山桜 と こぶしの花光のつぶをたくさん集めるとこんなにまぶしい色になる。色とりどりの花びらが春のよろこびで溢れるようにひらくから摘み取る私はおいつけません。両手におさまりきらない花たちを娘のちいさな手に移したらこんなふうに仕上がりました森の入り口に芽吹いたばかりの若緑。母がこよなく愛する若葉色。久しぶりに会った母と遠くの山を眺めながら話をしました。山桜はぽつんとあるからいいよね。春の山の緑のなかに、淡い白が寂しそうできれいで。そうだね。あの雰囲気がきれいだね。お山の桜もいいね。満開の桜並木もお山のさくらも、また見ようね。ほんとうは、山桜ではなくこぶしの花。だけど、今は山桜でいいいつも真実だけが必要なわけではない。ほんとうのことだけが心を満たすわけではないから風に舞う花びらを両手でつかまえて母の手のひらへそっとのせました。温かく優しい1日になりますように