石灰をかけられた乳牛はここから運ばれて、
どこかに埋められてしまった。
蓄主さんが片付けたのだろうか、一体どんな思いで・・・。
人間は生きていく以上、
ココロが折れてしまうような悲劇さえも、
どうにか受け入れて、そして夜明けを待つしかない。
少しずつ忘れて、思い出にして。
何も出来なかったわたしを含めて、大人や政治家たちが
圏内にいた動物たちにしてきたこと
言葉では言い尽くせない、ひどすぎる仕打ちを、
仕方なかったんだからと、
諦めて、忘れていくなんて許せない。
いっそ、あの時牛たちと一緒に
断末魔の声を聞きながら餓死していれば、
こんな思いにさいなまれることもなく、
せめて今は、楽になれたのかもしれない。
原発事故からもうすぐ一年。
公的な寄付金の分配のあった動物愛護団体も
徐々に20km圏内から遠ざかり、
今では給餌やレスキューを続けている人は
限られてきた。
自力で資金集めをしながら、
まだまだ、諦めずに20km圏内に
クルマを走らせるアニマルエイドのSさん達。
どうしてなの?
もう忘れてしまえば・・・。
バイバイ、
なんて言えないよ。
クルマが来る週末を、震えながら待ってる。
ただひとつの命の細い綱を
しっかりと握ってるのは
スーパーマンでもなく、政治家でもない。
嫌というほど見てきたから。
そして、今も・・・
まだ懺悔の気持ちさえなく、
この零下の屋根も無い、風の吹き荒ぶ中、
囲い込んで、また置き去りにして餓死させるのか、
毒殺するのか。
どうせ死ぬ運命なら、どんな扱いをしてもいいというのか。
役人や政治家の中に、
これを止められる人のいない日本。
貧しいココロの国。
コウタロウみたいに、
助けられる命があるのなら・・・。
諦める訳には、いかないんだ。
それが、どんな場所でも。