り、国際会議や交換留学などで世界中の人と出会えました。


その中で、またも私にぶっちぎりの影響を与えてくれたのが、
たまたま、あるご縁で技術協力をすることになった、
あるF1チームのメンバーたちでした。

(そうです、カーレースのF1です(笑))


技術協力依頼の内容は、

ピットクルーやドライバーはレース中、無線で通信をしているのですが、

エンジン音等の雑音が大きいため、雑音抑圧技術を搭載して(←当時の私の専門でした)

通信をしやすくしてほしい、というものでした。


F1チームはご存知のように、シーズン中は世界中のサーキットを転戦しています。

私達もその動きに合わせて、チームがいるサーキットまで装置を持って行き、

そこでテストをして改善要望をもらい、日本に持ち帰って一ヶ月ほど開発をして新しいものを準備し、

また翌月、チームを追いかける形で別のサーキットでテストをする、という繰り返しでした。


私たち以外にも、いくつか別の技術協力依頼を受けた人たちもテストに参加するのですが、

いつも持参すると、メカニック部門のトップの方が、

「今日は、なにが新しいんだ? どこが前回と違うんだ?」

と、真剣なまなざしで、わくわくする!と言った感じで
聞いてこられます。

私達が、「前回の要望だった、○○と△△を変えてきました」 
と言うと、

「よし、いますぐテストしよう!」

と、ノリノリ(笑)。

その姿は少年のようです。



でも、さすが世界のF1。当然ですがテストする目は厳しく、開発が間に合わず前回と同じものを持ってきた
技術担当がいたら、すごく冷静に、

「これは前回テストしたよね。もう、する必要はない。
日本に帰りなさい。」


と言われます(゜д゜;)。


これ↑を、「叱られた」とか「拒絶された」と受け取ってしまいやすいのですが、

私には、その真意は、こう言っているように聞こえました。


「同じものを2度テストするのは互いに時間の無駄だ。

今回間に合わなかったのなら、すぐ日本に帰って開発の続きをすべきだ。

新しいものが出来てから、テストをしないと互いに意味がない。」



この↑メンタリティに、私は凄く共感しました。


この、わかりやすい合理主義、超かっこいい! 

スーパークール! ぜひ友達になりたい!о(ж>▽<)y ☆

そして、毎回、絶対に、少しでも進歩したものを持って行こうと心に誓いました( ̄∀ ̄)。


(自分もカッコイイふりしてますけど↑(笑)、実際には、ヨーロッパでテスト中も、
同時進行で日本に残って開発を続けてくれた超優秀なメンバーにすごく助けていただきました(;^_^A)。
皆様、その節は誠にありがとうございました。)



そうそう。スーパークールなメンバーは、期待に応えたときのご褒美もクールでして(笑)、
こちらが前回の相手の要求を上回る性能を見せると、

チーフメカニックが

「へぇ、やるじゃん! 君達 ヽ(゚◇゚ )ノ」

みたいな視線をチラッと送ってきます。


そこでこちらも、余裕の(作った)笑顔で

「まぁね。(`∀´)」

みたいな視線を返します:*:・( ̄∀ ̄)・:*:。

実際は、テストの最中、心臓バクバクなんですけどね!(笑)

冷静を装いつつ、心の中では

「勝った!(*^o^)乂(^-^*)」

とガッツポーズする私たち。
なんか、男同士の友情(?)っぽい?(笑)


いやぁ~♪、楽しいやり取りでした(*^▽^*)。

・・・思ったより長くなったので、次回に続きます!(今日も長文を最後まで、ありがとうございました!)