ハクキンカイロと祖父の思い出(゚∀゚)ノ | ねこままんR

ハクキンカイロと祖父の思い出(゚∀゚)ノ

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氷点下十数度の中を、待機する。空気までもが凍り付き、美しく輝く景色とは裏腹に、肉体は悲鳴をあげる。

 

身じろぎもせず、ただモモンガが出てくるのを待つ。

 

それは、体験した人でなければ分からない「苦行」とも思える行為だ。

 

指先はすぐに感覚を失い、足のつま先は、カイロを張っても、すぐに痛みを伴う。

 

だが、それをなくしては、この動物に会うことはできないのだ。

(´・ω・`)

 

だが、課題を克服するために知恵を絞らない訳ではない。

 

新兵器を導入した。

 

 

ハクキンカイロである!!

(゚∀゚)ノ

 

ヤマケイの人などは、良く知っているであろうマストバイなアイテムである。

(`・ω・´)

 

Amazonで購入したが、パッケージのアナログ感に改めておののく紳士だ。

(((((((( ;゚Д゚))))))))

 

 

満面の微笑みを湛えた中年男性が、巨大な金属を抱く。

カイロデカすぎないか?とも思うのだが、そうではなくて、おじさんが小人レベルに小さいのかもしれない。

どちらが真実かわからないのだが、とりあえずパッケージをあける紳士。

(´・ω・`)

 

 

since1923

なんと96年も前から存在する、おそるべき商品である。

(((((((( ;゚Д゚))))))))

 

著しく光沢のある、金属の塊が音もなくパッケージから滑り出てくる。

 

ある意味、未来感満載のそのデザインは、普遍的な美しさを纏う。「宇宙人の印籠」的な雰囲気を醸し出す佇まいである。

UFOから降り立つ宇宙人に、これを掲げられては、無力にもただひれ伏すのみだ。

(´・ω・`)

 

一方で、アナログな暖かい雰囲気も感じさせるから不思議だ。

 

紳士は現在まで使い捨てカイロを使用していたのだが、どうにも厳しい氷点下のフィールドでは長持ちしない。

(´・ω・`)

だがしかし、この「ハクキンカイロ」は、24時間持続、更に熱量は使い捨てカイロの14倍とも言われている

 

 

燃料には、専用のベンジンを使用する。

(`・ω・´)

 

えーなにそれ。

ベンジンとか、なんか怖い。

(((((((( ;゚Д゚)))))))

と思った紳士である。

 

燃えるの?もしかして、ポッケの中から出火。火だるまになることだけは避けたい。

 

だが、実際は「燃える」のではなく、化学反応により温まるという構造らしい。

(´・ω・`)

 

同梱の袋に入れると、ちょうどよい暖かさでポケットに収まる。

なんとなく「ゆたんぽ」に近い暖かさだ。

 

1923年から使用されている日本製品というのは、現実考えてみるとそれほど多くは無い。

得意のwikiでハクキンカイロを調べてみる紳士である。

ハクキンカイロwiki←リンク

 

ふむふむ。

(`・ω・´)かつては軍用としても使用されていたらしい。

寒冷地での戦闘機エンジン余熱などに使われていたのか・・・

確かに寒冷地でのエンジン始動は困難を極めただろう。

なんと、戦時中は、北支、満州などの寒冷地に駐留する兵士の慰問品としても使われていたようである。

 

 

 

・・・・・・・

( ゚д゚)満洲

 

 

突然、脳の奥底に眠っていた、遠い記憶と声が、蘇ってきた。

 

 

「ねこ、見てごらん。このカイロは、戦争の時、おじいちゃんが満洲で使っていたんだぞ。これを、こうタオルにくるんで、腹巻に入れるだろ?そうすると、どんなに寒くてもあったかいんだ」

 

 

祖父の声だ。

 

 

そうだ、たしかこのデザイン。すこし違っているかもしれないが、この形。ずっと昔に見た事がある。

 

確か祖父が使っていた。

 

 

