置き去りにされた小さな命~福島第一原発20km圏内 警戒区域から~

早朝からジリジリと太陽が照りつける。

呼吸するのも苦しい、警戒区域。


いつもの大熊町の給餌ポイントで

ちょっとした段差が超えられなくてコケる。

何故か笑いが込み上げて来た。

何とかクリアしてクルマに戻り

双葉町方面へR6を進んでいくと・・・。


大熊町、中央台の信号の先、

2頭のワンコが登場する。

左手に卵の無人販売用ロッカーがあるところ、

住所は入江だろうか。


何も出来ないけど

ご飯をあげたくてクルマを停める。

やばい、また警察車輌。

そしらぬふりで、クルマを走らせる。

ここで捕まるなんて、シャレにならない。

次のポイントについてすぐ

後から警戒区域に入る桜ママに電話して

ワンコを見てもらうことにする。


茶と黒のマーブル雑種犬。

お母さんとだいぶ大きくなった子どもだと思う。

お母さんは赤っぽい首輪をしてた。

R6はとても危険。

びゅんびゅんクルマを飛ばす人間たち。





置き去りにされた小さな命~福島第一原発20km圏内 警戒区域から~

どのポイントもフードは空っぽ。


お昼ごろの気温、31℃。

こんな日はアスファルトも焼けているから

動物達は日陰に隠れんぼ。


諦めの夏・・・かな。





置き去りにされた小さな命~福島第一原発20km圏内 警戒区域から~

おや~。

いつもの給餌ポイントのすぐそば。

遠くからでもすぐに分かった。








置き去りにされた小さな命~福島第一原発20km圏内 警戒区域から~

久しぶり、今日が二度目だね、

キジトラちゃん。

姿は見えなかったけど

フードはいつも空っぽ。

だから・・・

きっとまた会えるって、そんな気がしてた。


18時間の運転はしんどいけど

何回も通い続けてたから

もう一度、君に会えたのかもしれない。

ささやかな、ご褒美?




置き去りにされた小さな命~福島第一原発20km圏内 警戒区域から~

5月26日撮影


民家のアプローチに佇んでいた時のキジトラちゃん。

この日から、ここも給餌ポイントになっていた。


この子も、腹ペコですぐに保護出来ると思う。

でも、それは無期限でお預け。

アニマルエイドのシェルターに頼りきって、

柴田さん達に甘えて無理な保護を続けてきたけれど、

もう完全に保護枠は無くなった。

交付金の恩恵もなく、ここまでやってきたこと自体が

ギリギリの選択だったはずだ。


それでも、動かずにはいられなかった。

警戒区域は、見捨てられた動物たちの極秘の

殺処分場なのだから。

そのやり方は、血の通った人間とは思えない。

餓死にする?衰弱死にする?凍死にする?温熱地獄にする?

子ども達に対しては、虐待やいじめがいけないことだと、

偉そうに言ってる大人が率先して、

弱き者達に対してやってることがこれだから・・・。

小動物の虐待から始まって、殺人を犯す子どもをつくったのは

実は大人だと気づくべきです。