置き去りにされた小さな命~福島第一原発20km圏内 警戒区域から~


夜中の一時半、東京の家を出る。

いつもは爆睡してるクリーが、いってらっしゃいをしてくれる。

普段しないことをしてくれるから、これが最後のお別れかも・・・
そんな思いが頭をよぎる。

元気でね!クリー。




CDのヴォリュームをあげて頭を覚醒させる。

高速をひた走り、

雨降りも手伝ってまだ夜のままの警戒区域に

滑り込む。


置き去りにされた小さな命~福島第一原発20km圏内 警戒区域から~

キラ~ンキラキラ


写真はちょっと怖いけど、はじめて会った

ロン毛の三毛ちゃん。なかなかの美猫。

いつも給餌しているこの場所に、

わたしのクルマの音を聞いて、

ご飯下さいな~、とやって来た。

実はこのポイント、AAAクラス(ムーディーズの格付けじゃないが)

の難関中の難関。

何てったって、警察車両が頻繁に通る場所。

心臓バクバクで捕獲機を掛け、走り去る。





朝がやって来たことに、気づかずにいた。


置き去りにされた小さな命~福島第一原発20km圏内 警戒区域から~


放れ牛に会うのは久しぶり。

殺処分柵を逃れ、子牛を守りながら必死に生きてる牛たち。

檻の中に閉じ込められ、監禁される日本の酪農なら

もしかして短い命でも、自由に生きられるほうがいいのかも。


圏内では30件近い、クルマと牛との衝突事故が起きていて、

殆どが原発作業員の車輌との事故。

もう、これ以上牛たちを虐めるのはやめてくれ!







置き去りにされた小さな命~福島第一原発20km圏内 警戒区域から~


もう残り少ない、生き残った牛たちすら生かすことが出来ない

器の小さいこの国。


零下の風の吹きすさぶ中、何日も置き去りにして

毒殺を繰り返していた場所(小六郎)が、今では警戒区域解除となり

あの悪夢は何だったのかと思わせる。

命はおもちゃじゃないし、人間が犯した罪は人間が償うべきだと思う。







置き去りにされた小さな命~福島第一原発20km圏内 警戒区域から~

はじめまして!ロン毛のサビちゃん。

早朝の雨はあがり、

たくさんの猫たちと会う。

この場所のそばで仔猫を見つけた為、

急いではじめに掛けた捕獲機を見に行くが

何かの刺激で入り口が閉まった状態で、

三毛ちゃんは保護出来ず・・・。

仔猫のいた場所に戻るが、気配は消えている。








置き去りにされた小さな命~福島第一原発20km圏内 警戒区域から~

小学校の敷地にある放射能測定器。



子ども達がここに戻ることはないだろう。

各場所の測定器の数値を見ると

ここからクルマで3分くらいの場所で、14μsv/hのところがあったり、

浪江駅そばの公園では、警戒区域ではない郡山より低い数値だったりして、

何がそうさせるのか、人間が創ったものに人間が翻弄されている。


わたしといえば、一台しか持たない捕獲機に翻弄される一日。

環境省の捕獲作戦のように、たくさんの捕獲機を設置して

時間に制限無く、警察車輌を警戒することもなく、

これまで見た子を一匹残らず


警戒区域から脱出させたい。