人生初の手術です。初の全身麻酔です。それなのに日帰りでお手軽な感じです。

前日に手術時間を連絡すると言われ、昼過ぎに病院から電話がありました。朝6時半に来るように言われてびっくり。実際の手術は10時頃だが、前準備があるからだそう。

当日6時半少し前に病院に到着すると、ドアが開いておらず、寒い外で待つことに。すでに4人ぐらい待っている人がいて、ドアが開く頃にはさらに増えて、こんなに手術を受ける人がいるのかと驚きました。

中に入ると順に名前を呼ばれ、生年月日の確認、緊急時の連絡先、手術後に迎えに来る人の名前と連絡先を聞かれ、それらの情報が入ったリストバンドを付けられました。タクシーでは駄目で、必ず家族か友人が迎えに来ないといけません。

その後、ナースに呼ばれてズラーっと並んだ手術患者用ベッドの一つに案内されました。そのナンバーが4!うーん、病院で4て... 日本では無しですよね。まぁ、気持ちの持ちようなので、シアワセのシと考えることにしました。

ナースから、今日は何の手術をするのか、どの胸の手術なのか質問されました。自分がきちんと把握しているのか、確認なんですかね。

しばらく待つと、車椅子押し係みたいな人が来て、マンモグラフィー室へ運ばれ、手術で切り取る箇所にワイヤーを入れる手続きをしました。その後、また車椅子押し係のサイモンが私の待機ベッドまで運んでくれました。

次に執刀するドクターWがやって来ていろいろ確認。その次に担当の麻酔科医が挨拶にやって来て、『We're gonna take good care of you』と心配要らないよ、という感じで言われ、ちょっとジーンときました。またその後に、手術室付きのナースがやって来て、ドクターWと麻酔科医は挨拶に立ち寄った?と聞かれ、まもなく手術室へ運ぶと伝えられました。

いよいよ手術室へ。時計を見ると10時20分ぐらき。手首から管を通され、少し目が回ると思ったところから記憶が途切れました。次に気付いて時計が目に入ったのが12時過ぎ。リカバリールームのようなところでした。ナースから痛みは?1〜10で言ったらどれぐらい?と聞かれ、7ぐらいだと答えると、かなり強い痛み止めを2錠も飲まされ、痛みは引いたが気持ち悪くなりました。

その後、また4番ベッドに戻され、1時半ぐらいには病院を出されたのでした。全身麻酔から覚めてまもなくだったので、さすがに家路への車の中は気持ち悪かったです。そんな状態でしたが、翌日から仕事復帰しました。

ドクターWと面会して、3週間後にようやくMRIの予約が入りました。

 

今年のカナダ西部は珍しく雪がよく降り、MRIの当日も大雪の日にあたってしまいました。

カナダ東部の雪に比べれば、全然大したことはないのですが、雪に慣れていない都市なのですぐに交通が麻痺してしまうのです。

 

午前8時半が予約時間だったのですが大渋滞で全く車が進まず、州立ガンセンターへ到着できたのは11時半頃でした。途中で電話を入れて状況を話し、『雪で渋滞しているのは分かっている。何時になってもいいから来てください』と、有難いお言葉を頂いおり、到着したらすぐにMRI検査をしてくれました。造影剤を入れての検査は初でした。

 

MRI検査から4日後、再びドクターWと会いました。 MRIでも明確な判断が付かないので、結局切開生検をする必要があると言われ、2017年1月12日の手術決行ということに決まったのです。

 

私もいろいろネットで調べてみたのですが、針生検(私が行ったのは、マンモグラフィーで石灰化の箇所を見ながら、太い針で細胞を吸い取って検査するタイプの『ステレオガイド下マンモトーム生検』だったようです)でも判断が付かずに切開生検に進むケースは、最近では珍しいようです。

 

カナダの医療システムでは、別の医師にセカンドオピニオンを求めることは難しく、また日本に一時帰国して検査をするという選択肢はいろいろな理由から私の場合はなく、ドクターWに従うしかありません。それに、州立ガンセンターで針生検もMRIも行っているので、多数の症例を見ている技師や医師の判断によると思われ、ドクターWのみの判断ではないはずなので、両胸を切られるのは避けたいが避けられない事態のようです。

