高速道路家族(ネタバレ)~韓国貧困物語~ | 映画でもどうどす?

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映画と読書の感想を気が向いたら書いてます。
どちらも、ホラーとミステリが多め。
ホラーなら悪魔よりゾンビや怨霊。
ミステリならイヤミス。

  ■あらすじ

 

 

●ギウ…サービスエリアで暮らすパパ上

●ジスク…お母さん、妊娠中

●ウニ…娘、比較的しっかりしてる

●テク…息子、好奇心旺盛

●ヨンソン…中古家具屋の店主

●ドファン…ヨンソンの夫

 

高速道路のサービスエリアでテントを張って生活してるギウ一家は、

やってくる人から寸借詐欺をしながら生きている。

SAの人には出て行けと言われるが、そんなことを気にしちゃいけない。

 

 

家具屋のヨンソンは、SAのトイレで蛇口に口をつけるようにして水を飲んでいる少女・ウニに

「お水は飲んじゃダメよ」

と告げるが、ウニはダッシュで逃げていくランニング

 

 

その直後、ギウにお金を貸してほしいと言われたヨンソン。

困ってはるし気の毒やと思いお金を渡した。

 

 

一家とヨンソンがこのまま再会しなければ運命は違う方向に行ったのだろうか。

 

 

別のSAでヨンソンはギウを見かけてしまう。

あの時と同じように詐欺してるじゃん。

 

 

ヨンソンは警察に通報。

逃げるギウ達。

だが、妊婦のジスクは捕まってしまい、芋蔓式にギウ達もつかまってしまう。

 

 

警察でギウは別件で指名手配されていたことが発覚、拘留。

行くところのないジスクたちをヨンソンは自分の家に連れ帰るのだった。

 

 

温かいご飯。

温かい寝床。

 

 

ジスクもウニも一生懸命手伝いをし、最初は居候に難色を示していたドファンも、表立っては何もしないがこっそり彼らのことを可愛がっている。

ヨンソン家具店の従業員たちも、ジクスたちと打ち解けていった。

 

 

だが、ギウは警察から逃げ出す。

家族は一緒にいなくちゃいけないんだもん。

 

 

文字通り汚泥にまみれ無銭飲食をし、ようやっとの思いで家族を探し当てるが、

ジスクはギウに「もう一緒にいられない」と泣きながら伝えるのだ。

子供のことを考えたら、あんな不安定な生活は送れない。

産まれてくる子供もいるのに…。

 

 

学校にも行かせられず、漂うだけのその日暮らしからは脱却したい。

子供のために。

子供のためにあなたと縁を切ります。

 

 

一旦引いたギウだが、彼はあきらめなかった。

ふたたび家具店に現れ、大暴れ。

そしてその騒動で家に火がつき、家屋が燃え上がる。

 

 

火の中に取り残されるジスク。

彼女を庇うギウ。

泣きながら駆け寄ろうとする子供たちを必死で抱きかかえて止めるヨンソンとドファン。

 

 

 

 

明るい日差しの中。

小学校に通っているウニ。

歩道橋に蹲っているホームレスに父の面影を見るが、振り切って家に帰ってくる。

家では母が赤ん坊を抱いて待っている。

ヨンソンとドファン、従業員のみんなとテクが笑っている。

そこに、ギウはいない。

 

 

 

 

 

…と思ったらシーンが変わって。

泣き叫ぶ子供を抱きしめながら、同じように泣いているヨンソンとドファン。

 

 

あれは夢やったん?

Ifの世界線の話やったん?

現実はママ上もパパ上も…なん?

 

 

それは皆さまのご想像にお任せして…。

でも助かるような火事じゃなかったよね。

 

 

■おしまい 

 

 

 

  ■感想

 

 

出典:https://www.amazon.co.jp/dp/B0CCCQ28S7

 

 

裕福な家庭って書いてあるけど、そこまで金が有り余ってるような富豪ちゃうで、ヨンソンの家も。

 

 

「2万ウォン(日本円で2千円くらい)貸してくれませんか、財布なくして…」

そういわれて優しい人や気の弱い人なら貸しちゃうよね。

「はぁ?知るか」

そんな風に言えるかしら。

しかも子連れに。

 

 

そうやって手に入れたお金でカップ麺を喰う生活。

 

 

いろんなルールやしがらみから離れ楽しそうに見える部分も確かにある。

テントの中で家族で踊ってたら、周囲に人が集まって来て、みんなで踊っているシーンはとても楽しそうだった。

でもその楽しさは、砂上の楼閣。

いとも簡単に崩れてゆく。

 

 

そんな時ヨンソンに通報され。

ヨンソンも「金返せ」じゃなく、子供たちが不憫だから通報したのもあるんだよね。

 

 

ようやく与えられた平穏。

ヨンソンは亡くした息子の変わりに子供たちを守ろうとしたのかもしれん。

でも、そこに「慈しみ」と「愛」は確かにあったんよ。

 

 

不幸な境遇で育ったジスクに寄り添ってくれたギウ。

もちろん感謝してるし愛している、今も。

でも、ウニを学校に行かせてやりたい。

このジスクの心境は泣ける。

女としてより母としての情が勝ってしまう。

 

 

現実を見始めたジスクと、未だ夢の中で暮らすギウ。

 

 

SAでふらふら暮らしてたらお腹の子供もろとも死んでたかもしれない。

(妊婦健診に行ったことがなくて、行ったら羊水が減ってて危険やで、と告げられた)

ウニもテクも文字を知らないまま、底辺を這いずるような大人になるしかなかったかもしれない。

 

 

自分が学も何もない人間だったから子供に学がつけられるならつけさせてあげたい。

そう思うのは母として当然。

ギウもそこは引いて、(押し付けられた罪ではあるけれど)罪は償って、どこかで仕事見つけるなりして迎えに来たら良かったやん。

ウニもテクもお父さんのことが嫌いなんじゃなく大好きなんだからさ。

それを…。

 

 

まぁ、ギウもかなり精神的にアレで。

何もないときは平静なフリ出来るけど、一旦ことが起きてしまった時の狂乱っぷりは、とてもまともな人だとは思えないもんなぁ。

 

 

いろいろ歯車が狂って結局子供が不幸になってしまう。

親として最善…とまではいかなくても、よりよい選択をしてやろやないかい。

ギウにそう告げられる人が誰もいなかったのが不幸。

 

 

韓国の福祉制度がどうなってるのかよく知らんけど、

大人はどうでもいいよ。

子供は守ってあげてよ。

 

 

この映画のテーマは。

そんなん家族愛ちゃう!

アンタのワガママや!

身を引く愛もまた愛ナリよ。

上矢印

これ!

 

 

このラストの絶望感たるや。

「さっきまでのルンタッタ返してくれよぅ」

って思いますで。

もちろん、あの幸せなENDこそが本当のENDで、

大逆転であのラストになるねん、と思うのもあり。

(オトンだけおらんかったしね)

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