夜明け告げるルーのうた(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

夜明け告げるルーのうた(ネタバレ)

夜明け告げるルーのうた

夜明け告げるルーのうた

2017/日本 上映時間107分
監督・脚本・製作:湯浅政明
脚本・吉田玲子
製作:清水賢治、大田圭二、荒井昭博
チーフプロデューサー:山本幸治
プロデューサー:岡安由夏、伊藤隼之介
キャラクターデザイン原案:ねむようこ
キャラクターデザイン・作画監督:伊東伸高
美術監督:大野広司
フラッシュアニメーション:アベル・ゴンゴラ、ホアンマヌエル・ラグナ
撮影監督:バテイスト・ペロン
音楽:村松崇継
主題歌:斉藤和義
劇中曲・編曲:櫻井真一
音響監督:木村絵理子
制作プロデューサー:チェ・ウニョン
アニメーション制作:サイエンスSARU
声の出演:谷花音、下田翔大、篠原信一、柄本明、斉藤壮馬、寿美菜子、大悟、ノブ
パンフレット:★★★★(720円/フラッシュアニメーションについてのコラムなども載ってて、なかなか充実したパンフ)
(あらすじ)
寂れた漁港・日無町で、父親や祖父と3人で暮らす男子中学生カイ。両親の離婚が原因で東京からこの町へ引っ越してきた彼は、両親に対し複雑な思いを抱えながらも口に出すことができず、鬱屈した日々を送っていた。そんなある日、クラスメイトの国男と遊歩に誘われて人魚島を訪れたカイは、人魚の少女ルーと出会う。カイは天真爛漫なルーと一緒に過ごすうちに、少しずつ自分の気持を言えるようになっていく。しかし日無町では、古来より人魚は災いをもたらす存在とされており……。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




70点


※今回の記事は、本作が好きな人は不快になる恐れがあるので、気をつけて!

湯浅政明監督の「マインド・ゲーム」は傑作だと思うんですが、アニメ自体が守備範囲外なので、最初はスルー予定だったんですけれども。愛聴しているラジオ番組「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル(略称:タマフル)」の人気コーナー「ムービーウォッチメン」の課題映画になったので渋々観た「夜は短し歩けよ乙女」が超ストライクだったということで、つい本作の前売り券を買っちゃいまして。ただ、仕事が忙しくてなかなか足を運べない…というお馴染みの状態に陥って、TOHOシネマズ新宿に行けたのは6月上旬の公開最終週。率直な感想を書くと、「良かったけど…釈然としない… (・ω・;) ウーン」って感じでしたよ。


8番スクリーン、結構混んでいたと思います、確か。
8番スクリーン


話を雑かつ乱暴に書いておくと、音楽が好きで内向的な男子中学生カイが、歌が大好きな人魚の少女ルーと出会って、「仲良くなる→仲間にも紹介する→他人にバレる→迫害→町に危機が!→人魚軍団が救ってくれる→別れ」という「人外の友だち」系ストーリーの王道パターンを踏襲する感じ。最後はカイが成長して終わってたんじゃないかしらん。

まず、好きな部分を書いておくと、ルーの動きが観てて気持ち良かったところとか、「他の生物を噛むと人魚になる」&「光を浴びると死んでしまう」という吸血鬼のような人魚の設定とか(もともとはヴァンパイアにする予定だったとか)、カイが最後に自分の気持ちを伝えるために「歌うたいのバラッド」を歌う展開とかとか。人魚を嫌っていた老婆&祖父が、嫌う原因となった“人魚に食べられたと思っていた近親者”が実は人魚として生きていたことを知る場面は、絵の力が非常に素晴らしくて、かなり泣いちゃった次第 (ノω・、) グスン


終盤の僕は、このアライJr.のような顔で観ていたのです(「バキ」より)。
滝のような涙を流すアライJr.


とは言え、微妙に感じるところも結構あって。一番納得いかなかったのが、人魚たちが“優しい生き物”すぎるというか。終盤、人魚に娘の遊歩を食われたと誤解した地元企業の経営者がルーを捕獲&光で拷問する→その叫びのせいで”おかげ様”の呪いが発動して、町に波が押し寄せることになるんですが…。その波からわざわざ愚劣な人間どもを救ってやるって、マジかと(愚劣な人間が書いている文章)。ルーだけが救助活動を頑張っていて、その姿に胸を打たれて他の人魚も徐々に加勢するぐらいならわかるけどさ、僕がルーの父親の立場だったら、即座に人間を皆殺しですよ。最低でも、遊歩の父親だけは「オレサマオマエマルカジリ!(`Δ´)」って感じになるだろうなぁと。


終盤の展開を人魚側で観ていた僕の心境を代弁するカイザーを貼っておきますね。
ウォ〜(戦争だ)


あと、「人魚たちの水を操る能力があまりにもスゴすぎて引いた」とか「犬だけじゃなく猫も殺処分から助けてほしかった…」とか「泣いたけど、よくよく考えたら、人魚化した奴らはそのことをちゃんと身内に伝えようとしろよ(人魚になるとそういう発想ができない?)」とか思うところはあるんですが、置いといて。少し冷めたのが、ラストの「歌うたいのバラッド」のシーン。いや、上記の通り、僕自身も盛り上がって観ていたんですが、もともと斉藤和義さんの原曲が好き→カイが歌詞を省略して歌っているのに気付いちゃって(2番のサビあたり)、ふと現実に引き戻された…って、伝わるでしょうか。


短縮版ですが、「歌うたいのバラッド」を貼っておきますね↓




な〜んて、文句をダラッと書いちゃいましたが(汗)、基本的には前売り券代分は十分楽しめたので、70点という着地でございます (´∀`;) エヘヘ まぁ、世間ではかなり褒められていて、「人魚が出てくる&町が海に飲み込まれる」ということで比較されがちな「崖の上のポニョ」より上という人もいるし、6月に開催された「タマフル&トップ5&生活は踊るオフ会」にて、初めてお会いした相互フォローしている方(両目洞窟人間さん)も高評価だったということで、気になる人はぜひ観てみてくださいな。僕自身、仕事が忙しいのに無理矢理観に行ったせいで、あまり映画に集中できなかった面もあるので、ソフトがリリースされたら、また観直そうかなぁと思っております (・ε・) オシマイ




本作のノベライズ。アニメでは描ききれなかった部分が補完されている様子。



良さげな公式アートブックを貼っておきますね。



最近観た湯浅政明監督作。僕の感想はこんな感じ