前回?

法師のお話といいつつ、お庭のお話をしてしまいました。

 

ので改めて当館のお話を。

 

奈良の都を中心に仏教が盛んになったころ。
多くの名僧が人跡未到の高い山に登り厳しい修行を積むことで
仙人の術を会得しようとしておりました。
その一人が有名な泰澄大師でございます。

泰澄大師が白山山頂で荒行を始めてからおよそ1年後のある夜。
白山大権現が夢枕に立たれ、こう申されました。
「この白山のふもとから山川を五、六里行った所に粟津という村がある。
そこには薬師如来の慈悲による霊験あらたかな温泉がある。
しかし、まだ誰1人として地中深く隠れたその霊泉のことを知らぬ。
山を下りて村人と力を合わせて掘り起こし末永く人々のために役立てなさい。」

神のお告げに従って粟津へ赴き、霊泉を掘り当てた大師は
試しに病人を入浴させたところ長患いだった病が治りました。
そこで大師はこれまでずっと身近に使えていた弟子の「雅亮法師」に
一軒の湯治宿を建てさせ、その湯守りをまかせました。
これが「法師」と呼ばれる宿の1300年余り続く歴史の始まりでございます。

ちなみに。
湯治宿を営んだ雅亮法師の亡き後は
養子の五郎が善五郎を名乗り2代目を継承いたしました。
この名は代々と継承されており
現46代目も「法師善五郎」を名乗り当主を務めております。

です。