困ったペット保護 | くまくま.com ホッキョクグマ支店

困ったペット保護

http://www.yomiuri.co.jp/feature/eq2011/information/20130321-OYT8T00518.htm?from=tw  以下転載


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東京電力福島第一原発周辺の立ち入り禁止区域に残された犬や猫の保護に国や自治体が頭を悩ませている。野生化したペットの捕獲は難しく、民間の手を借りたいが、動物愛護団体の中には、虚偽の立ち入り申請書を自治体に提出して活動を行い、民家の中に餌をまいていくケースも。自治体には、一時帰宅した住民から「ネズミやゴキブリが増えた」などの苦情が250件以上寄せられている。

 環境省によると、原発事故前に福島第一原発の半径20キロ圏で、市町村に登録されていた犬は約9000匹。同省と福島県は2013年2月までに犬453匹、猫541匹を保護した。現在も相当数のペットがいるとみられる。野生化したペットが繁殖し、新たに生まれた犬や猫もいるが、数はつかめていない。

 警戒区域などは、災害対策基本法で立ち入りが禁止され、保護活動が可能なのは、同省と県だけ。カメラを設置して、野生化したペットの行動範囲を探るなどしているが、捕まえるのに苦戦している。

 環境省は民間に協力してもらおうと、11年12月に16団体の活動を認めたが、無断でテレビクルーを同行取材させるなどのケースがあったため、その後は許可していない。

 こうした中、立ち入り禁止区域内の事業者から依頼を受けたと装い、地元市町村に申請を出す団体もいる。中国地方の団体代表は「警戒区域内にある会社に名前を使わせてもらえるよう協力してもらい『会社の書類運搬の手伝いをする』と、うその申請をして活動した」と打ち明ける。

 虚偽申請をする団体は複数あるとみられる。今年1月には、偽の通行許可証で警戒区域に入ったとされる動物愛護家2人が偽造有印公文書行使などの疑いで逮捕された。

 ペットフードを置いていくケースもあり、浪江、双葉、大熊、富岡の4町には、一時帰宅した住民から「庭先や屋内に勝手に餌がばらまいてあった」「餌にネズミやゴキブリが発生した」など250件以上の苦情が寄せられている。

 自治体はこれまで、申請内容に矛盾がない限り許可書を発行してきたが、事業者に依頼したかどうかなどを電話で確認するなどの対策を取り始めた。

 一方、愛護団体は「民間の活動も認めてほしい」と訴える。環境省は共同活動を再検討しているが、民間団体は規模も活動内容もばらばらの上、窓口となる協議会もない。

 同省動物愛護管理室の大倉弘二室長補佐は「動物を保護したい気持ちは民間も行政も同じ。なんとか一緒に活動できるよう模索したい」と話す。

2013年3月21日 読売新聞)

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