それがハクキンカイロだったかどうかはわからない。だが、こんな銀色で、オイルの匂いがするカイロだった。

 

幼い僕は、当時それが怖くて(熱くてやけどしそうで)、それに触れることもできなかった。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

紳士の祖父は、旭川出身(2012年没)。

父方の祖父は父が幼い時に亡くなっていたため、紳士にとっての祖父は、母方の祖父1人だった。

 

小さな自転車店を営む頑固で少し偏屈な人だったように思う。

 

今は取り壊されてしまった、祖父の自転車店の跡。

これは数年前のグーグルストリートビューにかろうじて残っていた画像だ。

今はストリートビューともに跡形もない。

 

短気で、頑固。自転車店に訪れるお客さんともよくガチなケンカをしていたように幼少期の記憶に残っている。

バイクや自転車が好きで、当時の僕には信じられないくらいの大きなバイクに乗っていた。

 

ライダーとなった今思うと、あれは「陸王」だったのではないか?とも思う。

かっこよく巨大なバイクにまたがっていた(ノーヘルで、皮の帽子とゴーグルを被って)。

 

ロードバイクを愛し、よくサイクリングに連れて行ってくれたが、全くペースを落とさないその走りは、孫に対する配慮を著しく欠いたものであった。

(((((((( ;゚Д゚))))))))

だが、とても楽しかった。

 

一方で、生き物を愛し、犬、猫、鳥やウサギなど多数の飼育をしていたという。

(紳士が物心つく頃には、そうした飼育はやめていたようだ)。武器も好きで、銃器にとても詳しかった。

4歳くらいの僕に、ルガーP08と十四年式拳銃の内部構造の違いを熱く語っていた記憶がある。

 

だが、スズメを罠で捕まえる方法を教えてくれ、飼育するなど、今から思えば違法性満載な貴重な体験をさせてくれた記憶は、ある意味ありがたい。

朝起きると、でっかいカタツムリを(自転車でやってきて)多数玄関においてくれた事も思い出される。

今ならめっちゃ引くギフトも、当時は宝物のように思えた。

僕は幼少期は昆虫博士であり、虫が大好きだったのだ。

祖父は空気銃を使った鳥類の狩猟も行っていた。

 

僕は、今客観的に見て、もしかしたら、自分が彼に少し似ているのじゃないか?と思う事がある

バイクや自転車、兵器を愛し、モフい生き物を愛する。

父マシーンはそうした人じゃない。

 

 

当然、戦争経験者であり、幼いころにその事を聞いたことがあった。

「おじいちゃんは、戦争で人を殺したことがあるの?」

 

そんな無邪気な問いに、祖父はケロッと答えたものだ。

「あるよ。たくさん」

 

(;゚Д゚)まぢか、ひとごろしだー。

 

「だって、殺らなければ、殺られるもん」

 

なんというか、戦争経験者というものは、その記憶を沈痛な面持ちで語る。もしくは語りたがらないと思っていた紳士だが、祖父の回答は著しく予想の斜め上をいく発言であった。

 

武勇伝のごとく、自らのスネに残る弾痕(弾丸は入ったままだった)を見せ、如何に敵兵を倒したかを語る祖父に、「この人、戦争の悲惨さとかをマジで学んでねー(((((((( ;゚Д゚))))))))」と、幼心に思ったものである。

 

だが記憶の中で一度だけ、戦争のTV番組を見ていた際、紳士の父(父マシーン)が「おじいちゃんのように、まだ平和な所に派兵された人はよかったかもしれないけども、最前線の兵隊さん達は大変だったんだ」と口を滑らせた。

 

それは、子供心にも「配慮の無い発言だ」と感じたのだが、次の瞬間、祖父は父の胸倉をつかみ、猛然と怒り狂った。

 

「満洲に派兵されたんだぞ!!最前線だ!!どれだけの仲間が死んだと思っているんだ!!」

 

祖父は激昂していた。僕はその様子を見て、何か父が大変な事を言ってしまったのだと思った。

 

