ミツバチと私(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

ミツバチと私(ネタバレ)

ミツバチと私

 
 
原題:20.000 especies de abejas
2023/スペイン 上映時間128分

監督・脚本:エスティバリス・ウレソラ・ソラグレン

製作:ララ・イサギレ・ガリスリエタ、バレリー・デルピエール

撮影 ジナ・フェレル・ガルシア

美術:イザスクン・ウルキホ

衣装:ネレア・トリホス

編集:ラウル・バレラス

出演:ソフィア・オテロ、パトリシア・ロペス・アルナイス、アネ・ガバラン、イツィアル・ラスカノ、マルチェロ・ルビオ、サラ・コサル、ウナス・シャイデン、アンデレ・ガラビエタ、ミゲル・ガルセス

パンフレット:★★★★(700円/最近の相場的に安めの値段ながら、長めの監督インタビュー、佐藤久理子さん鈴木みのりさん萩尾生先生のレビュー&コラムなど、読みどころ多し。良いパンフ)

(あらすじ)
夏のバカンスでフランスからスペインにやって来た家族。8歳のアイトールは自分の性自認が分からず、違和感と居心地の悪さを抱えて心を閉ざしている。母はそんなアイトールを愛しながらも、向き合い方に悩んでいた。ある日、叔母が営む養蜂場でミツバチの生態を知ったアイトールは、ハチや自然とのふれあいを通して心をほどき、ありのままで生きていきたいという思いを強めていく。(以上、映画.comより)


予告編はこんな感じ↓

 

 

 

80点

 

 

※本作については、宇多丸師匠の時評が素晴らしいので、ぜひ読んで or 聴いて!(1/22追記)

 

基本的には「濡れ衣を着せられたドニー・イェンが素手で次々と人を殺していくような映画」を好む私が、なぜ本作を観たかを書きますと。私には「映画の前売り券に付いている特典=前売り特典」をチェックする趣味がありまして。本作には「はちみつ石けん」が付いていたので、どんな映画なのか内容をまったく知らずにチケットだけ買っていたのです (´∀`) ウフフ で、「横浜シネマリンあたりで上映された時に観ようかな」と思っていたら、ちょうど愛聴しているラジオ番組「アフター6ジャンクション2」の週刊映画時評コーナー「ムービーウォッチメン」の課題映画になったので、有休消化のために午後から休みにしていた1月16日(火)、新宿武蔵野館ポトフパンを食べながら鑑賞いたしました。「オレもまだまだだな… ( ´_ゝ`) フッ」と思ったり。まぁ、アッサリめの感想をササッと残しておきますね。

 

 

実にアンプラグドらしい前売り特典ですな。

 

当日のgif。観客は21人くらい。ポトフパン、武蔵野館のパンにしては結構普通でした(辛口評価)。

 

 

最初にあらすじを超雑かつ適当に書いておきますと。主人公は5人家族の末っ子アイトール(a.k.a.ココ/8歳)で、性自認に悩みつつも言語化できずに孤独を感じる中、帰省先で養蜂家の叔母ルルデス(アネ・ガバラン)が優しく理解してくれたから少しずつ癒されていって。「母のアネ(パトリシア・ロペス・アルナイス)が教職を得るために彫刻に没頭するもうまくいかなくて自分の父親(そこそこ有名な芸術家だったっぽい)の作品を提出しちゃった→合格するも辞退」といった話も描かれる中、失踪騒ぎを起こしたりもしたけれど、最後は家族も理解してくれたっぽいムードで終わってましたよ。

 

 

なんとなくエスティバリス・ウレソラ・ソラグレン監督のメッセージ動画を貼っておきますね↓

 

 

 

「トランスジェンダーの子ども」を取り上げた映画といえば、最近は「トムボーイ」「リトル・ガール」などの作品を観てましてね。私は「ヘテロのシスジェンダーで男だぜッ!Σ(°д° ) クワッ」という超マジョリティ側なので、ううむ、”性自認に悩む子ども”の気持ちなんて「大変なんだろうな… (`Д´;) ヌゥ」程度の安易な想像しかできませんが、本作は「”性自認に悩む子ども”を取り巻く周囲の人たち」もちゃんと描いているため、「こういう子どもにはどう接するのが良いのかな…」と、周囲の大人目線で結構考えさせられた次第

 

そりゃあ、いろいろな意見があると思いますが、とにかく「心を傷つけないのが大事」というかさ。私、本作ではラストの失踪したっぽい展開(私的には、単に蜂の巣箱を叩きに行ってただけだと思う)が好きなんですよね。あれって、家族みんなが半べそ状態で探していることがすべてであって。失って後悔するなら、普段から「後悔するような接し方」はしちゃダメなんだよなぁと、強く思いました。だからね、いくらムカついたからって「バカ兄!もう帰ってくるな ( ゚д゚)、ペッ」なんて言っちゃダメだぞ、リョータ(唐突に「THE FIRST SLAM DUNK」が混ざった文章)

 

 

主人公を演じたソフィア・オテロ、主演俳優賞を受賞したのも納得の素晴らしさでした。

 

 

その他、思ったことを書いておくと、「母アネ役のパトリシア・ロペス・アルナイスと、叔母ルルデス役のアネ・ガバランの演技も見事」とか「バスクの風景が美しかった」とか「主人公が傷ついた夜、ベッドで手を握ってあげている兄にグッときた」とか「最後が悲劇で終わらなくて本当によかった…」とか「パンフで『デッドネーミング』という言葉を知りました」とかとかとか。今、まだトランスジェンダーに対する差別が酷かったりするワケですが(浴場とかトイレなどの女性用スペース問題が気になる方はこちらの記事とか読むと良いと思う)偏見を持っている人にこそ観てほしいな…な〜んて偉そうな文章を書いてみましたけれども。

 

ううむ、この日は某動画の編集作業で徹夜して少し集中力が欠けていたせいなのか、「叔母ルルデス役のアネ・ガバランの演技も見事」なんて書いたくせに、実は映画中盤まで叔母と祖母が同一人物だと思っていたのです。だから途中まで「この人、さっきは優しかったのに、いきなり意地悪なことを言い出すなぁ (・ε・)」などと不思議に感じていたというね…(遠い目)。そんなワケで、あらためて「オレもまだまだだな… ( ´_ゝ`) フッ」って思いました。おしまいッ!

 

 

 

 

非常に連想したセリーヌ・シアマ監督作。観ておくと良いです。

 

 

同じく連想したセバスチャン・リフシッツ監督によるドキュメンタリー。観ておくと良いです。

 

 

タイトルから連想したビクトル・エリセ監督の名作。観ておくと良いです。