置き去りにされた小さな命~福島第一原発20km圏内 警戒区域から~


おはよ~。

今日最初に会ったのは牛さん親子だった。

赤ちゃん牛が、道路の陥没の中にいたので、

出られなくなったんじゃないかと心配したけれど

ピョンピョンっと飛び出してきて

「ママ、怖かったよ~」って言ってるのかな?

ほっと、胸を撫で下ろす。


この場所はR6も近く、スピードを出した

原発の工事関係のクルマとの衝突がとても心配。

そして、草が無くなって来た時に、

僅かの餌でおびき寄せられる殺処分柵。

また、零下の風の吹きすさぶ屋根も無い中、

何日も置き去りにされて毒殺される。




置き去りにされた小さな命~福島第一原発20km圏内 警戒区域から~


牛さん親子、

この仲間達のところに紛れていった。


草の中でかくれんぼ。

くふふふ~って

くすぐったい笑いが聞こえてきそう。

やがて来る殺戮の日が一日でも遅れて

やって来ますように。

いるはずの無い神様にお願いしてみる。






置き去りにされた小さな命~福島第一原発20km圏内 警戒区域から~


給餌依頼の飼い主さんのお宅。

春頃から、

何度も足を運んでいたけれど生き物の気配は無くて、

それでもフードは空っぽで・・・。


やっぱり生きてたんだね。

クルマの音にフードを覗きに来た黒っぽい猫。

それなのに、わたしの姿に驚いて

超スピードで家の裏手に逃げてしまう。

追いかけて、出ておいで~と呼んでみるけれど

し~んと静まり返ったまま、

わたしの草を踏む音だけ、虚しく響く。


今日は事情があり、限られた時間の中、フル回転で動く。

雨も降り出したから、急いで次のポイントへ・・・。



おやおや~。


置き去りにされた小さな命~福島第一原発20km圏内 警戒区域から~


いつものポイントに、ご飯を探しに来たキジトラちゃん。

おなかぺこぺこなのか、動きがとってもスロー。







置き去りにされた小さな命~福島第一原発20km圏内 警戒区域から~


ここは、主要道路の上、隠れる場所が無い。

それでもやるっきゃない!

大急ぎで捕獲機を掛けこの場を去る。

どうか、入って!




一時帰宅の住民が沢山帰宅されていた今日。

県外に避難されてる保護依頼の飼い主さんと初対面。

これまで、飼い犬と飼い猫の一匹ずつは保護されていて

(それぞれ、みなしごさん、アニエイで保護)

自分の飼ってた犬と猫は絶対守る!

そんな強い意志で、まだ見つからないキジトラちゃんの名前を呼んで

家の近所を必死に探して回る彼女。


限られた一時帰宅の時間で、彼女にとって大切なのは、

残された家財道具でも何でもなく、置いていってしまった

だた一匹の猫のこと。


今日、ひとりの女性の一途な思いとは全く別世界の、汚れたものを見てしまう。

これはいわゆる原発マネーとは違うかもしれないが、

この一時帰宅にどれだけ無駄な人件費がかかっているかということだ。

あくまでも、一時帰宅を否定するのでは無く、やり方の問題だ。

入り口までの長い道のりに無数に配置された地元の人。警察、環境省の職員。

そして中継地点やスクリーニング会場で、実際に作業しているのは2名ほどで

その他はただ、徒党を組んで立ちすくんでいる。

人の稼働率はせいぜい5パーセント。

警戒区域に入って、ざっと目にしただけで数百人はいるだろうか?


不況のこの世の中に、こんな仕事のやり方があるだろうか?

警戒区域という密室で行われる、やりたい放題。

原発問題の復旧関係なら、何でも許されるというものでもない。

警察関係もそうだ。

銃泥棒は捕まえられなくても、地方の交番からやってきた

警察官には法外な危険手当?

給餌をするわたしに延べ5人の警官が、半日の時間を使って取り調べ。


善良な市民からむしりとった血税が、湯水のごとく流れ出る。

赤字国債が膨らむ中、こんなやり方を続けていても平気な意識。

民間なら許されるはずもない。


この無駄なお金のうち、

ただ一袋でいいですから、犬と猫にフードを、

牛達に草を買っていただけませんか?


つづく・・・。