 

つづく

 

針生検の結果に記載されていたのは、両胸3ヶ所の石灰化のどれも疑わしいので、切って調べるというものでした。

紹介された外科医はドクターW。女医さんです。ドクターWとのアポも、病院からの予約待ちとなりました。

意外に早く、1週間後ぐらいに病院から電話があり、キャンセルが出たから明日来れる?と。仕事でクライアントとのアポが入っていたので、迷いました。次にドクターと予約が取れるのは2週間後とのことで、その期間に状況が悪化するか尋ねたところ、『あなたの場合は大丈夫』とはっきり言われて安心したので、2週間後のアポにしてもらいました。

いよいよ、ドクターWとの面会です。石灰化の状況について説明を受けました。私の石灰化は、乳管から出ていない状態で、かつ、ガン細胞かどうか判断が付かないそうです。針生検ではスモールサンプルを採取したのみだったので、石灰化した部分を切り取ってビッグサンプルでの検査が必要だと言われました。

左胸は5センチにも渡る石灰化の箇所があるので、そんなに多くの部分を切り取って良性だとアグレッシブ過ぎる処置になってしまうから、まずMRIを取りましょう、ということになりました。

MRIはドクターWがいる病院ではできず、針生検を行なった州立ガンセンターで行ないます。当然、また予約待ちの日々が始まりました。

つづく
針生検の後、1週間ぐらいで検査結果がわかるから、必ずドクターに聞くよう言われました。

カナダは州ごとに保険制度が決められていますが、基本的にまずファミリードクターにかかり、そこから専門医や病院を紹介されます。

私はファミリードクターがいないので、ウォークインクリニックで空いているドクターに会い、そこからマンモグラフィーの紹介をしてもらいました。

日本のように自分でネット等で調べて、直接専門医に予約を取ることはできません。検査結果も紹介ドクターに送られ、その人に聞かないといけません。

かかったクリニックが結構いい加減で、検査の結果が悪くても、こちらから聞くまで連絡をくれないので困ります。最初にかかったドクターとすぐにアポを取ることができなかったので、別のドクターと会うことになりました。それが検査から約2週間後。

若いチャイニーズ系のドクターでした。州立ガンセンターからの結果をさっと見て、「はっきり言うが、キミはガンだ」と開口一番に言われました。

実はこの検査結果には、疑いがあるとだけ書かれていて、明確にガンだとは記載されていませんでした。が、何故かこの医師免許取り立てっぽいドクターにいきなり前置きもなく断定され、ショックを受ける心の余裕もない状態で、頭にすぐ受かんだことは、『仕事、どうしよう?』でした。

私の仕事は、1日休むだけでも翌日しわ寄せが来て自分が大変なのに、入院なんてことになったらパソコン持ち込んで仕事できるかな?と、そこまで想像してしまいました。自分の体より、子供たちのことより、仕事が一番に心配になるなんてなんてことでしょう。

針生検の結果、異常が見つかるケースは数パーセントだと読んだので、まさか自分がその少数派になるとは思ってもおらず、あまりに現実味がなかったのです。

つづく

マンモグラフィーの結果、石灰化の箇所が見つかり、その箇所について再度マンモグラフィーをすることになりました。

再マンモグラフィーでもやはり疑わしいと判断され、ブレスト・コア・ニードル・バイオプシー・テストが必要だということになりました。日本では針生検というのでしょうか。

州立ガンセンターで検査予約待ちとなり、2ヶ月待ってようやく電話、いよいよ針生検に臨むことになりました。

どういうものか無知だったので、うつ伏せ状態で長時間耐えられないとこの検査は受けられないと言われ、なぜうつ伏せなんだろう?と疑問でした。

検査の前にビデオで一通り説明動画を見せられ、納得したのでした。胸の部分がスッポリ入るスペースの開いた特殊な台にうつ伏せで寝て、台が上がる仕組みになっています。それでドクターが下から針を刺して組織を採取できるのです。

私の場合、右胸に1ヶ所、左胸に2ヶ所の合計3ヶ所に疑わしい石灰化があり、針生検に3時間半ぐらいかかりました。

つづく