置き去りにされた小さな命~福島第一原発20km圏内 警戒区域から~


7月なのに冷たい雨が降る日のことだった。

グレイのマーブルちゃんが顔を見せてくれたのは、

その日が三回目。

せっかく会えた日、保護枠は無く、

その後、保護枠がある日は、

この子を保護したくて

何度か捕獲機を掛けるが空っぽ。

600m以上の広範囲を行き来している様子なので

どこに捕獲機をかけるのかが難しかった。



雨に濡れたまま佇んでいたこの日を最後に

以後は、姿が見えなくなり、

9月29日に警戒区域に入った時、

この場所のそばで猫の骨が転がっているのを見つけ、

もしや・・・と半ば諦めかけていた。





置き去りにされた小さな命~福島第一原発20km圏内 警戒区域から~


はじめて会ったのは、夏が来る前だったね。

何度か顔を見るうちに、

会いたくて、会いたくて仕方がなくなる。

忙しい東京での暮らしの、ふとした隙間時間、

賑やかに騒いでたお酒の席を抜け出して

静まり返ったトイレで一人になった時とか

あるいは、眠りの前に本のページをめくろうとした時など、

どうしてるかな~と、切ない気持ちがこみ上げて来た。



もしかして?でも、まさか・・・

あれっ、と思ったままスルーしてた。

http://www.pref.fukushima.jp/eisei/douai/saigai/helpedanimals/cats/20389.htm


環境省と福島県の期限付き保護。

この子に間違いない。

他の写真とも照合してみる。


置き去りにされた小さな命~福島第一原発20km圏内 警戒区域から~


黄色くなった手足とグレイの模様。

この時より、ちょっと痩せたみたいだけど。

保護された場所も、ピタリと当てはまる。


少しだけ、ほっとする。

とりあえず、ご飯と凍てつく冬の心配は無くなったのだから。

あとは、このままケージが最後のお家にならないように、

運命の里親さんが迎えに来てくれたらいいのだけど。


本当はね、今すぐにでも飛んで行って

ギュッと抱きしめたい・・・

よくがんばったねって。