置き去りにされた小さな命~福島第一原発20km圏内 警戒区域から~

紫陽花の季節は、

ここ警戒区域にもやって来る。


放射能で汚染された土が咲かせた花が

こんなにも可憐なのは、どうして?






置き去りにされた小さな命~福島第一原発20km圏内 警戒区域から~

二週間に一度やってくるごはん。

首が伸びきっちゃうくらい、

待っていたんだね、きっと。








置き去りにされた小さな命~福島第一原発20km圏内 警戒区域から~

新しいフードをクルマから運んでいると、

待ちきれずにとことこ出てきた子。

残念だけど、すぐにバイバイして次にクルマを走らせる。


他の給餌ポイントから少し離れた場所へ・・・。

周りは水田跡が広がるその中に

そこだけ場違いに小さな祠(ほこら)がある。

いつもは気にせず通り過ぎるのに

今日、立ち止まったのは偶然だったのだろうか?





置き去りにされた小さな命~福島第一原発20km圏内 警戒区域から~

傘地蔵じゃないけれど、

誰かがお地蔵さんに着せていった洋服。

この写真と同じく、お地蔵さんの顔が

どんなだったか、全く意識がなく、

覚えていない。


ただ、見えたのはじっとこちらを窺うブルーの瞳の子。

そして・・・。





置き去りにされた小さな命~福島第一原発20km圏内 警戒区域から~

雨宿りする場所はここしか無い、田んぼの真ん中。

餌もない場所で、小さな命を育てて来たんだね。

自分だけ生きるのだって精一杯だったはずなのに。

中を覗くと、お目々ぱっちりの4匹の子猫。


今日も、100%ついていない。

捕獲機は別の場所に仕掛けて来た。

どうしても何とか連れて帰りたくて

キャリーバックを持って近づく。

一瞬の出来事だった。

一旦、二匹がバックに入るが、

四方八方素早く逃げていく。

バラバラになってしまった家族。


その後、暫くこの場所を離れ、

様子を窺うも、祠の中は空っぽ。

罪悪感、涙、失望感、涙。






置き去りにされた小さな命~福島第一原発20km圏内 警戒区域から~

消えていく、お母さん猫。


何と引き換えなら、この子たちを助けられる?

わたしの命でいいのなら、いくらでも削るよ。