置き去りにされた小さな命~福島第一原発20km圏内 警戒区域から~

警戒区域になって、二度目の冬が

すぐそこまでやって来ている。

ポイントにクルマをつけようとした時、

背後から警察車両。

そしらぬ振りで、スピードをあげかわそうするうち

山の中までもっていかれる。

今日は限られた時間なのに、とんだロスタイム。





置き去りにされた小さな命~福島第一原発20km圏内 警戒区域から~

お~い、元気にしてた?

浪江町で牛さん達に会うのは久々。

もう圏内にいる放れ牛は300頭あまりだと聞くが、

同意した酪農家の牛は年内に殺処分らしい。

ただ、それだけの牛すら助けてあげることが

出来ないんだ。この、国は。

人間への補償だけは膨らみ、動物達はやっかいもの。

今度、生まれて来る時、警戒区域に残された

牛や犬や猫になってみるがいい。

首輪に繋がれたまま、水もご飯もなく、凍える身体を

震わせて死んでいくがいい。

その時、はじめて分かるだろう。

動物達は声をあげることが出来ないってこと。

どんなに苦しくても、悲しくても・・・。


いつものポイントを回りきれないまま、

残り時間40分。

捕獲機を回収して戻らなければ・・・

急ぐわたしの前に。


置き去りにされた小さな命~福島第一原発20km圏内 警戒区域から~


おや~。

クルマをバックさせて近づく。








置き去りにされた小さな命~福島第一原発20km圏内 警戒区域から~

君は飼い猫だったんだね。

首輪をつけたシャムMIXちゃん。

コンクリートに撒かれたフードを

カラスに負けずに食べていた。


飼い主さんは、君のこと忘れてしまったのかな?

もし、わたしが飼い主だったら探し続けるよ。


この場所は、警戒区域を回ってる人だったら、

みんなが知ってる主要道路。

時間が無い!でも、何とかしなくちゃ!

クルマを隠す場所を探すが見つからない。

警察車両がいつ来るか分からない。

このフードを置いた人も、あまりに危険な賭けだから、

クルマの窓から投げていったのだろう。

追加のフード2.5kg、

家の軒下に置いて急いで走り去る。

このままじゃ、いられないメラメラ

リ・ベ・ン・ジの言葉が頭をよぎる!


やばい、急いで捕獲機回収へ。

心拍数上がりっぱなし。


ひえ~。


置き去りにされた小さな命~福島第一原発20km圏内 警戒区域から~


これは、人生はじめての

初タヌキでしょうかあせる

つづく・・・。