置き去りにされた小さな命~福島第一原発20km圏内 警戒区域から~


警戒区域になって訪れた、二度目の秋。


最近教えてもらった水場の、2軒隣のお家で

お母さん猫を探し

みゃ~みゃ~鳴いてる仔猫を発見するが

わたしが近づくと、納屋に姿を消してしまう。





置き去りにされた小さな命~福島第一原発20km圏内 警戒区域から~


あらら。

お母さんはあなたですか?


仔猫は白に茶色の斑が入ってたから

もしかしてそうかも・・・。


ずいぶん余裕だけど。

仔猫が呼んでましたよ!




置き去りにされた小さな命~福島第一原発20km圏内 警戒区域から~


そうそう、そっちの方で呼んでました!

カラスが鳴いているから、

早く迎えに行ってあげて頂戴ね。


誰もごはんを置いていなかったこの場所で

必死に繋いできた命。


新しいポイントがまた増えた。


そして、この場所でも・・・。







置き去りにされた小さな命~福島第一原発20km圏内 警戒区域から~


草むらの中、人間の気配に

まるでリスか野うさぎのようにすばしっこく逃げる

5匹の仔猫を発見!

アメショー柄と白黒ぶちのお目々クリクリちゃん。

この子たちならすぐに里親さんが決まると思い、

捕獲機(画面右下)を置く。

近くでお母さんが呼んでいる。

人間のところに行かないで~。


何度も捕獲機の周りに匂いを嗅ぎに来ているのに、

わたしが覗きに行って目が合ったり

午後3時まで格闘するが作戦失敗!

これが、犬の保護団体さんが言ってる

己の気配に負ける!ってやつかしら。

あ~あ、可愛すぎる写真も撮れず・・・。

いつも肝心の写真がない。

かなりブルーだわ。



置き去りにされた小さな命~福島第一原発20km圏内 警戒区域から~


最後にフードの空き袋をごみ置き場に置いて

手ぶらで帰る。

環境省がここに来て乗り出した、期限付き保護。

あと二日もないはずだが、

5匹の仔猫がいた場所について

何とか情報が伝わるように動きたい。

そして、わたしも次回に賭ける!

って、この鼻息の荒さが意外とダメなのよね~。


また、新しい命が生まれてる警戒区域。

圏内を走行中、毎週のように通ってる

もっち~さんとばったり遭遇し、少し話が出来た。

彼女は笑顔をうかべながらも

言葉を失うくらいのショックを受けていた。

たくさんの仔猫に遭遇するも、保護枠も無く、

このまま何処に流れ着くのだろう・・・

そういう目をしてた。


この国では若い彼女のような人が、被曝を承知で

しかも国からは違法な行為とされて動くしかないという事実。

美しい彼女の週末はデートではなく、警戒区域通い。


帰りの高速のトイレで、久々に自分の顔を見てぎょっとする。

蜘蛛の巣が張り付いた髪の毛と、ほっぺの流血。

セイタカアワダチソウが刺さったあと。


今夜、虚しさだけ、東京に持ち帰る。