自分を侮辱されたことを怒っているのではなく、幼心にも、何か「仲間」を侮辱された事に怒っているようにも思えた

子供に話す祖父の会話以上に、誰にも語ることのできない秘めた思いは、もしかしたらあったのかもしれない。

 

今気になって調べてみると、旭川の師団は、「第七師団」(←リンク)といい、昨今では「ゴールデンカムイ」でも有名になっている猛者達の部隊(「北鎮部隊」と呼ばれていた)であったようだ。

 

歴史にうとい紳士は、全く戦史に詳しくないものの、wikiで見る限り、確かにノモンハン事変の際に満洲に派兵され、ロシア軍と交戦している。祖父の発言は、歴史的事実とは合致する(正確には今となっては分からないが)。

(´・ω・`)

 

その満洲で、もしかしたら「ハクキンカイロ」が支給されたのかもしれない

寒い戦地で、ハクキンカイロで暖を取り、戦友と励まし合う。

 

そんなことがあったのかもしれない。

祖父は、脳梗塞で倒れた後、寝たきりの状態で入院を続け、2012年にこの世を去った。

 

倒れた後は会話することもできず、僕の質問に首を振り答えることが精いっぱいの状況だった。

「いつもどんな夢をみる?子供の頃の夢?」僕が問う。

 

ふるふると首をふる。

 

「自転車店の夢?」

 

ふるふる。

 

 

「戦争の時の夢?」

 

コクリとうなづく。

 

 

僕は彼から、殆どそのような戦争の詳細を聞くことはなかった。成長とともに加速する日常の中に埋もれ、僕はそれを聞くチャンスを永遠に失った。

 

今なら、聞きたい。

酒を飲みながらでも、そんな話を聞いてみたい。

心からそう思う。

だがそれは永遠に叶わない。

(´・ω・`)

 

身近な人、身近だった人の人生を、意外な程知らない

その後悔の念だけを残し、今も僕の日常は進み続ける。

そして、自身が後世に語るだけの価値のある人生を歩んでいるかどうか、僕は今自分自身に全く自信が持てていない。

 

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日没迫るフィールドに佇み、ポケットの中のハクキンカイロを取り出す。

 

とても暖かい。

 

それは、使い捨てカイロには無い素晴らしい暖かさだ。

祖父が戦地で感じた同じぬくもりを、僕は今感じている。70年超を経た現代でも、その暖かさは最高だ。

 

感覚を失った指先は、すぐに温かさを取り戻す。

 

 

「出た!!」

 

誰かが叫ぶ。連続するシャッター音が響く。

 

レンズを構え、樹洞を狙う。人差し指の下にあるシャッターボタンを半押しし、フォーカスする。

 

指は動く。

 

ハクキンカイロで温めていたからだ。

 

 

ねえ、おじいちゃん、ハクキンカイロ、あったかいね

(゚∀゚)ノ

 

あの日触れることすらできなかった、ハクキンカイロを握りしめ、僕はシャッターを切った。

 

 

 

 

 

■あとがき

久しぶりに、エッセイテイストな記事です

(゚∀゚)ノ

やっぱり文章を書いていると、心が落ち着きます。

今後もエッセイ記事は、より等身大の(リアルな)紳士に近づく形で書いていく予定です~。

 

最近、ずいぶんと紳士を「カメラマン」だと思っている読者がいるかもしれませんが、紳士は正確な意味での「カメラマン」ではありませぬ。

紳士はあくまでも「写真も撮ることがある、物書き」でありたいと思っています。写真はどうでもいいのです。

(`・ω・´)

 

■あとがきプラス

 

 

 

 

 

 

 

ハクキンカイロは、本当に素晴らしい!!

(゚∀゚)ノミニもありますが、スタンダードが最も良いように思います!!

使い捨てカイロの無駄さがよくわかる素晴らしいアイテムです~。

紳士絶賛オススメ!!

 

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(゚∀゚)ノいや、書く予定あるよ。

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