夜明けの警戒区域、20km圏内への道。
たくさんいた離れ牛。
今では数少なくなってきた。
殺処分が進んでいるのだろう。
浪江町某所。
殺処分柵から逃れて生き抜くたくましい牛たち。
クルマを止めて、200m以上離れている牛たちに
「おいで~」と手招きする。
こちらをじっと見ながら段々と近づいてくる。
ほんの少しだけどプレゼントだよ。
ぬかにペットボトルの水を含ませる。
アニマルエイド隊員、Kさんがわたしに持たせてくれた。
気に入ってもらえたみたいだね。
口のまわりをぬかだらけにしながら、
何かわたしに訴える目。
今度はもっとたくさん運んでくるね。
だから、必ず生きてて欲しい。
一頭もいないことに安堵する。
死んで行く牛を見るのは辛過ぎるから。
明け方0℃だった気温、
昼ちかくに緩み始める。
田んぼの中でたくさんの猫を見た。
すばしっこくてなかなか捕まらない損な猫。
アニマルエイドで
KMO(可愛いのに目立たないから惜しい猫)
シリーズをやっているが、
こちらはSTS(すばしっこくて捕まらないから損な猫)
とでも名づけて紹介したいところだが、
写真を撮ること自体不可能なのだ。
今日は約束通り迎えに来たよ。
クルマの中でそっと様子を窺っていると、
捕獲機の周りを警戒しながら歩く
ブルーアイのしろちゃん。
踊り出しそうになったわたしであったが
目の前の道路を警察車両が・・・・。
また、捕まる~~。
しろちゃん、入って!警察早くあっち行って!
咄嗟に助手席に倒れこみ体を隠し息を殺す。
今日は、一人で行動しているから
いいものの、いい年の女がクルマの中で
ドタバタ。
警察はわたしに気づかず、去ったようだ。
ほっと胸を撫で下ろす。
それにしても用心深いしろちゃん。
置き去りにされたたくさんの猫たち。
しろちゃんはそのうちのたった一匹。
されど唯一の一匹。
しろちゃんはブルーアイ。
でもね、
赤目になったり、キャッツアイ色になったり
目の色が七変化。
こんなお宝は、本当は誰にもあげたくない気分。
でも、柴田さんにお願いしたんだ。
絶対に幸せになれる子だと、確信してるから。
だいぶ汚れて怪我もしてる。
ちょっと痩せたみたい。
しろちゃん、
必死に生きてきた、ただひとつの命なんだ。