置き去りにされた小さな命~福島第一原発20km圏内 警戒区域から~


「おはよ~」大きな牛さん。

君はずい分懐っこいんだね。

今も奇跡的に殺処分柵を逃れて生きてる牛達は

殆どが人間を警戒しているというのに、

この子は全く動じない。





置き去りにされた小さな命~福島第一原発20km圏内 警戒区域から~


ほらほら、わたしとお話してるうちに

連れの牛さんが行ってしまうよ。

連れの牛さんは、後ろを何度も振り返りながら

距離が離れすぎないように歩く。

これが、阿吽の呼吸?

国道に行ってはいけないよ。

スピードをあげたクルマが突っ込んで来るのだから。


産後間もないのか、おっぱいがはっている。

赤ちゃんはどうしたのだろう?

この寒さに凍え死んだのかもしれない。

愛情深い牛が、自分の子どもを連れていないはずが無い。


生き抜く場所が少しずつ限られている中、

皮肉なことだが、牛達にとって今一番安全なのは

原発3km圏内なのかもしれない。


まぶしい朝陽に向かって歩く

牛達の後姿を最後まで見送ってから

次のポイントへとクルマを発進させる。




置き去りにされた小さな命~福島第一原発20km圏内 警戒区域から~

予感的中あせる

給餌依頼の飼い主さん宅を探すうち、

予想通り雪にはまってタイヤが空回り。

持ってきて良かった!

スコップと脱出用グッズ。

こんな処で、時間のロスはしたくない。

突っ走れ、小鳥!



置き去りにされた小さな命~福島第一原発20km圏内 警戒区域から~


前回の給餌から、ずっと気に掛けてた場所に

クルマをつけると・・・

誰かが置いていってくれたフード用のお家。

何か、本格的に泣きそうになった。


わたしが圏内に入れない間、

どうしても気になる場所は他の愛護団体さんに頼んでいたが、

警戒区域を回ってる人達は、いつも綱渡り状態で、

たくさんの給餌場をもっているから、全てをお任せという訳にいかない。


この場所は誰も行くことが出来ず、三週間ぶりに訪れた。



置き去りにされた小さな命~福島第一原発20km圏内 警戒区域から~

中は空っぽ、5kgのフードを追加する。

しばらく会ってないけど、きっと来てるはず・・・

ぶち猫ちゃん。







置き去りにされた小さな命~福島第一原発20km圏内 警戒区域から~


今日、どうしても近づけなかった場所もある。

わたしの力で出来るだけの給餌を終えて、

捕獲器を置いた場所に舞い戻る。

12月15日、チビ猫ちゃんを保護した場所へ・・・。






置き去りにされた小さな命~福島第一原発20km圏内 警戒区域から~

何か居ます?



つづく・・・。