置き去りにされた小さな命~福島第一原発20km圏内 警戒区域から~


いつもの年と変わらず、

原発事故なんて関係なく、

白鳥が飛来する。

今年は、パンなどの餌を運んでくれる人も無く、

本当の野生の鳥として生きていくのだろう。










置き去りにされた小さな命~福島第一原発20km圏内 警戒区域から~

給餌を依頼された場所へと向かうには、唯一の細い道。

無数の野生のサルが、川から道路を横切り、森の中に帰る。

クルマをゆるゆる走らせながら、奥へ奥へと進んで行く。







そしてここからが、「もうひとつの20km圏内」への入り口だった。

置き去りにされた小さな命~福島第一原発20km圏内 警戒区域から~


橋を渡った先に突然の通行止め。


「この先に入る場合、このゲートは元に戻して下さい。

牛が脱走しますので、お願いします。

和牛友の会」の文字が・・・。



タイムロスを考えると迷っている暇はない。

とにかくパイプをずらして元に戻し

紐で結わえ、森の中をひた走る。

目的地はこの先まだ10km余り。

*雪に残る足跡とタイヤ痕はわたし達のもの。








置き去りにされた小さな命~福島第一原発20km圏内 警戒区域から~


森の中を走り抜け

突然開けた視界の先に、

ピョンピョン跳ねる子牛ちゃん。

お母さんはどこ?

迷子になってしまったの?










置き去りにされた小さな命~福島第一原発20km圏内 警戒区域から~


少し先ににクルマを進めれば、

藁小屋にふんだんにある藁を食む離れ牛たち。

向こう側には、水田跡地が広がり、のんびり佇む牛もいる。

さっきの子牛ちゃんも合流したようだ。

ほっと、胸を撫で下ろす。


誰も人影は無いけれど、

君たちには、守ってくれる人がいるんだね。



もしも、里に下りていけば、運命は決まっている。


もしかして此処は、

先週見た、殺処分の為の

囲い込み柵にいた牛たちが

最後に行き着いた天国だろうか。


次にこの場所を見ることは

二度とないのかもしれない。

探しても探しても・・・。


わたしだけ見た幻覚?




そしてもっとその先。


置き去りにされた小さな命~福島第一原発20km圏内 警戒区域から~

木の枝が車体を引っ掛け、堆積した土砂がクルマをうならせる。

生きて帰るには、もう限界。

四駆に乗っている人に、お願いするしかない。





急いで来た道を引き返し、

捕獲機を回収に向かう。

結果は、魚だけ持ち逃げ!


ところが、やっぱりニューフェイスの猫を見る。

もう一度仕掛けて、待つこと5分。


置き去りにされた小さな命~福島第一原発20km圏内 警戒区域から~

緊張の糸が切れ、安堵感に包まれる瞬間。

君は、先週保護したブルーアイの子の兄弟?

本日はチームで8匹の猫を保護。

でもね、

まだまだ、待っている子がいる。











置き去りにされた小さな命~福島第一原発20km圏内 警戒区域から~


ほら、こんなふうに

久しぶりのご飯を・・・。












東京への帰り道。

本日はおみやげつきです。


置き去りにされた小さな命~福島第一原発20km圏内 警戒区域から~ LYSTA Sさんと


昨年のレスキューで保護されていた子犬”コウタロウ”

ここまで大きくしてくれた、いわきのお姉さん(LYSTA)と

バイバイして、我が家にやってきました。

そのコウタロウの悪っぷりは、次回ブログでお知らせします。
ただ今、わたし小鳥ちゃんは、このワンコに翻弄されつつ、

仕事から帰って、家のドアを開けるのが

案外ささやかな、生きがいになっているのです。