警戒区域になって、二度目の冬が
すぐそこまでやって来ている。
ポイントにクルマをつけようとした時、
背後から警察車両。
そしらぬ振りで、スピードをあげかわそうするうち
山の中までもっていかれる。
今日は限られた時間なのに、とんだロスタイム。
お~い、元気にしてた?
浪江町で牛さん達に会うのは久々。
もう圏内にいる放れ牛は300頭あまりだと聞くが、
同意した酪農家の牛は年内に殺処分らしい。
ただ、それだけの牛すら助けてあげることが
出来ないんだ。この、国は。
人間への補償だけは膨らみ、動物達はやっかいもの。
今度、生まれて来る時、警戒区域に残された
牛や犬や猫になってみるがいい。
首輪に繋がれたまま、水もご飯もなく、凍える身体を
震わせて死んでいくがいい。
その時、はじめて分かるだろう。
動物達は声をあげることが出来ないってこと。
どんなに苦しくても、悲しくても・・・。
いつものポイントを回りきれないまま、
残り時間40分。
捕獲機を回収して戻らなければ・・・
急ぐわたしの前に。
おや~。
クルマをバックさせて近づく。
首輪をつけたシャムMIXちゃん。
コンクリートに撒かれたフードを
カラスに負けずに食べていた。
飼い主さんは、君のこと忘れてしまったのかな?
もし、わたしが飼い主だったら探し続けるよ。
この場所は、警戒区域を回ってる人だったら、
みんなが知ってる主要道路。
時間が無い!でも、何とかしなくちゃ!
クルマを隠す場所を探すが見つからない。
警察車両がいつ来るか分からない。
このフードを置いた人も、あまりに危険な賭けだから、
クルマの窓から投げていったのだろう。
追加のフード2.5kg、
家の軒下に置いて急いで走り去る。
このままじゃ、いられない
リ・ベ・ン・ジの言葉が頭をよぎる!
やばい、急いで捕獲機回収へ。
心拍数上がりっぱなし。
ひえ~。
これは、人生はじめての
初タヌキでしょうか
つづく・・・。